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2023年9月 8日 (金)

9.16日朝ピョンヤン宣言21周年学習会のご案内

          20230916

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    日朝ピョンヤン宣言21周年 --日朝国交正常化をめざして
         --今一度検証する日朝交渉 9・16学習会--
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2016年以降、日朝交渉は途絶えています。このような中、岸田文雄首相が5月27日、
首脳会談の実現に向け「私直轄のハイレベルで協議を行っていきたい」と述べると、朝
鮮側は2日後、「朝日両国が互いに会えない理由はない」(外務次官談話)と応答しま
した。日朝交渉再開の兆しが出てきているかのようです。

 しかし、岸田政権は日朝国交正常化を真剣に考えているのでしょうか。昨年末に改訂
した「国家安全保障戦略」では朝鮮を「差し迫った脅威」と位置づけました。さらに8
月18日に予定されている日米韓首脳会談で、米国は日韓関係に「根本的変化」(fundam
entalchange)をもたらそうとしています。日韓を朝鮮の封じ込め、中国に立ち向かう
「準同盟」関係にしようというのです。岸田政権、尹錫悦政権はこのような道に踏み込
みこもうとしています。このような選択をしつつ、日朝国交正常化を進めることはあり
得ません。

 岸田政権は今いちど、2002年の日朝ピョンヤン宣言に立ち返って日朝国交正常化を進
めるべきです。日本は過去の植民地支配を痛切に反省し謝罪する、朝鮮は拉致問題が再
び起こらぬよう適切な処置をとる、そして互いの安全を脅かすような行動はとらない、
これを履行してこそ北東アジアの平和と安定が保たれるのです。
 日朝間で国交正常化に向けての協議を始めてから既に30年以上が経過しました。その
歴史を振り返りつつ、ピョンヤン宣言の意義を再確認し、国交正常化への道筋を探るた
めに学習会を企画しました。ぜひご参加ください。

   日時 9月16日(土)午後2時開始(1時半開場)
  場所 文京シビックセンター4階ホール 参加費800円
      ●定員100人、先着順

 講演 「日朝交渉30年を振り返る」(仮題)
       和田春樹・東大名誉教授

    1938年生まれ。著書に『北の友へ南の友へ』(お茶の水書房)、『朝鮮戦争全史』
   『日露戦争 起源と開戦(上・下)』『北朝鮮現代史』『「平和国家」の誕生』
       (岩波書店)、『朝鮮有事を望むのか』(彩流社)、『米朝戦争をふせぐ』『安
        倍首相は拉致問題を解決できない』(青灯社)、近著に『日朝交渉30年史』
   (ちくま新書)ほか多数。

主催 「3・1朝鮮独立運動」日本ネットワーク(旧100周年キャンペーン)
   連絡先 日韓ネット(070-6997-2546)/ピースボート(03-3363-7561)/
          日朝協会(03-3237-1991)/子どもと教科書全国ネット 21(03-3265
                  -7606)/小川町企画(03-3818-6671)/韓統連(03-4361-6357)

 

2023年8月 1日 (火)

●関東大震災朝鮮人・中国人虐殺100年行動のご案内

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 画像をクリックすると拡大します。そこからさらにズームで拡大できます。

 また、右クリックでダウンロードもできます。

 

虐殺の事実さえ未だに認めない日本政府、小池都知事--この現状を打破するために加害
国・日本でこそ大規模な追悼大会を、との思いで開催が準備されています。

多くの皆さまのご参加・結集を呼びかけます。

 *チラシダウンロード、申込み、カンパ等はすべて実行委公式ブログから
           ⇒ https://100nen-jikkoui.blogspot.com
拡散歓迎
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     関東大震災朝鮮人・中国人虐殺100年犠牲者追悼大会
             8/31―9/2・3 連続行事のご案内
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●関東大震災朝鮮人・中国人虐殺100年犠牲者追悼大会
  日時 8月31日(木) 開会18時15分(開場17時)
  場所 文京シビック大ホール(1800人規模)
      (地下鉄「後楽園」or「春日」下車すぐ )
    内容     朝鮮半島・中国からの遺族挨拶
    特別報告 国家の責任/メディアの責任/民衆の責任
    追悼のピアノ演奏 崔善愛
    追悼歌曲 紫金草合唱団と李政美
    海外ゲスト 朝鮮半島・中国・米国
    日本政府への要請ほか
  参加費 1000円  下記アドレスから申込みをお願いします
          https://100nen-jikkoui.blogspot.com
             チケット販売も行ってますのでお買い求めください

       *朝鮮半島と中国の遺族をはじめ、韓国の広範な労組・市民・社会団体
        で構成する「関東虐殺100年追悼事業推進委員会」から100人を超える
                     人々も来日、さらに米国の人権団体などからも多数参加予定。

  ◎プレ企画 「原資料・パネル展」-歴史の真実を知ろう
    8月31日午後1時~4時半/文京区民センター3A 観覧料500円
     100年前の公文書やデマをまき散らした当時の新聞等の原本やコピーを展示
       https://100nen-jikkoui.blogspot.com      

 

●国会キャンドル行動-日本政府は虐殺の事実を認め謝罪せよ!
  日時 9月2日(土) 19時開始 *18時半よりデモンストレーション
      場所 国会正門前(地下鉄「国会議事堂前」or「永田町」or「桜田門」下車)
  アピール 朝鮮半島・中国の遺族、海外ゲスト、市民団体、各政党国会議員など

      *100年目にして初めて遺族・海外ゲストと共に国会に対して異議申し立て
       日本政府は事実を認め、謝罪・賠償を行うよう国家責任を追及する。

 

●国際交流シンポジウム-関東大震災におけるレイシズムとジェノサイド
      日時 9月3日(日) 17時30分開始(17時開場)
  場所 在日大韓基督教会 川崎教会
  報告者    朝鮮半島・中国・米国・日本の研究者、弁護士、市民活動家
  事前申込制 housenka.kanagawa@gmail.com 宛にお願いします。

●主催 関東大震災朝鮮人・中国人虐殺100年犠牲者追悼大会実行委員会
         https://100nen-jikkoui.blogspot.com 

 

*上記のほか各地の例年の行事も取り組まれます。

 

 *8月25日に参議院議員会館で行われた記者会見の全編動画はコチラ
   https://www.youtube.com/watch?v=M6VzF07XtDI&t=217s

      東京新聞記事  https://www.tokyo-np.co.jp/article/272616?rct=national

2023年7月28日 (金)

●7.22停戦協定70年ソウル平和行動参加報告(かもめ)

  朝鮮戦争の停戦70年・平和行動の日、色とりどりの旗がソウルの街にひるがえった。デモ行進では韓国のデモには珍しく外国語も飛び交った。宣伝カーの女性が「今日は多くの海外ゲストが来ています。みんなで一緒に叫びましょう」として韓国語でピョンファ(平和の意)、ピース、日本語でヘイワなどと声を合わせた。戦争NO,平和YESというスローガンは誰にでも分かりやすく、みんなの声が大きくなった。

  宣伝カーの女性が言う。「1年は365日、今は220日が過ぎていますが、既に115日間、軍事演習が行われているのです。もう沢山です。もう止めましょう。朝鮮戦争を終わらせて平和に生きましょう。」「世界ではSDGsや脱炭素と言っていますが、軍事演習で使われる二酸化炭素の排出は誰が測っているのでしょうか。戦争は止めて気候変動や食料のためにお金を使いましょう

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  デモ行進が終わって集会の場所に近づくと、空の雲は一層濃くなり今にも雨が降りそうだった。
  集会のスタートは軽快な太鼓の合奏。10代、20代の若者が元気に叩くと、会場と一体となっていった。

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  会場の周りは世界各地から送られてきた統一旗が掲げられている。中には在日の人たちが寄せ書きをした旗も見受けられた。海外ゲストが紹介される頃には雨は本格的に降ってきて、集会参加者は急いで雨合羽を着たものの本降りの雨にあまり役立たない。
  それでも最後のフィナーレ、市民大合唱では皆さん平和の歌を高らかに歌い、会場を盛り上げてくれた。

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  7月23日には韓国側が用意してくれたバスに乗ってフィールドワークに出かけた。統一展望台では、あいにくの天気で北の方角も曇って見えなかったが、70年もなお戦争が終結していないことを感じさせられた。ぜひ多くの人に来てほしいと心から思った。

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2023年5月12日 (金)

関東大震災虐殺100年5.20プレ集会のご案内

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今年9月の関東大震災朝鮮人・中国人虐殺100年に向けた5.20プレ集会のご案内です。
慎蒼宇(シン・チャンウ)法政大学教授に90分たっぷりご講演いただきます。
改憲・大軍拡など新たな戦前となりつつある今、改めて未清算の侵略・植民地主義の過
去を問い直すことが求められています。多くの皆さまのご参加を。
                   
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            関東大震災朝鮮人・中国人虐殺から100年を問う!
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   今年の9月1日は多くの犠牲者を出した関東大震災から100年にあたります。この時、混乱に乗じて「朝鮮人が放火した」「井戸に毒を入れた」などのデマが拡散され、軍隊・警察・自警団などにより多くの朝鮮人・中国人が虐殺されました。これは天災によるものではなく人災です。
   しかし、未だに日本政府はその事実すら認めず、小池都知事も事実を消し去ろうとしています。  
   私たちは関東大震災虐殺100年にあたり、日本社会がこの歴史と誠実に向き合い、国家の責任を問い、再発を許さない共生社会への一歩をめざして取り組みを進めています。ぜひご参加を!

【シリーズ第2回】
  講演 関東大震災時の朝鮮人虐殺の歴史的背景
         慎 蒼宇(シン・チャンウ)・法政大学教授
  日時 5月20日(土)午後6時半開会
  場所 文京区民センター3A大会議室 資料代800円
      (地下鉄「春日」or「後楽園」下車すぐ)
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【今後の予定】 *下記のほか例年の各地の行事も取り組まれます
 
  [シリーズ第3回] 映画「払い下げられた朝鮮人」上映と呉充功監督のお話ほか
    日時 7月13日(木)午後3時開演  場所 衆議院第一議員会館B1大会議室
       * 午後2時半からロビーにて通行証を配布します

  関東大震災朝鮮人・中国人虐殺100年犠牲者追悼大会
    日時 8月31日(木)午後6時半開会(6時15分開場)
    場所 文京シビックセンター大ホール(地下鉄「後楽園」or「春日」下車すぐ)

    関東大震災朝鮮人・中国人虐殺100年国会キャンドル行動
    日時 9月2日(土)午後7時開始  場所 国会正門前
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【賛同募集中!】個人1口1000円 団体1口3千円
     郵便振替00130―8―359604
     名義「関東大震災中国人受難者を追悼する会」
     (関東100年賛同と明記下さい。個人の方は肩書・氏名公表の可否も明記を)

主催・関東大震災朝鮮人・中国人虐殺100年犠牲者追悼大会実行委
 問合せ先 080-1142-2515 (川見)  090-8808-5000 (藤田)  070-6997-2546 (渡辺)

 

2023年5月 4日 (木)

●岸田首相訪韓にあたっての過去清算共同行動の声明

 5月7日~8日の日程で岸田首相が訪韓することが決まりました。
 3月16日の日韓首脳会談で確認した「シャトル外交の再開」を軌道に乗せるという趣旨での訪韓だと言われています。しかし、聞くところによりますと、議題の中心は日米韓安保協力と経済協力の拡大になりそうだとのことです。

またしても、強制動員問題は後回し、被害者は置き去りです。

 これを前に、強制動員問題解決と過去清算のための共同行動は、声明「岸田首相は自らの言葉で語れ植民地支配への反省、強制動員被害者への謝罪」を発しましたのでご紹介します。
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2023年5月3日

       -岸田文雄首相の訪韓に当たって-
声明「岸田首相は自らの言葉で語れ 植民地支配への反省、強制動員被害者への謝罪」

                強制動員問題解決と過去清算のための共同行動
                 (https://181030.jimdofree.com/

 岸田文雄首相が5月7~8日の日程で訪韓することが正式に発表されました。
 3月16日に尹錫悦大統領が来日し12年ぶりに日韓首脳会談が開催され、時をおかず今度は岸田首相が5年ぶりに訪韓するシャトル外交の再開です。
 ただ問題は、岸田首相が訪韓して首脳会談で何を議論するか、です。
 3月6日の韓国政府の「徴用工」問題の解決策発表とその後の日韓首脳会談は、実態として日米韓の安保協力体制の立て直し、強化を最優先にして進められていることは明白です。
 しかも、2018年の大法院判決以降最悪の状況に陥ったといわれた関係がようやく隣国同士らしい関係に戻ったとは言われますが、強制動員問題は依然として未解決のままです。大法院判決を受けた15名の原告のうち10名の原告遺族は「日帝強制動員被害者支援財団」の「肩代わり」を受け入れました。しかし、長期間裁判を闘った当事者である生存原告は全員「解決策」を批判し「財団」の給付を拒んでいます。

 岸田首相は3月16日の日韓首脳会談の際に「日本政府は1998年10月に発表された『日韓共同宣言』を含め歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」としましたが、過去の植民地支配について自身の言葉では反省と謝罪は述べませんでした。まして強制動員被害者へ慰労、謝罪の言葉をかけることもありませんでした。日韓政府間の関係が進展しても強制動員被害者が置き去りにされたままでは被害者も
韓国国民も納得できません。
 今回、岸田首相の訪韓の発表を受けて5月2日付の中央日報は「岸田首相が誠意ある呼応をする番だ」との社説を掲げましたが、これは韓国紙に言われて実行することではありません。

 今回の訪韓を機に岸田首相は自らの言葉で過去の植民地支配に対する反省と謝罪を表明すべきです。同時に、強制動員の歴史的事実を認め、被害者に直接謝るべきです。そうしてこそ強制動員問題解決に向けての一歩が踏み出されます。「確認した史実から教訓を得て、より良い明日を模索するという意味」(金大中)での未来志向の日韓関係が始まります。
 私たちは岸田首相の訪韓がそのような結果を生むことを求めます。

2023年3月19日 (日)

●朝鮮戦争停戦協定70年と私たちの課題(渡辺健樹)

日韓の宗教者と市民運動でつくる「日韓和解と平和プラットフォーム(PF)」の日本側会員交流会が3月18日に開かれ、それぞれのテーマの発題がなされました。その中の朝鮮半島平和キャンペーンについて日韓ネットの渡辺共同代表が「朝鮮戦争停戦協定から70年と私たちの課題」と題して発題を行いました。以下に全文を掲載します。

PDF版ダウンロード - e2978f3.18e697a5e99f93pfe4baa4e6b581e4bc9ae38080e6b8a1e8bebae58e9fe7a8bf.pdf

 

3.18日韓PF会員交流会            part① 朝鮮半島平和キャンペーン
朝鮮戦争停戦協定から70年と私たちの課題
           渡辺健樹(PF運営委員・日韓民衆連帯全国ネットワーク共同代表)


   *本稿では大韓民国の略称は「韓国」、朝鮮民主主義人民共和国の略称は「朝鮮」としています。
 いま朝鮮半島では、日本からの解放と同時にもたらされた南北分断から78年。南北分断に起因する朝鮮戦争の停戦協定からも70年が経過しましたが、いまだ朝鮮戦争は終結していません。70年にもわたり「撃ち方やめ」に過ぎない停戦状態のまま置かれていること自体異常であり、これこそが朝鮮半島「危機」の根源です。朝鮮戦争を終結させ、停戦協定を平和協定に転換させることが必要です。

 再び緊張状態に回帰した朝鮮半島情勢  

 2018年の南北首脳による板門店宣言、史上初の米朝シンガポール首脳会談・共同声明は、朝鮮戦争の終結、朝鮮半島の平和体制と完全な非核化へ向かう歴史的な可能性をもたらしました。しかし米国は合意を履行せず、この直後の米韓軍事演習は中断したもののその後は規模を縮小した米韓軍事演習が繰り返されてきました。さらに一方的に朝鮮の核放棄のみを求める強硬政策をとり、また「米韓ワーキンググループ」を設置して韓国政権が勝手に南北関係を進めないようタガをはめました。そのため南北で合意された南北鉄道連結や金剛山観光再開など一歩も進まない状況となりました。
 米国でトランプからバイデンに政権が代わり、韓国でも文在寅(ムン・ジェイン)政権から尹錫悦(ユン・ソンヨル)政権へ政権交代し米韓合同軍事演習は拡大の一途をたどっています。昨年来、原子力空母や戦略爆撃機B1Bなどを投入した大規模演習が日本海や朝鮮半島周辺で常態化しています。これらは、朝鮮に対する核を含む軍事攻撃を想定したものであり、朝鮮指導部の「斬首作戦」まで想定したものです。
 こうした動きを見据えて、朝鮮側も2018年以来継続してきたICBMの発射実験や核実験のモラトリアム(猶予)の停止を宣言し、ICBMを含むミサイル実験を繰り返すなど、再び緊張激化の時代に入りました。

 繰り返されてきた米国の軍事威嚇と挑発こそが元凶

 こうした状況の中で朝鮮のミサイル発射実験に対しては、米韓当局はもとより日本政府もマスメディアも一方的に「北朝鮮の挑発」とし、米韓軍事演習は「挑発への対応」と正当化しています。
 しかし、それはまったく間違いです。朝鮮半島で軍事的威嚇と挑発を繰り返してきたのは米国です。では少し歴史的に見てみましょう。
 ①1953年7月に朝鮮戦争の停戦協定が結ばれ、すべての外国軍隊の撤退について協議することも勧告されていましたが、米国はこれをボイコットし唯一の外国軍隊として朝鮮半島に居座り続けてきました。
 ②さらに新しい武器を持ち込まないことを規定した停戦協定の一部を一方的に廃棄(56.9)し、戦術核兵器を大量に韓国に持ち込みました。(注・この時期は米軍政下に置かれた沖縄にもメースBなどの戦術核が大量に配備。72年の施政権返還で撤去されたが有事の核再持ち込みを密約)。朝鮮半島では、のちに南北間で朝鮮半島の非核化共同宣言(91.12)が出され地上核は撤去されたことになっていますが検証されていません。
 つまり朝鮮の「核疑惑」が取りざたされる以前から核威嚇がかけられていました。
 ③その後、1994年の米朝枠組み合意、2003年には6者協議(南・北・米・中・日・ロ)の枠組みができ、朝鮮半島の([北朝鮮の]ではない)非核化・米朝国交正常化・日朝国交正常化などを目指す6者共同声明(2005.9)なども出されましたが、その間も米韓軍事演習や朝鮮に対する「制裁」なども繰り返され、決裂に至りました。
 こうした過程で朝鮮は核・ミサイル開発を続けてきたことは周知のとおりです。
 朝鮮について筆者は、頭のてっぺんから爪先まで核で武装した猛獣(米国)を前にしたいわば「ハリネズミ」国家を目指していると見ています。

 日本が果たしてきた役割

 この中で日本は極めて犯罪的な役割を果たしてきました。
 ①そもそも朝鮮戦争は、日本の敗戦に伴う米ソの南北分割占領に起因しています。
 当時米ソは朝鮮における日本軍の武装解除のために38度線を境に分割占領しました。それはすでに始まっていた米ソ冷戦の利害から決められたものですが、日本の植民地支配がなければ南北分断もなかったのです。
 ヨーロッパでは侵略当事国であったドイツが東西に分割されましたが(これを肯定するわけではありませんが)、アジアでは日本でなく朝鮮半島が分割されたことに痛みを感じている日本人がどれだけいるでしょうか。
 米国が占領した朝鮮南部では米軍政が布かれ、日本の統治機構であった総督府の要員をかき集め、自主的な建国へのうねりを徹底して弾圧しました。やがて国連の名による南朝鮮だけの単独選挙を強行し(48.5)南北分断の固定化は決定的となっていきました。
 こうして朝鮮戦争勃発への素地が内包されていきました。
 ②朝鮮戦争は前述のように、朝鮮半島の人々が望まない南北分断に起因して起きたわけですが、その中で日本は準「参戦国」として重要な役割を果たしました。
 イ.日本全土が米軍の重要な兵站・出撃拠点となったこと。ロ.GHQの指令とはいえ日本は掃海艇部隊、戦車揚陸艦(LST)、軍事物資輸送などに動員(兵站作業従事者8000人、機雷などで57名犠牲も)。ハ.朝鮮戦争特需が日本の敗戦後の経済復興と「高度成長」のバネになった。
 特に日本の兵站・出撃拠点化がなければ米国の戦争遂行は不可能でした。この関係はその後のベトナム戦争や湾岸戦争、アフガニスタン戦争に至るまで続いています。
 また自衛隊の前身である警察予備隊が作られたのも朝鮮戦争の中でした。
 そして今や「敵基地攻撃能力」の保有や軍事費の倍増など大軍拡を進め、「戦争する国」の道をひた走っています。米日韓軍事同盟体制も現実となりつつあります。
 このようにいわば戦後の日本は朝鮮戦争の中で形作られたと言えます。

 私たちの課題 

 では今年、朝鮮戦争の停戦協定70年という節目にあたり私たちのなすべきことを考えたいと思います。
 ①朝鮮戦争を終結させ停戦状態から平和協定締結へ国際的圧力、世論喚起
 ②未だ敵対関係で一切の戦後処理もしていない朝鮮との国交正常化実現
 ③在日朝鮮人への(だけではないが)差別・ヘイトクライム・ヘイトスピーチの禁止
 ④憲法9条改悪に反対する。「敵基地攻撃能力」保有、軍事費倍増など戦争する国への大転換に反対。米国につき従い、事実上対中国・台湾「有事」への軍事介入宣言と朝鮮・ロシアへも軍事対応するに等しい安保関連三文書に反対。
  以上4項目を列記しましたがこの方向に沿いながら、さらに韓国の運動体の提案にも応え以下のように具体的に連帯していきたいと思います。
 イ.停戦協定70年に向けて各地で米韓演習中止を求める行動(東京では3/12.13に米韓大使館行動実施)、ロ.停戦協定締結70年目の7/27の前に東京で集会を開催、7/22数万人規模で予定されるソウルの行動に合流。ハ.署名、統一旗への寄書き、ニ.その他の多様な取り組み。
                                           以上

 

2023年3月13日 (月)

●米韓合同軍事演習の中止を求め、米韓大使館へ抗議行動

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                                       (K.M)
 今日(3月13日)から米韓合同軍事演習「フリーダム・シールド(自由の盾)」が始まった。史上最大の野外機動訓練を含むこの演習は、朝鮮半島のみならず東アジアの平和を脅かすものだ。既に韓国メディアでは、その一部が報道されている。
https://newsis.com/view/?id=NISX20230313_0002224564

 13日午後1時、米国大使館前に集合した東アジア市民連帯のメンバーらは米国大使館に向けて抗議行動を行った。あいにく小雨のぱらつく天気だったが、約40人の参加者は怒りの拳を上げた。
 さらに午後2時半には韓国大使館に向けて抗議行動を行い、シュプレヒコールを上げた。

通りがかりの幼稚園児が不思議そうに見ていて参加者が説明する一幕もあった(写真下)

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雨を突いて米国大使館へ(上) 抗議のシュプレヒコール(下)

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東アジア市民連帯では声明も発表し、米韓大使館へ送付している。

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   【声明】米韓軍事演習の中止を求める
                       2023.3.13 東アジア市民連帯

 私たちは、本日(3月13日)より実施される米韓両軍による合同軍事演習「フリーダムシールド」の中止を強く求める。
 米韓両軍は年初より頻繁に合同演習・軍事訓練を強行してきた。いずれも朝鮮半島の平和を脅かす危険な演習・訓練である。「フリーダム・シールド」と名付けられた今回の演習は、実弾演習をともなうより実戦的で大規模なものだ。これら繰り返される演習・訓練は、朝鮮半島を戦場とする導火線に火を着けたような危険な状況に陥っている。
 3月2日には米韓の特殊部隊が、朝鮮の核施設などへ精密打撃する訓練が実施された。米軍からは強力な対地掃討能力を持ったAC130J攻撃機が初めて参加した。また、朝鮮の指導部の暗殺を狙った「斬首作戦」訓練も実施された。翌3日には、米韓両空軍が黄海や朝鮮半島内陸部で連合空中訓練を行った。今年5回目である。これには核爆弾を搭載可能な戦略爆撃機B1Bが参加・展開している。
 これに先立ち、2月7日、バイデン大統領は一般教書演説を行い、内外政策について明らかにした。しかし、外交政策では中国とロシアに言及したものの、朝鮮には一言も触れなかった。朝鮮とは外交交渉しないと宣言したに等しい。朝鮮に対しては軍事力などの圧力をかけて、現体制の崩壊を導くという考えであることが明白だ。また、2月16日には韓国国防白書が発表され、「朝鮮の政権と軍はわれわれの敵である」との規定を復活させている。米韓両軍が何のために朝鮮を威嚇・挑発する軍事演習を繰り返しているのか、明らかだろう。
 こうしたなかで、「フリーダムシールド」を5年ぶりに復活させ、過去最長の11日間実施する。そこでは、野外機動訓練「ウォリアーシールド」や、核施設などを精密打撃する特殊部隊訓練「チークナイフ」なども実施するとしている。これには、「上陸作戦」や「斬首作戦」が含まれている。いずれも朝鮮を対象とした先制攻撃・侵攻作戦であることは明らかだ。これらが実行に移されれば、朝鮮側が防衛・抑止のための戦争態勢に入ることは火を見るよりも明らかであり、実際に戦争が起きる危険性を高めることにつながる。
 朝鮮半島や日本など東アジアの平和を希求する私たちは、こうした戦争状況を生み出す恐れの強い米韓合同軍事演習「フリーダムシールド」をただちに中止するよう強く要請する。

【東アジア市民連帯は、私たち日韓ネットなど各市民団体や平和フォーラム、6.15共同宣言実践日本地域委員会の在日の皆さんなどで構成され2014年8月27日に設立】

2023年3月 6日 (月)

●韓国政府の徴用工問題解決法に反対する過去清算共同行動の声明


【声明】歴史に目を閉ざし、被害者を置き去りにしたままでは解決にならない!

             2023年3月6日 強制動員問題解決と過去清算のための共同行動
                                             https://181030.jimdofree.com/

 本日、韓国政府・朴振外交部長官が「強制徴用大法院判決関連解決法」を発表しま
した。
 「解決法」として示したのは、①「日帝強制動員被害者支援財団」(以下、財団)が
2018年大法院判決の原告に判決金・遅延利子を支給する、②後続措置として、被害者の
苦痛を記憶し、継承していくために追慕、教育・調査・研究事業等を推進する、③判決
金・遅延利子支払いの財源は民間の自発的寄与などを通じて用意する、の3点。「今後
の計画」として、被害者・遺族に「解決法」への理解・同意を求めること、財団への財
源用意が確実に進むようにすることなどを打ち出しています。

 これを受けて、日本政府・林芳正外相は記者会見で、韓国政府の「解決法」を「日韓
関係を健全な関係に戻すためのものとして評価」すると言い、「この機会に、日本政府
は、1998年10月に発表された『日韓共同宣言』を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立
場を全体として引き継いでいることを確認」する旨を表明しました。

 被告企業は、この韓国政府の発表について「特にコメントする立場にない」とコメン
トしました。そして、改めて「請求権協定で解決済み」との見解を明らかにしました。

 韓国政府が日本政府に求めた「誠意ある呼応」は何ひとつ反映していません。これで
強制動員問題が解決したとは言えません。

 第1に、被告日本企業は謝罪もしていなければ、賠償支払いの表明もしていません。
被告企業は日本と韓国の裁判で、強制動員し、強制労働を強いた事実、その不法行為責
任を認定されています。にもかかわらず被害者に謝罪の言葉さえなく「コメントする立
場にない」と他人事のように振る舞っています。

 第2に、林外相の「歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」
との言葉は、「韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えた」という19
98年宣言の核心的部分を欠落させています。日本政府は戦時中の朝鮮人強制動員につい
て第一に責任を負うべき立場にあるにもかかわらず「多大の損害と苦痛」を受けた強制
動員被害者に謝罪しなかったのです。

 このように韓国の財団に賠償支払いを肩代わりさせておきながら加害当事者は謝罪も
せず、1円の金も出さない、これで強制動員問題が解決するはずがありません。

 日韓両政府は、今回の「解決法」発表により、日韓関係が改善され、発展していくと
言っています。しかし、強制動員問題等を解決し、植民地主義を清算するプロセスを進
めていかない限り日韓の真の友好は深まらず、関係が発展していくはずがありません。

 今回の「解決法」について、生存被害者原告は受け入れられないとの立場を明らかに
しています。

 私たちは、被害者ととともに、
(1)日本政府・被告企業が強制動員の事実を認めて真摯に謝罪し、その証として償い
のために資金を拠出し、同じことを繰り返さないための措置を具体的に講ずること、

(2)そのために被害者原告及び遺族との協議の場を設けること、

----を求めて運動を続けていきます。

 

2023年3月 2日 (木)

●3.1(104周年)新宿キャンドル行動に160人

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3月1日午後6時から新宿西口で3.1朝鮮独立運動104周年キャンドル行動が行われた。

4年前の3.1(100周年)以来毎年開催されている新宿でのキャンドル行動で、160人の人々が手に手にキャンドル(ペンライト)を掲げながら取り組んだ。リレートークの開始前とフィナーレになりぞうさんが「朝露」などを熱唱した。

途中から右翼・レイシスト集団が妨害してきたが、毅然として行動を繰り広げた。

リレートークでは最初に主催者あいさつを野平晋作さん(3.1ネット、ピースボート)が行い、それぞれの課題に取り組んでいる各団体の代表が熱烈にアピールした。司会は総がかり行動から菱山南帆子さん。

【リレートーク】

  歌・なりぞうさん、司会菱山南帆子(総がかり行動実行委員会)
  主催者挨拶 野平晋作(3.1ネット・ピースボート共同代表)
  徴用工問題 山本直好さん(日鉄裁判支援する会事務局長)
  関東大震災虐殺100年問題 宮川泰彦さん(日朝協会会長)
  「慰安婦」問題 柴洋子さん(日本軍「慰安婦」問題解決全国行動共同代表)
  朝鮮学校差別問題 森本孝子さん(朝鮮学校「無償化」排除に反対する連絡会共同代表)
  停戦協定70年問題 ソン・ヒョングンさん(在日韓国民主統一連合議長)
  沖縄基地問題 青木初子さん(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)
  改憲問題 土井登美江さん(総がかり行動・壊すな!9条実行委員会)

  川島進さんの動画 https://www.youtube.com/watch?v=gQW43DZxxrY

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熱唱するなりぞうさん

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徴用工問題でアピールする山本直好さん

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日本軍「慰安婦」問題解決全国行動の柴洋子さん

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総がかり行動 土井さん

 

 2023 3・1朝鮮独立運動104周年集会 賛同団体⇒個人一覧・50音順 (2/27現在)      

【団体】I女性会議千葉県本部、「憲法」を愛する女性ネット、原水爆禁止日本協議会(原水協)、強制動員問題解決と過去清算のための共同行動、研究所テオリア、憲法を生かす会関東連絡会、在日韓国民主女性会、在日韓国民主統一連合、新社会党、新社会党東京都本部、スペース21、朝鮮学校「無償化」排除に反対する連絡会、朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会、朝鮮の自主的平和統一支持日本委員会、「止めよう1辺野古埋立て」国会包囲実行委員会、日韓民衆連帯全国ネットワーク(日韓ネット)、日朝協会、日本カトリック正義と平和協議会、ピースボート、ぴ~す・め~る、ふぇみん婦人民主クラブ、フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)、婦人民主クラブ、部落解放同盟東京都連合会、平和を実現するキリスト者ネット、平和といのちイグナチオ9条の会、本郷文化フォーラムワーカーズスクール(HOWS)、許すな!憲法改悪・市民連絡会、1923関東朝鮮人大虐殺を記憶する行動、【個人】青柳清美、秋山淳子(オール埼玉総行動副実行委員長)、浅井健治、新里倫子、池上仁、石下直子、伊藤英一、岩崎富久男、岩本乾治、内田雅敏(弁護士)、大下富佐江、大友陽子、小笠原三枝子、奥村律子、尾澤邦子(日韓ネット・ノレの会)、尾澤孝司(日韓ネット)、小田川興、小野信也(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)、川見一仁、川村肇(独協大学教員)、北川広和(日韓ネット・「日韓分析」編集)、北原れい子、金性済(日本キリスト教協議会総幹事・日韓プラットフォーム書記)、くじゅうのりこ(東アジアの和解と平和ネットワーク)、久世裕子、黒田恵、権龍夫、近藤ゆり子、宋世一、高史明(作家)、斎藤義夫(元都立高校教員)、坂本史子(元目黒区議)、桜井大子、佐藤邦也、芝崎眞吾(東水労退職者会)、申嘉美、鈴木敏夫(子どもと教科書全国ネット21事務局長)、高梨晃嘉(日朝国交正常化を求める神奈川県民の会事務局長)、高野孟、高橋昭子、高橋華枝、竹腰英樹、武田隆雄(日本山妙法寺僧侶)、田上中、谷口洋子、寺尾光身(名古屋工業大学名誉教授)、土松克典(日韓ネット・HOWS)、中地弘志、中塚明(奈良女子大学名誉教授)、中村知明(郵政ユニオン本部顧問)、中村光一、奈良本英佑、難波幸矢(日本キリスト教団東中国教区常置委員)、西惇、花村健一、原崎澄子、番場明子(ぴ~す・め~る)、飛田雄一(公益財団法人 神戸学生青年センター理事長)、平野晶男、平山良平、福島博子、布施由女(三多摩日朝女性のつどい世話人)、松浦賢治、森内慎一郎、森本孝子(朝鮮学校「無償化」排除に反対する連絡会共同代表)、矢野秀喜(強制動員問題解決と過去清算のための共同行動)、山口菊子、梁大隆(1923関東朝鮮人大虐殺を記憶する行動)、吉沢公良(荒川住民ひろば)、與芝豊、吉原真次、渡辺一夫(韓国良心囚を支援する会全国会議代表)、渡辺健樹(日韓ネット共同代表)、渡辺真哉、渡辺多嘉子、渡辺吉男 匿名希望5名

 

2023年2月27日 (月)

●3.1(104周年)2.25屋内集会の報告 尾澤邦子

                        日韓ネット事務局 尾澤邦子

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 チェ・ウナ氏の入国拒否に抗議

 2月25日午後6時半、文京区民センター2A 会議室で、3.1朝鮮独立運動104周年東京集会が開催されました。司会は、総がかり行動実行委員会の山口菊子さん。

 冒頭の主催者あいさつで日韓ネット共同代表の渡辺健樹さんから語られたのは、集会の韓国ゲストとして招かれたチェ・ウナさんが、昨24日午後成田空港入管で入国拒否され強制退去させられたということでした。チェ・ウナさんは、韓国進歩連帯自主統一委員長として、集会で報告をすることになっていました。主催者から送られた招請状を提示し、主催者に確認してほしいと要求したにもかかわらず、5時間も拘束され退去させられたとのこと。なんてひどいことでしょう。抗議の緊急声明を集会参加者一同として発することになりました。

 慎蒼宇・法政大教授が講演

 法政大学教授の慎蒼宇(シン・チャンウ)さんから「関東大震災時、朝鮮人はなぜ殺されたのか?朝鮮植民地戦争と3.1独立運動、朝鮮人虐殺への道」と題する講演がありました。
 シン・チャンウさんのおじいさんのお兄さんは、関東大震災当時、八広の京成鉄橋の近くにいて虐殺の被害にあったが、奇跡的に生き延びたとのこと。シン・チャンウさんは、「関東大震災時の朝鮮人虐殺は、『天災』ではなく『人災』です」と強調しました。「植民地ではすでに多くの朝鮮民衆虐殺を日本軍隊、憲兵、警察は経験し、虐殺を後方から支える社会が形成されていた。関東大震災100年を迎えるにあたって、日本には二つの歴史認識が欠落している。ひとつは、朝鮮人虐殺に対する歴史認識、人権意識が悪くなってきている。また、植民地主義への告発、民衆・民族運動の歴史に対する認識が確立されていない。関東大震災朝鮮人虐殺の背景には、日本による朝鮮植民地支配と民族運動への蔑視・差別がある。日本では、植民地支配からの独立を求めた運動を『反日』『暴徒』という言葉を付け、凄惨に弾圧を続けてきた。それは『不逞鮮人』という言葉につながっていく。関東大震災時には、架空の『朝鮮人テロリスト』というイメージを作り上げ、無実の朝鮮民衆への攻撃に転嫁した。この時期に形成された植民地意識が克服されることなく、今でも韓国などから批判が来ると『反日』というレッテルを貼って怒りをあらわにする。これは植民地主義です。」と話しました。そして関東大震災朝鮮人虐殺の背景として、植民地における軍事的暴力と現地の人々の抵抗の歴史(植民地戦争)があり、日本は民族運動の殲滅と「連座制」による民衆虐殺を繰り返してきたと話しました。なぜ虐殺が繰り返されたのかを示す「軍人・軍隊の朝鮮植民地戦争・台湾・シベリア経験」の資料は、その研究の深さと広さに感じ入るぼう大なものでした。
 最後にまとめとして、関東大震災で朝鮮人は三度殺されているというお話がありました。
1.虐殺=自然災害時の偶発的事故ではなく「人災」(一度目)
2.事後処理において国家権力によって隠蔽された(二度目)
3.今も日本政府による公式謝罪・補償・真相究明・責任者処罰はなし(三度目)
 まだまだ話し足りないようでしたが、時間に追われてしまいました。

 韓国ゲスト  キム・チヘさんが停戦70年に向けた平和行動提起

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 韓国ゲストの報告は、韓国進歩連帯自主統一局長のキム・チヘさんが行いました。「朝鮮戦争の停戦70年、新しい平和の道を切り拓こう!~停戦70年に向けた平和行動の提案~」と題して話しました。
 キム・チヘさんは、東北アジアにおける対立と、戦争危機が高まる朝鮮半島の情勢について話し、韓米日戦争同盟に対抗し、戦争危機をなくし、戦争を起こさせない、平和実現のための共同行動を行おうと提案しました。韓国では「停戦70年、朝鮮半島平和行動」が発足し、735団体が参加しているとのこと。主な活動としては、朝鮮戦争終結と平和実現のための100万人署名運動、全世界300か所での平和行動、韓米合同軍事演習・韓米日軍事協力反対活動など進める計画とのこと。そして「共に戦争危機を克服し、戦争同盟反対、朝鮮半島の平和体制と東アジア平和協力体制構築のため連帯して闘おう」と呼びかけました。

 特別報告 南西諸島軍事化の危険性について高良鉄美・参議院議員
 
Photo_20230302111501  特別報告として、参議院議員の高良鉄美さんから、南西諸島軍事化の危険な動きについて訴えがありました。高良さんは「沖縄の住民に説明なしにミサイル配備が進められている。また、閣議決定された安保3文書では、民間の船を利用して弾薬を運び、住民は後回しにされている。すでに戦争の準備が始まっている危ない状況だ」と話していました。「『主権在米』であってはダメ、戦争を止めよう」と訴えました。

 参加者は170名。行動提起で登壇した「子どもと教科書全国ネット21」の鈴木敏夫事務局長は、高校生が使っている日本の歴史教科書には、関東大震災での虐殺が「殺傷事件」として書かれていたが、それも今回抹消されたと話していました。南京虐殺も「南京事件」になっているとのこと。やはりと思って、がっくりします。
 3月1日夜には新宿でアピール行動を行うので集まってほしいと呼びかけがありました。また9月にはさまざまな行動・集会が予定されています。あきらめず、歴史に学び、声を上げなければと思いました。

2023年2月25日 (土)

●【緊急声明】チェ・ウナ氏の入国拒否に抗議する

【緊急声明】
チェ・ウナ氏の入国拒否に抗議する

 昨日(2月24日)成田空港入管事務所は、東京で開催される「3.1朝鮮独立運動104周年集会」への招請を受けて来日したチェ・ウナ氏を入国拒否するという暴挙をおこなった。チェ氏は不当にも数時間にわたり拘束され、その間入管職員に日本側の集会主催者から送られた招請状を提示し、日本側主催者へ確認して欲しいという要求も無視した。招請元の日本側主催者からの成田入管への問い合わせにも、「どういう状況かも教えられない」という一点張りであった。


 今回入国拒否されたチェ・ウナ氏は韓国の市民・社会運動団体の幹部として朝鮮半島の平和と統一のため尽力している人物である。
 これは東アジアの平和を求める市民・民衆の交流と連帯を妨害しようとするものであり、とくに日韓間で懸案となっている徴用工問題などで被害者を無視した「解決案」が出され、米日韓軍事協力を押し進めようとする中での動きであると言わざるをえない。しかもこの間、平和・人権運動の人士への空港での数時間にわたる拘束や嫌がらせが繰り返し行われている。
 私たちは今回のチェ・ウナ氏入国拒否をおこなった入管当局に強く抗議するとともに、二度とこのようなことが繰り返されないよう強く要求するものである。

           2023年2月25日
           3.1朝鮮独立運動104周年集会参加者一同
             主催「3.1朝鮮独立運動」日本ネットワーク
                連絡先団体 日韓ネット・ピースボート・教科書ネット・
                      日朝協会・韓統連・小川町企画 (順不同)

             協賛 戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

 

2023年1月 1日 (日)

★3・1朝鮮独立運動104周年行動のご案内

 

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                 3・1朝鮮独立運動104周年 
 東アジアの民衆連帯で新たな戦争を起こさせない!
 植民地支配を清算し大軍拡止めよう!
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 ●【2・25屋内集会】

    日時 2月25日(土)18時半開会(18時開場)   資料代800円
   場所 文京区民センター2A (地下鉄春日or後楽園すぐ)

   講演 「関東大震災時の朝鮮人虐殺の歴史的背景」
         慎蒼宇さん(シン・チャンウ、法政大教授)

   韓国ゲスト「朝鮮戦争70周年運動と朝鮮半島平和への道  
         チェ・ウナさん(韓国進歩連帯 自主・統一委員長、
                 6.15共同宣言実践南側委員会 事務局長)

     特別報告 南西諸島軍事化など危険な動き 
                      高良鉄美さん(参議院議員、沖縄の風)


                    *ご参加の際はマスクの着用をお願いします。

 ●【3・1新宿キャンドルアクション】

     日時 3月1日(水) 18時開始
    場所 新宿駅西口前
   リレートーク 関東大震災虐殺100年問題、徴用工問題、日本軍「慰安婦」問題、
                            朝鮮学校「無償化」差別問題、停戦協定70年問題、沖縄米軍基地
                            問題、、憲法改悪問題 ほか 

  ●【主催】「3・1朝鮮独立運動」日本ネットワーク(旧100周年キャンペーン)

               連絡先 日韓ネット(070-6997-2546)
                         ピースボート(03-3363-7561) 
                         日朝協会(03-3237-1991)
                       子どもと教科書全国ネット21(03-3265-7606)
                         在日韓国民主統一連合(03-4361-6357)
                         小川町企画(03-3818-6671)       (順不同)
  【協賛】戦争させない!9条壊すな!総がかり行動実行委員会

【3・1独立運動104周年集会・行動への賛同をお願いします】
  賛同費  個人(1口)1000円 団体(1口)3000円
  郵便振替 00190-9-604110 口座名[3・1記念事業委員会] *3・1賛同と明記下さい
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                                     【呼びかけ】

 今年の3月1日は、日本からの独立を求め朝鮮全域で人びとが立ち上がった3・1独立運動(1919年)から104周年を迎えます。私たちにとっては歴史を直視しながら日本と朝鮮半島やアジアの人びととの平和な関係をいかに築くのかを問い直す日でもあります。

    ■ 停戦協定から70年--朝鮮戦争を終結させ平和協定締結を

 いま朝鮮半島では、日本からの解放と同時にもたらされた南北分断から78年。南北分断に起因する朝鮮戦争の停戦協定からも70年が経過しましたが、いまだ戦争は終結していません。これこそが朝鮮半島「危機」の根源です。
いま再び緊張が激化していますが、朝鮮戦争を終結させ、停戦協定を平和協定に転換させることで東北アジアの非核・平和の実現に向かうことができます。この地に軍隊を置き、居座り続ける米国に戦争の終結に応じるよう強く求めていくことが必要です。

     ■ 関東大震災虐殺から100年--歴史を直視し、岸田大軍拡に反対しよう

 今年は関東大震災の朝鮮人・中国人虐殺から100年の年でもあります。しかし岸田政権は植民地支配の反省もなく、米国につき従い、中国・朝鮮の「脅威」を煽りながら先制攻撃のための「敵基地攻撃能力」保有や大増税を伴う軍事費倍増など、憲法9条下で守ってきた「専守防衛」のタテマエすらかなぐり捨て日本を<戦争する国>へ大転換させようとしています。
 東アジアの民衆連帯で改憲・大軍拡を止め、平和国家の道めざそう。

      ■ 3・1朝鮮独立運動104周年行動に集まろう!

 

2022年9月19日 (月)

●9・17日朝ピョンヤン宣言20周年集会に200人(詳報&感想)

UPLANさんの集会全編動画はコチラ↓

 https://www.youtube.com/watch?v=k-dwoV1Wd0I

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                       日韓ネット事務局・尾澤邦子

 9月17日(土)午後、東京の文京区民センターで行われた「9.17日朝ピョンヤン宣言20周年集会『今こそ日朝国交正常化交渉再開を』」に参加しました。

 主催者あいさつは、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の菱山南帆子さん。安倍元首相について「ピョンヤン宣言を無視し、朝鮮との外交などのつながりを持とうとせず、重要課題だと言ってきた拉致問題では何一つ進展はありませんでした。ミサイルの脅威を利用して票をだまし取り、延命してきたにすぎない政権でした。」など、東北アジアの平和とは程遠い行為を行ってきたことを批判。また3年ぶりに韓国に行ったことを報告し「日本は過去の侵略戦争を反省し、繰り返さないと誓った憲法9条を世界に活かしていくことこそが戦争責任だと思う」と話しました。憲法9条を「みっともない憲法」だと言い、改憲に邁進し、また民族差別の政治を行ってきた安倍元首相を国葬になどしてはいけないと強調しました。「国葬反対の世論が盛り上がっている今こそ、市民運動が力を発揮するとき。岸田政権に対し、畳みかけるような運動の継続が必要。軍事費の増額を許さない世論を盛り上げ、内閣を打倒しよう。そのためにも東北アジアの仲間たちとの連帯は不可欠」と訴えると、会場からは「そうだ!」の声と拍手があちこちから起こり、おおいに元気をいただきました。

菱山南帆子さん

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 旧統一教会問題などでいまや大忙しの有田芳生さんが登壇。「拉致問題はなぜ解決しないのか。安倍政権の罪」と題して講演を行いました。
 朝鮮民主主義人民共和国のソンイルホ大使が一昨日出したコメントには、3つの特徴があると話し始めました。「ひとつは『拉致問題は完全に解決した』、これは20年間変わっていない。5人生存、8人死亡を今回も明らかにした。問題が解決つかないのは、日本政府に責任があるという指摘。また日朝ピョンヤン宣言が今でも有効であることを声明で出したことは大事なことだ。日本政府も日朝ピョンヤン宣言は有効だと言っている」と。
 有田さんは「2002年の小泉訪朝は、1年間の水面下での極秘交渉があって実現した。しかし拉致を認めようとしないキムジョンイル総書記の態度に対し、これでは日朝ピョンヤン宣言も締結できないと、日本側の総力で説得して、宣言を発表することができた。同行した安倍晋三官房副長官の手柄だなどという人がいるが、それは全くのデタラメだ。2012年の第2時安倍政権発足の時、安倍さんは拉致問題の『完全解決』を約束したが、何も成果がなかった。何が問題かといえば、外務省を信用しなかった。小泉訪朝を準備した歴史、教訓、成果から学ぼうとせずに、官邸外交にシフトした。経産省と警察の幹部を重用して外交をやらせた。そこで失敗した。北朝鮮側は2018年には、日朝交渉再開のための条件を提示している。日本における差別政策を是正すること、制裁の解除など。2017年の国連総会で安倍晋三さんは『北朝鮮に対しては圧力しかない』と演説した。また河野太郎さんは『北朝鮮と断行しよう』などと言った。それが決定的だった。以降相手にされない。救う会が方針を決めて、家族会が容認し、それを政府が聞かざるを得ないというこの構造を崩さないと日朝交渉は進まない。『全ての被害者の即時一括帰国』なんてありえない。それを世論の力で崩していかないといけない」と話しました。とても説得力のあるお話しで、よくわかりました。

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有田芳生さん(上)と岡本厚さん(下)

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 休憩を挟み、「世界」元編集長の岡本厚さんが、「『日朝平壌宣言』20年とウクライナ戦争後の東アジア」と題して、講演を行いました。
 日朝平壌宣言は第1項目で、「国交正常化交渉を再開する」とうたっています。また2項目では、「日本側は、過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した」としています。岡本さんは「総理大臣が国交のない国に自ら乗り込み、それまでの関係を一挙に変えようとした画期的な行動」だと評価しました。しかし、なぜ20年間動かなかったのかといえば、安倍さんの歴史修正主義的な姿勢が大きな要因だと話しました。不誠実であったのはアメリカや日本で、「北朝鮮は崩壊する」という思い込みを持っていたのではないか、北朝鮮に対する情報が誤っていたのではないかと考えざるを得ない、教育レベルはとても高い国だと言っていました。
 北朝鮮はなぜ核開発を進めるのかについては、「米韓軍事演習の恐怖、爆撃の恐怖が原点」と話していました。ウクライナ戦争の教訓は「戦争を起こしてはいけない」ということだと。
 これから何を進めるべきかについては、「日朝平壌宣言」の精神に戻ることと話していました。確かにそうだと思います。そして「今こそ日朝国交正常化交渉」の再開が必要だと思います。司会者から、ぜひおうちに帰って「日朝平壌宣言」を読み直してくださいと言われました。

集会は最後に、安倍国葬に反対する実行委員会から高田健さん、沖縄の玉城デニー知事再選勝利後の闘いについて沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの木村辰彦さん、朝鮮学校「無償化」排除に反対する連絡会から森本孝子さんからのアピールを受けました。

会場は200人の参加で、みな熱心に講師の話に聞き入っていました。以前なら、終わってからの一杯、交流会を楽しみにしていましたが、まだコロナの影響もあり、みなまっすぐ帰りました。(了)

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 高田健さん                   木村辰彦さん

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 森本孝子さん                  鈴木敏夫さん

 

日朝ピョンヤン宣言20周年集会呼びかけ
-今こそ日朝国交正常化交渉の再開を!-

今年の9月17日は、日朝国交正常化の早期実現をめざすことで合意した「日朝平壌宣言
」から20年を迎えます。かつて日本が行った侵略・植民地支配によって多大な被害を与
えた朝鮮民主主義人民共和国との間で未だ国交すらないこと自体異常なことです。
私たちは不幸な過去の清算を基礎とした日朝国交正常化のための交渉を速やかに再開す
ることを求めます。

 停戦状態から朝鮮戦争の終結へ

朝鮮半島が、日本からの解放と同時に南北に分断されてから今年で77年。南北分断に起
因する朝鮮戦争の停戦協定からも69年が経過しましたが、いまだ戦争は終結していませ
ん。これこそが朝鮮半島の「危機」の根源です。

2018年の南北首脳による板門店宣言、史上初の米朝シンガポール首脳会談は、朝鮮戦争
の終結、朝鮮半島の平和体制と完全な非核化へ向かう歴史的な可能性をもたらしました
が、米国の引き続く強硬政策、韓国の政権交代による米韓合同軍事演習の拡大など再び
緊張激化の時代に入りました。朝鮮側も2018年以来継続してきたICBMの発射実験や核実
験のモラトリアム(猶予)を停止する方向に動いています。

さらに米国はウクライナに対するロシアの軍事侵攻を口実に「東アジアも例外ではない
」として、中国・朝鮮の「脅威」を煽りながら米日韓軍事態勢を強化し、その中で日本
政府は専守防衛から「敵基地攻撃」「敵指揮拠点攻撃」に至る能力の保有や軍事費のGD
P比2%以上へ大軍拡を進めようとしています。

 平和外交こそ日本がとるべき道

日本政府が今とるべき道は、戦争を呼び込むこうした危険な動きではなく、南北・米朝
首脳会談で確認された朝鮮半島の平和・統一と非核化実現のために平和外交で積極的役
割を果たすことだと私たちは確信します。

そして何よりも日朝ピョンヤン宣言を基礎に、不幸な過去を清算し日朝国交正常化交渉
を速やかに再開すべきです。またその中で在日朝鮮人への差別を止め法的地位と人権保
障についても誠実に協議・履行することを求めます。
日朝ピョンヤン宣言20周年集会に結集し、声を挙げていきましょう。p> 

 

【資料】         日朝平壌宣    (日本外務省HPから)
 小泉純一郎日本国総理大臣と金正日朝鮮民主主義人民共和国国防委員長は、2002年9月17日、平壌で出会い会談を行った。
 両首脳は、日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、実りある政治、経済、文化的関係を樹立することが、双方の基本利益に合致するとともに、地域の平和と安定に大きく寄与するものとなるとの共通の認識を確認した。

1.双方は、この宣言に示された精神及び基本原則に従い、国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾注することとし、そのために2002年10月中に日朝国交正常化交渉を再開することとした。
 双方は、相互の信頼関係に基づき、国交正常化の実現に至る過程においても、日朝間に存在する諸問題に誠意をもって取り組む強い決意を表明した。

2.日本側は、過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した。
 双方は、日本側が朝鮮民主主義人民共和国側に対して、国交正常化の後、双方が適切と考える期間にわたり、無償資金協力、低金利の長期借款供与及び国際機関を通じた人道主義的支援等の経済協力を実施し、また、民間経済活動を支援する見地から国際協力銀行等による融資、信用供与等が実施されることが、この宣言の精神に合致するとの基本認識の下、国交正常化交渉において、経済協力の具体的な規模と内容を誠実に協議することとした。
 双方は、国交正常化を実現するにあたっては、1945年8月15日以前に生じた事由に基づく両国及びその国民のすべての財産及び請求権を相互に放棄するとの基本原則に従い、国交正常化交渉においてこれを具体的に協議することとした。
 双方は、在日朝鮮人の地位に関する問題及び文化財の問題については、国交正常化交渉において誠実に協議することとした。

3.双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。また、日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題については、朝鮮民主主義人民共和国側は、日朝が不正常な関係にある中で生じたこのような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとることを確認した。

4.双方は、北東アジア地域の平和と安定を維持、強化するため、互いに協力していくことを確認した。
 双方は、この地域の関係各国の間に、相互の信頼に基づく協力関係が構築されることの重要性を確認するとともに、この地域の関係国間の関係が正常化されるにつれ、地域の信頼醸成を図るための枠組みを整備していくことが重要であるとの認識を一にした。
 双方は、朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守することを確認した。また、双方は、核問題及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図ることの必要性を確認した。
 朝鮮民主主義人民共和国側は、この宣言の精神に従い、ミサイル発射のモラトリアムを2003年以降も更に延長していく意向を表明した。

 双方は、安全保障にかかわる問題について協議を行っていくこととした。

    日本国 総理大臣       朝鮮民主主義人民共和国 国防委員会委員長
      小泉純一郎                 金 正日

 

2022 9・17日朝ピョンヤン宣言20周年集会 賛同団体⇒個人一覧・50音順 (9/15現在)      

【団体】荒川住民ひろば、原水爆禁止日本協議会(原水協)、強制動員問題解決と過去清算のための共同行動、キリスト者平和ネット、研究所テオリア、「憲法」を愛する女性ネット、憲法を生かす会関東連絡会、在日韓国民主女性会、在日韓国民主統一連合、スペース21、朝鮮学校「無償化」排除に反対する連絡会、朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会、日韓民衆連帯全国ネットワーク(日韓ネット)、日朝協会、日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会、日本平和委員会、ぴ~す・め~る、東アジアの和解と平和ネットワーク、ふぇみん婦人民主クラブ、婦人民主クラブ、部落解放同盟東京都連合会、本郷文化フォーラムワーカーズスクール(HOWS)、許すな!憲法改悪・市民連絡会、【個人】浅井健治、新里倫子、池上仁、石井寛(韓国良心囚を支援する会全国会議事務局長)、石下直子、伊藤英一、井上好子、岩村義雄(神戸国際キリスト教会牧師)、岩本乾治、大谷猛夫、小笠原三枝子、岡田雅宏、奥村律子、尾澤邦子(日韓ネット・ノレの会)、尾澤孝司(日韓ネット)、小田川興(在韓被爆者問題市民会議)、小野信也(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)、北川広和(日韓ネット・「日韓分析」編集)、北原れい子、北村小夜、金性済(日本キリスト教協議会[NCC]総幹事)、くじゅうのりこ(東アジアの和解と平和ネットワーク)、倉林浩(郵政ユニオン)、小林和博(日本製鉄元徴用工裁判を支援する会会員)、近藤ゆり子(9条の会・おおがき世話人)、斎藤紀代美、坂本史子(元目黒区議会議員)、佐藤かづ代、佐藤邦也、芝崎眞吾(東水労退職者会)、城山大賢(報正寺住職)、申嘉美、高梨晃嘉(日朝国交正常化をすすめる神奈川県民の会事務局長)、高野孟(ジャーナリスト)、高橋昭子、高橋華絵、竹内宏一(日朝教育・文化交流をすすめる愛知の会)、竹腰英樹(中野協同プロジェクト)、武田隆雄(日本山妙法寺僧侶)、田場祥子、寺尾光身(元理系教員)、土松克典(日韓ネット・HOWS)、西賢一、西惇、蜂巣裕人、原崎澄子。番場明子(ぴ~す・め~る)、平山良平(<ノーモア南京>名古屋の会事務局)、堀純、布施由女、松尾直樹、松田照男、森内慎一郎、森川静子、森本孝子(平和憲法を守る荒川の会代表)、矢野秀喜(強制動員問題解決と過去清算のための共同行動)、山口菊子(「憲法」を愛する女性ネット)、山根敏英、吉原信次、渡辺一夫(韓国良心囚を支援する会全国会議代表)、渡辺健樹(日韓ネット共同代表)、渡辺真哉(比例代表制を求める請願署名)、渡辺多嘉子、渡辺吉男 (匿名希望4名)

 

2022年9月 1日 (木)

★9.17日朝ピョンヤン宣言20周年集会のご案内

ちらし表ダウンロード - e2978f2022.9.17e38381e383a9e382b7e8a1a8.pdf

ちらし裏ダウンロード - e2978f2022209.17e38381e383a9e382b7e8a38f.pdf

 

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              9・17日朝ピョンヤン宣言20周年集会 
          今こそ日朝国交正常化交渉の再開を!

       *****************************************************
               *チラシと異なり都合により以下の発言順となります
             
講演】①拉致問題はなぜ解決しないのか 安倍政権の罪

         有田 芳生さん(ジャーナリスト・前参議院議員)

1952年京都府生まれ。立命館大学卒業後。フリージャーナリストとして活動。95
年「ザ・ワイド」などTVコメンテーター(07まで)。2010年参議院選出馬し初当選
2期務める。近著に『北朝鮮拉致問題 極秘文書から見える真実』(集英社新書)など
著書多数。

【講演】②「日朝平壌宣言」20年とウクライナ戦争後の東アジア

       岡本 厚さん(『世界』元編集長)
                         
1954年東京生まれ。77年早大卒、岩波書店入社、雑誌『世界』配属。96年同誌編集長(
2012年まで)。98年金大中韓国大統領に単独インタビュー。09年馬英九台湾総統に単独
インタビュー。99年、02年に平壌訪問。06年、08年、10年に日韓中共催の東アジア平和
フォーラムを組織。05年に起こされた「沖縄戦『集団自決』裁判」の岩波書店の担当と
なる(11年最高裁で勝訴)。13年より代表取締役社長。21年退任。

 日時 9月17日(土)午後2時開会(1時半開場)
 場所 文京区民センター3A [資料代800円]
   (地下鉄「春日」or「後楽園」下車すぐ)    

【お願い】感染予防のためマスクをご着用ください

主催 朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!市民連帯行動       
連絡先 ●戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
      1000人委員会(03-3526-2920)
        9条壊すな!実行委(03-3221-4668)
      憲法共同センター(03-5842-5611)
        ●「3・1朝鮮独立運動」日本ネットワーク(旧100周年キャンペーン)
      日韓ネット(070-6997-2546)
      ピースボート(03-3363-7561) 
      日朝協会(03-3237-1991)
      子どもと教科書全国ネット21(03-3265-7606)
      小川町企画(03-3818-6671) 
      韓統連(03-4361-6357)

【賛同募集中】
 ●賛同費   個人(1口)1000円/団体(1口)3000円
 ●郵便振替 00190-9-604110 口座名 [3・1記念事業委員会]  
    *「9・17集会賛同」と明記してください
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 日朝ピョンヤン宣言20周年集会呼びかけ
  -今こそ日朝国交正常化交渉の再開を!-

今年の9月17日は、日朝国交正常化の早期実現をめざすことで合意した「日朝平壌宣言
」から20年を迎えます。かつて日本が行った侵略・植民地支配によって多大な被害を与
えた朝鮮民主主義人民共和国との間で未だ国交すらないこと自体異常なことです。
私たちは不幸な過去の清算を基礎とした日朝国交正常化のための交渉を速やかに再開す
ることを求めます。

 停戦状態から朝鮮戦争の終結へ

朝鮮半島が、日本からの解放と同時に南北に分断されてから今年で77年。南北分断に起
因する朝鮮戦争の停戦協定からも69年が経過しましたが、いまだ戦争は終結していませ
ん。これこそが朝鮮半島の「危機」の根源です。

2018年の南北首脳による板門店宣言、史上初の米朝シンガポール首脳会談は、朝鮮戦争
の終結、朝鮮半島の平和体制と完全な非核化へ向かう歴史的な可能性をもたらしました
が、米国の引き続く強硬政策、韓国の政権交代による米韓合同軍事演習の拡大など再び
緊張激化の時代に入りました。朝鮮側も2018年以来継続してきたICBMの発射実験や核実
験のモラトリアム(猶予)を停止する方向に動いています。

さらに米国はウクライナに対するロシアの軍事侵攻を口実に「東アジアも例外ではない
」として、中国・朝鮮の「脅威」を煽りながら米日韓軍事態勢を強化し、その中で日本
政府は専守防衛から「敵基地攻撃」「敵指揮拠点攻撃」に至る能力の保有や軍事費のGD
P比2%以上へ大軍拡を進めようとしています。

 平和外交こそ日本がとるべき道

日本政府が今とるべき道は、戦争を呼び込むこうした危険な動きではなく、南北・米朝
首脳会談で確認された朝鮮半島の平和・統一と非核化実現のために平和外交で積極的役
割を果たすことだと私たちは確信します。

そして何よりも日朝ピョンヤン宣言を基礎に、不幸な過去を清算し日朝国交正常化交渉
を速やかに再開すべきです。またその中で在日朝鮮人への差別を止め法的地位と人権保
障についても誠実に協議・履行することを求めます。
日朝ピョンヤン宣言20周年集会に結集し、声を挙げていきましょう。
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【日朝ピョンヤン宣言とは】2002年9月17日、当時の小泉純一郎首相が訪朝し朝鮮の金
正日国防委員長と合意したもの。内容は、(1)双方は国交正常化を早期に実現させるた
め努力を傾注、(2)日本側は過去の植民地支配について痛切な反省と心からのお詫びを
表明、(3)双方は国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらない。朝鮮側は日本
国民の生命と安全にかかわる懸案問題が再び起こらないよう適切な処置をとる、(4)双
方は北東アジア地域の平和と安定を維持、強化するため互いに協力する。
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2022年8月22日 (月)

●2022 8.15ソウル自主平和統一大会・デモ参加報告

私たち日韓ネットは過去20年以上にわたり8.15ソウル自主平和統一大会に訪問団を派遣してきましたが、この2~3年はコロナの影響で訪問を断念せざるをえませんでした。しかし今年は、制限が緩和されたことでいろんな制約がありながらも訪問することができました。   以下はその報告です。
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今年の「8.15自主平和統一大会」は8月13日に設定された。その8月13日のソウルは雨だった。昼頃に集会が行われるという南大門前に行くと、まだ人はまばら。横にテントが6~7つ設置されている。見ると「統一ピビンパ」のイベントをやっている。それぞれの団体別に大きな入れ物にご飯を入れて、様々な野菜のナムルがのっている。写真は「8.15統一ピビンパ」と書かれた様子。

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団体ごとに「朝鮮半島の平和」「統一」などの文字がコチュジャンで書いてあり、(写真下)。さらにコチュジャンを入れて写真の通り大きな掛け声をかけて混ぜていく。

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下の写真は木杓子で混ぜる様子だ。

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韓国では8月3日から朝鮮半島の東西を「横断」する「DMZ国際平和大行進」が行われていた。1日20キロ以上を歩くハードスケジュールで、キャンプ場などを回り寝泊まりしながら行進したという。このDMZ行進団には海外からも参加があり、全行程を歩いた人は足に豆ができ、足の裏がすりむいてしまうなど大変だったとのこと。この行進団は青少年グループもあり、彼らは比較的短い距離を歩くようになっている。行進団がソウルの集会に参加する際に、このピビンパをふるまう。

 混ぜられたごはんは「統一ピビンパ」と書かれた紙の弁当箱に入れていく。私たちもお相伴にあずかったが、とても美味しかった!

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 今回はコロナ禍でもあり集会は短く行って、デモ行進をメインに行うとのことだった。あいにく雨が降り出し、雨の中で集会が行われた。
集会の最初の方で、韓米合同軍事演習に反対する各地の集会やデモなどの映像が流れたが、そこでは日本各地で行われた米国大使館や韓国大使館への抗議行動も紹介された。集会のシュプレヒコールでは今年の特徴として「韓米合同軍事演習を中止しろ」というスローガンの合間に「日本の軍事大国化反対!」とか、「日本の平和憲法改悪反対!」というのがあって、韓国でも日本に注目していることがひしひしと伝わってきた。
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 下記は集会最後の様子。各団体の代表が舞台に上がり決議文を朗読し、いよいよデモに出発する。デモは尹大統領になって移転した「大統領執務室」のあるヨンサン(龍山)まで。約3キロ、1時間コース。

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集会やデモは8車線道路の片側通行をシャットアウトし、4車線に広がって行うもので、デモが始まるときには雨も小降りになり、次第に雲の陰から青空も見えてきた。下記の写真はデモ行進出発時に筆者が撮ったものだが、横断幕には「キャンドル中高生(中高年ではない!)市民連帯」と書かれていて、制服参加の姿も見える。集会とデモに労働組合や市民団体に交じって多くの若者の参加も目立っていた。

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上の横断幕には「韓国と米国は、対北制裁・敵対行為を中断せよ!」と書かれている。

下記のYouTubeは集会の様子。
https://www.youtube.com/watch?v=OxM3XMp0pEE

 筆者はデモ終了後にあらかじめ約束していた韓国サンケン労組の皆さんと合流し、夕食を共にした。14日間のハンストを勝ち抜いた皆さんは、すっかりスリムになって元気いっぱいだった。

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 翌日には懇談会があり、夕方からソウル市内中心部で「第10回世界日本軍『慰安婦』メモリアルデー・ナビ文化祭」が行われた。メモリアルデーは1991年に故キム・ハクスン(1924~1997)さんが自ら日本軍慰安婦だった事実を公表した日として、2018年には国の記念日として指定されている。
 ここは、ほとんど若者たちで運営されていて、労働組合の人たちの姿は見当たらない。

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 下記は、YouTubeで公開した様子だ。途中でスコールのような土砂降りの雨で出演者も大変だった。

https://www.youtube.com/watch?v=MHOcBUJmaig

8月15日にはマソクにある民主烈士の墓地に行った。ここには朝鮮半島の統一、平和のために闘い、また労働運動で亡くなった数多くの人たちが眠っている。写真は全泰壱さんの墓前で黙とうする様子。

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 今年はコロナ禍で本当に大変だった。韓国へ入国するときも、出国して日本へ入国する際にもコロナ陰性の検査を受け、それをスマホのアプリに入れるなどの煩雑な作業で面倒だったが、やはり現地へ行って日本の平和は朝鮮半島の平和と直結していると再認識させられた。(M・K2022年8月20日記)

 

2022年3月15日 (火)

●【詳細分析】韓国大統領選と私たち(byかもめ)

        韓国大統領選挙と私たち

                             かもめ

   最近は韓国の開票速報もリアルタイムでYouTube配信されているので、筆者も夜遅くまで見ていたが、なかなか結果が出ず、夜12時にはコンピューターのスイッチを切った。翌朝木曜日の韓国サンケン労組を支援する行動で4時20分に起床しなければならないからだ。結局、大接戦の末、ユン・ソギョル(尹錫悦、61歳)の当確が発表されたのは「遅くとも夜半には」という予想に反し、翌日未明になってからだった。
   韓国の中央選管が発表した尹の最終的な得票数は1,639万票(48.56%)で、1,614万票(47.83%)のイ・ジェミョン(李在明、57歳)との得票差は1%にも満たない0.73%の24万7千票。この得票差は、無効票30万7千票より少なかった。ちなみに無効票には、候補者一本化で途中降板した人の数も含まれている。

 今回の大統領選挙について、まず一般的なことをいくつか。
①候補者:最終的に12人がそれぞれの「政党」から立候補し、無所属はいなかった。10人が男性、2人が女性だった。女性はいずれも進歩系(革新系)の正義党シム・サンジョン(沈相奵)と議席のない進歩党キム・ジェヨン(金在妍)。
 職業別では国会議員1人、商業が1人、その他3人の5人を除く7人が政治家。
②投票率:投票率は全国平均77.1%で、前回の大統領選2017年当時の77.2%よりわずかに少ない。コロナ状況でもあることから、事前投票が史上最多の36.93%となった。ちなみに投票率最高は光州広域市の81.5%(前回82%)、最低は済州道の72.6%(前回72.3%)だった。

1. 尹が勝ったというより、「与党」が負けた
 「あれほど熱かったキャンドルの炎はどこに?」多くの人が怪訝に思うだろう。2016年から2017年にかけて韓国では全国各地でキャンドル集会が開かれ、街頭を埋め尽くした人々は当時の保守、朴槿恵政権を倒した。熱烈な支持と期待で生まれた与党「共に民主党」文在寅政権は2018年4月と9月、相次いで南北首脳会談を開催し、2018年米国トランプ政権の米朝首脳会談も行われて、朝鮮半島や東アジアの平和も希望に満ちたものになった。格差を解消するため労働尊重社会を高らかに掲げ、公共部門における非正規の正規化、最低賃金の1万ウォンへの引き上げ、若者や女性の雇用創出など胸弾むスローガンが並んだ。
 期待が大きいほど落胆は大きい。落胆は失望となり、怒りを生む。
 「文在寅メーター」というのをご存じだろうか。これは韓国市民団体の参与連帯や情報公開センター、環境運動連合、毎日労働ニュース、言論改革市民連帯、貧困社会研究所、正義記憶連帯など28団体(3周年)が連帯して運営し、政権の公約をチェックするプロジェクトだ。ここでは文在寅政権が公約とした887の政策について、毎年その公約推進度をチェックしている。モデルは米国の「ポリティ・ファクトのトランプ・メーター」で①評価されない、②遅滞、③進行中、④変更、⑤完了、公約破棄などに分けてチェックするものだ。ここで2021年5月に発表された資料によると、「政権4年の公約完了は17%に過ぎない」ことが明らかになった。一方で遅滞が約20%、進行中が50%、破棄は2.82%だった。2020年の3年目評価では、公約完了は経済分野25%、地方分権・農漁村17%、統一・国防16%、労働13%だった反面、教育5%、ジェンダー平等5.7%、民生福祉6.5%などは平均にも満たないとしている。
   歴代政権の公約履行率でみると、2021年3月発表の市民団体「経済正義実践市民連合」は廬武鉉43%、李明博39.5%、朴槿恵42%とは比べ物にならないほどだと手厳しい。
 このようなもとで庶民の暮らしと直結する雇用、住居、少子高齢化問題は深刻だ。最低賃金1万ウォンの公約は守られず、非正規雇用で格差が拡がる中、コロナの追い打ちもあって雇用は大変な状況だ。不動産価格は政権発足4年で2倍に跳ね上がり、2020年出生率は「5年連続低下の1.34だと嘆く日本」よりもさらに低い0.84となった。
   開票結果が出た3月10日の朝7時25分、民主労総副委員長のキム・ウニョンさん(韓国サンケン労組)はサンケン電気本社前のオンライン発言で、「公約を守らない大統領は誰であれ、労働者、民衆の審判を受ける」と語った。

2. 結集した保守派、分散したリベラル勢力
   キャンドル直後の保守派は責任のなすり合いと内部分裂に明け暮れた。反共よりも「滅共」を叫び、朴正熙軍事政権をよりどころにして朴槿恵復権を望む勢力、いわゆる守旧派は結集軸を失っていた。すでに多くの人たちが「古臭い韓国保守」を嫌い、ゆすり・たかりまがいの政治風土に嫌気がさしていた。韓国の社会全体が「国の成り立ち」を掘り下げ、不正や腐敗を一層しようとする雰囲気で、文在寅政権は「積弊清算」を叫んでいた。このままでいくと「根絶やしにされる」という保守派の危機感は並々ならぬものだったろう。保守の一部若者に人気が「あった」韓国のビル・ゲイツとも呼ばれたアン・チョルス(安哲秀)も影が薄く、保守勢力は大統領候補になる人物探しをも含めて「新たな保守の道」を模索していた。そこで白羽の矢が立ったのが尹錫悦だった。
   検事総長の尹は朴槿恵を追い落とす直接的原因となった「崔順実ゲート」の特別捜査チーム長で、当時キャンドル市民から熱烈な支持を受けヒーローとなった人物だ。2019年に文在寅政権によって検事総長になったが、チョ・グク(曺国)前法相の起訴をきっかけに政権と対立し、2020年には法務省が尹の史上初の職務停止を命じ、裁判になったことから文政権との軋轢は後戻りできなくなった。尹は裁判所で言い分を認められて復帰し、2021年3月に検察を辞任、大統領選挙への出馬公開はその6月で、当時野党の「国民の力」に入党したのは2021年7月30日だった。
   1999年からずっと検察官だった尹は政治の経験はゼロで、候補者になった後も失言や暴言を繰り返し、テレビ討論では李に差をつけられもしたが、検事総長就任時の挨拶で「自由民主主義と市場経済秩序の本質を守らなければならない。自由市場経済と自由な企業活動が人類の繁栄と幸福を増進してきた」と、その信条を明らかにしている。最終的にアン・チョルスが巷の言説通りチョルス(哲秀=撤収)し、保守一本化が成功、保守勝利への道が開かれた。

3.社会的排外主義をあおり集票へ
   「嫌悪が勝った」と見出しをつけたのは『オーマイニュース』だ。尹は大統領選の中で労働組合を「略奪勢力」、市民団体は「権力を支える腐敗集団」だと決めつけ、移住労働者が「横取りしている」として外国人健康保険制度の要件強化を打ち出した。
中でも尹が標的にしたのは女性だった。民主化運動でも先頭に立って道を切り拓いてきた韓国女性運動の成果でもある「女性家族省」を廃止し、性犯罪が歪められているとして「性犯罪誣告罪」強化を打ち出した。
   女性の社会的進出と活躍、#Mee Too運動で象徴される女性たちによる運動、日本軍「慰安婦」問題と真正面から向き合ってきた正義連をはじめとする女性たちの闘い、これらを否定して、男性中心のインターネットサイトで支持を集めた。特に20代、10代の男性有権者は兵役問題もあって「男は不利」だとの考えもあって、雇用や結婚などで不安を抱える若者の「気分」を巧みにすくいとっていった。
   この大統領選では「イデナム(20代の男性)」や「イデニョ(20代女性)」という新語が生まれるほどホットな話題となった。選挙終盤では危機感をもった女性たちが李在明への投票に駆け込んだ。(表は3月9日、テレビ局3社による出口調査、オーマイニュースから作成。)

*表の上から順に20代以下男性、20代以下女性、30代男性、30代女性、40代男性、

          40代女性、50代男性、50代女性、60代男性、60代女性

   李在明                   尹錫悦

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4.リベラル・進歩の一本化は無理だったのか
 僅差0.73%をどう見るか。先に述べたように、12人の大統領候補は各政党から出馬したので、12の政党が候補者を出したことになる。中央選管の内訳をみると、保守系8政党、革新・進歩系が4政党だ。
   筆者が中央選管の内訳から作表し、集計した数は下記の通りだ(無効票0.05%)。本来、大統領選は個人名で選挙戦が行われるが、あえて政党別にまとめたものだ。

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   これを見て分かるように革新・進歩系が保守系をわずかではあるが上回っている。その差0.81%。韓国は真っ二つに断絶されていることが分かる。
   韓国内でも「正義党が譲れば47.83+2.37=50.2%となるので保守に勝てはずだ、なぜ一本化しなかったのか」と正義党に非難の書き込みも相次いだ。でも、ことはそれほど単純ではない。
   先の1で述べたように、「落胆から失望、失望から怒り」に変わったように、格差が拡がり、コロナで困窮する人々は、よりマシな政治を求めて政権交代に票を投じた。また、民主労総をはじめとする社会変革を闘う勢力も文在寅政権を見限り、背を向けた。決定的になったのは2021年9月の韓国最大のナショナルセンター、民主労総のヤン委員長を逮捕したことだった。就業前の明け方6時過ぎに警察官4,000人で事務所を取り囲み逮捕したのは怒りの炎に油をさしたようなものだった。サッカー場や野球場での観客が入っているのに、コロナ規制を口実とした集会禁止と逮捕は「弾圧」としかとらえられなかった。
   今年2022年1月11日、光州市の高層アパートマンション建設で34階から23階までの現場が崩落し、労働者8人が行方不明になるというショッキングなニュースは、日本でもテレビで放映された。全国建設労組によると、大統領選が始まった3月だけでも既に13人が労災で亡くなり、うち9人は建設現場の作業員だったとのことだ。労働界では労災の根絶を求めて法の強化を要求しているところだが、このような状況を差し置いて単純で形式的な「一本化」はあり得るだろうか。

5.断絶、分裂が続く韓国社会

今回の主な候補者3人の地域別得票率は下記の通り(黄:最多、緑:最少)。

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 上記の表で分かるように、地域別の偏差は現在もなお続いている。尹は一本化した安哲秀を「政権引継ぎ委員会」の委員長に指名し、次期政権に向けて動き出した。
 真っ先に行うとしているのが「官民合同委員会」の設置と大統領府の「改革」だ。要は公務員だけでなく、財閥など民間人の意見も積極的に取り入れて、国政運営に当たるとしている。尹は選挙戦の最中、企業家との懇談会で「(労災などを取り締まる)重大災害法で海外資本の韓国投資が困難になる、労災ばかりに気を取られていては経営者の意欲をそぐものになるので、施行令などで合理的に運営する」と述べている。このような姿勢は大きな反発を生むだろう。
 さらに外交安保分野においても「官民合同委員会」には外国人の登用もあるとしており、文在寅政権での南北共同宣言などが無効化されるとすれば、大きな抵抗もあるだろう。サードミサイル追加配備を述べている尹が実行すれば、中国からのしっぺ返しも予想されるし、現在の世界情勢のもとで尹の言っている「敵基地への先制攻撃」などは、もってのほかだ。日本の岸田政権もしかりだ。
 3月末には韓米合同軍事演習も予定されているという。この演習には嘉手納から、岩国から米軍の戦闘機が飛び立ち、韓国で「戦争の訓練」を行う。韓国のメディアによると、昨年11月から12月にかけて駐韓米軍の特殊戦司令部が「ネイビー室」を運営し、朝鮮半島の酷寒期訓練を行い、これを公開したと報じている。この「ネイビー室」はオサマ・ビンラディンの「斬首作戦」を行った部隊だ。米韓の特殊部隊は、朝鮮半島北部の奥に入り込む戦争訓練を繰り返しているのだ。私たちは東アジアにおける日米韓のきな臭い戦争協力に反対し、地域の平和に向けて尽力しなければならない。
 私たちは今後も韓国の労働者、民衆の側に立って、しっかり状況を見つめ、日韓民衆の連帯を強めていきたい。(2022年3月15日記)
 

 

2022年3月13日 (日)

●【ミニ解説】韓国大統領選結果を見る一視角、私たちの教訓

                                        渡辺健樹

先の韓国大統領選は、周知のように「対北先制攻撃」「在韓米軍のTHAADミサイル追加配備」「韓米日同盟優先」などを唱える保守野党の尹錫悦(ユン・ソギョル)が接戦を制して当選しました。与党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)との得票率は、尹錫悦48.56%、李在明47.83%でその差はわずかに0.73%でした。

日本のマスメディアでは殆どこの二人しか取り上げられていませんが、進歩系の諸政党からの大統領候補も奮戦していました。そのなかで前回総選挙(2020年)で6議席を獲得していた正義党・沈相ジョン(シム・サンジョン)は2.37%を獲得しています(議席のある政党のため候補者のTV討論にも参加)。

仮に李・沈両候補が一本化していれば、李の47.83%+沈の2.37%で単純合算はできないものの李の勝利の可能性もあったと言えます。

ただ、これも結果として僅差勝負になったがゆえに言えることで、保守野党はもとより失政続きの共に民主党に対しても批判的な正義党や進歩党(前回総選挙で2議席を失い0議席となった民衆党が改称した)などの少数派の進歩政党が、当初から独自の旗印で独自の闘いを進める方針をとったこと自体は非難されるべきではないでしょう。歴史性や国情の違いもありますし。

とはいえ、この点からも、あらためて日本では自公に対抗する野党共闘・一本化が必要との教訓が導き出せそうです。

 *近々、かもめさんによる韓国大統領選の本格分析も掲載予定です。乞うご期待!


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韓国聯合ニュースより

 

2022年3月 2日 (水)

●3・1朝鮮独立運動103周年・新宿キャンドルアクション報告

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なりぞうさんが熱唱

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3月1日18時から3・1朝鮮独立運動103周年・新宿キャンドルアクションが取り組まれ、約120人の人々が集まった。

3・1独立運動に起ちあがった人々に思いを馳せ、103年目の日本市民の良心を朝鮮半島や世界の人々に届けようと宣伝カーの上からリレートークが行われ、集まった参加者はそれぞれの発言に合わせてキャンドルを振って呼応した。通行途中で足を止めチラシをもらいに来る若者たちもいた。

右翼・レイシスト集団がマイクでトンチンカンなヘイトスピーチで妨害を繰り返してきたが、それも途切れ途切れで、こちらの仲間のスピーチに圧倒されて聞き入っているようだった。これらの妨害を跳ね除け断固として最後まで貫徹した。

2・27東京集会に続いてU-PLANさんが動画をアップしてくれていますのでご覧ください。

 https://www.youtube.com/watch?v=h8dE23VxF2M  

3・1新宿キャンドルアクションでリレートークされた皆さんは以下の方々です。

開始前 なりぞうさんの歌 ♪イムジン河 ♪岩のように

司会  菱山南帆子(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会)  
主催者挨拶  野平晋作(「3.1朝鮮独立運動」日本ネットワーク)
発言  徴用工問題 (山本直好・日本製鉄元徴用工裁判を支援する会)
     「慰安婦」問題 (梁澄子[ヤン・チンジャ]・日本軍「慰安婦」問題解決全国行動共同代表)
     朝鮮学校問題 (長谷川和男・朝鮮学校「無償化」排除に反対する連絡会共同代表)
     沖縄米軍基地問題 (青木初子・沖縄一坪反戦地主会関東ブロック)
     改憲問題 (山口菊子・戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会)  
     関東大震災朝鮮人虐殺追悼問題 (宮川泰彦・日朝協会会長)、
     韓国大統領選 (孫亨根[ソン・ヒョングン]・在日韓国民主統一連合議長) 
     フィナーレ2曲 なりぞう ♪朝露 ♪光は闇に負けない

韓国インターネットニュースサイト『統一ニュース』が報告記事を配信(韓国語)

  http://www.tongilnews.com/news/articleView.html?idxno=204458

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梁澄子(ヤン・チンジャ)さん

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青木初子さん

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2022 3・1朝鮮独立運動103周年東京行動 賛同団体⇒個人一覧・50音順 (2/25現在)      
強制動員問題解決と過去清算のための共同行動、原水爆禁止日本協議会(原水協)、「憲法」を愛する女性ネット、憲法を生かす関東連絡会、憲法骨抜きNO!ねりま、在日韓国民主女性会、在日韓国民主統一連合、三多摩日朝女性のつどい、新社会党、新社会党東京都本部、スペース21、全水道東京水道労働組合、竹島の日を考え直す会、朝鮮学校「無償化」排除に反対する連絡会、日韓民衆連帯全国ネットワーク(日韓ネット)、日朝協会、日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会、日本平和委員会、ピースボート、ぴ~す・め~る、東アジアの和解と平和ネットワーク、ふぇみん婦人民主クラブ、フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)、婦人民主クラブ、部落解放同盟東京都連合会、平和といのち・イグナチオ9条の会、本郷文化フォーラムワーカーズスクール(HOWS)、許すな!憲法改悪・市民連絡会、青木初子(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック)、秋山淳子、浅井健治、新里倫子、五十嵐政晴(日本共産党荻川支部)、池上仁、石井寛(韓国良心囚を支援する会全国会議事務局長)、石下直子、伊藤英一、伊藤美恵子、井上好子、岩崎富久男、岩村義雄(神戸国際キリスト教会牧師)、岩本乾治、内田雅敏(弁護士)、大下富佐枝、大谷猛夫、大畑龍次(日韓ネット)、奥村律子、尾澤邦子(日韓ネット・ノレの会)、尾澤孝司(日韓ネット)、小田川興、小野信也、笠原直子、片山光広、加藤正姫(日韓ネット)、北川広和(日韓ネット・「日韓分析」編集)、北原れい子、金性済(日本キリスト教協議会[NCC]総幹事)、くじゅうのりこ(東アジアの和解と平和ネットワーク)、久世裕子(病院清掃員)、黒田恵、鴻巣美知子(朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会)、東風徹(韓国良心囚を支援する会全国会議)、斎木登茂子(カトリック正義と平和協議会)、斎藤紀代美、斎藤義夫(元都立高校教員)、坂本史子(元目黒区議会議員)、桜井大子、佐藤邦也、佐藤大介(ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン)、佐藤信行(外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会[外キ協])、白石孝(日韓市民交流を進める希望連帯代表)、鈴木敏夫(子どもと教科書全国ネット21事務局長)、須田稔(立命館大学名誉教授)、宋世一、高梨晃嘉(かながわアクション代表世話人)、高橋昭子、高橋年男、高橋華枝、田上中(税理士)、武田隆雄(日本山妙法寺僧侶)、竹腰英樹(中野協同プロジェクト)、橘優子、田中宏(一橋大学名誉教授)、田場祥子、寺尾光身(元理系教員)、土松克典(日韓ネット・HOWS)、中地弘志、中塚明(奈良女子大学名誉教授)、中村知明(郵政ユニオン本部顧問)、花村健一(樹花舎代表)、番場明子(ぴ~す・め~る)、飛田雄一(神戸学生青年センター)、平野晶男、平山良平、藤原輝子、布施由女(三多摩日朝女性のつどい世話人)、松浦賢治、松田照男、丸田潔、森内慎一郎、森川静子、森本孝子(朝鮮学校「無償化」排除に反対する連絡会共同代表)、矢野秀喜(強制動員問題解決と過去清算のための共同行動)、山口菊子(「憲法」を愛する女性ネット)、山下治子、山根敏英、吉田哲太郎(神奈川平和遺族会代表)、與芝豊、吉原信次、米川覚、梁大隆、渡辺一夫(韓国良心囚を支援する会全国会議代表)、渡辺健樹(日韓ネット共同代表)、渡辺真哉(選制改革・on署名)、渡辺多嘉子、渡辺吉男 (匿名希望4名)  

 

 

 

2022年3月 1日 (火)

●佐渡金山問題 日韓プラットフォームが緊急声明

日韓の市民運動と宗教者でつくる日韓和解と平和プラットフォーム(日本側運営委員会)は、3.1朝鮮独立運動103周年にあたり日本政府による朝鮮人強制動員・強制労働を無視した佐渡金山の世界遺産登録の推薦決定について下記の緊急声明を出しましたのでご紹介します。
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<緊急声明>佐渡鉱山の強制連行・強制労働の歴史を否定してはならない
      ―「全体の歴史」を記録し登録することを求める―

●「全体の歴史」なしの世界遺産登録の申請

 わたしたち日本の市民・宗教者は、1919 年2・8独立宣言につづく3・1朝鮮独立運動の 103 周年を迎えるにあたり、東北アジアの和解と平和の課題という地平からその歴史的意義をかみしめます。そして同時にわたしたちは、3・1独立運動を“不逞鮮人による暴動”とする事実の隠蔽と歪曲がマスメディアを通して流布され、それがやがて人びとの間に朝鮮人に対する恐怖と差別の心理を生み出すようになり、1923 年関東大震災の朝鮮人虐殺という惨劇を招いたことも、記憶したいと思います。
 この過ちを二度と繰り返さないように、人間の良心と理性に従って、わたしたちは歴史の中で犠牲を強いられ闇の中に封じられてきた事実を徹底して解明し、歴史の教訓として記憶する責任を自覚します。
 岸田首相は今年1月 28 日、「佐渡島の金山」遺跡を、アジア太平洋戦争期の朝鮮人強制連行・強制労働を含む「全体の歴史」ではなく、江戸期に限定して、ユネスコ世界遺産登録に推薦する方針を表明し、続いて2月1日、閣議決定しました。しかしわたしたちは、そのことに対し、自らの良心にかけて断固として抗議します。

●7年前の国際約束を反故にしている日本政府

 2015 年7月5日、ユネスコ世界遺産委員会が長崎県の端島(別名「軍艦島」)を含む「明治産業革命遺産」の世界遺産登録を決議するにあたり、日本の佐藤地ユネスコ代表部大使は、「日本は 1940 年代のいくつかのサイトにおいて、その意思に反して連れて来られ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者等がいたこと、また、第二次世界大戦中に日本政府としても徴用政策を実施していたことについて理解できるような措置を講じる所存である」と表明しました。世界遺産委員会は、その約束を条件に「明治産業革命遺産」の世界遺産登録を決議したのです。
 そして日本政府は、2020 年3月に産業遺産情報センターを東京に設立しました。ところがそこに展示された説明においては、日本ユネスコ大使が世界遺産登録にあたって約束したことを反故にし、朝鮮人強制連行・強制労働の歴史事実が伏せられたものとなっていました。
 このことを確認した世界遺産委員会は昨年7月 21 日、「強い遺憾を示す(stronglyegrets)」決議を全会一致で採択し、2022 年 12 月 1 日までに負の歴史を含む「歴史全体(full history)」を示すよう日本政府に勧告しました。にもかかわらず、日本政府は、この勧告後も改善にまったく取り組まずに放置しています。

●佐渡鉱山における強制連行・強制労働の歴史事実

   日本の朝鮮植民地統治時代、佐渡鉱山に朝鮮人が強制連行され過酷な労働を強いられたことは、『新潟県史 通史編8近代3』(1988 年)など、戦後の歴史研究によって明らかです。佐渡鉱山へ 1,519 人が強制動員されたこと、さらに未経験の過酷な坑内労働に従事させられていたこと、そして日本敗戦時には 1,140 人分の未払い金が残されていたこと。また、佐渡鉱山の 1943 年3月の報告書には、「移入者総計」1,005 人のうち、「死者」10 人、「公私傷/不良送還」61 人、「逃走」148 人、「現在員数」584人と記されています。逃走者が 14.7%にも上り、現在員数がほぼ半減していること自体、強制労働であったことを物語っています。
 このような歴史事実を隠蔽し否定することによって、世界遺産として登録しようとする日本政府の姿勢を、果たして世界の人びとは尊敬のまなざしをもって肯定し受け入れるでしょうか。
 二度にわたる悲惨な世界大戦の経験を通して、新たな戦争を抑止するために国際連合が発足し、そこで「世界人権宣言」が採択されました。そして、個人の人権の尊重なしには平和は作れないという精神に基づき、教育や文化、科学を通じて人びとの「心の中の平和のとりで」を築くためにユネスコが設立され、その憲章では「平和が失われないためには、人類の知的及び精神的連帯の上に築かれなければならない」と謳われました。しかし、日本政府のこれまでの行為は、ユネスコ憲章をことごとく踏みにじるものです。

●“歴史戦”ではなく「歴史対話」を

 2020 年 1 月、新潟県選出の国会議員のブログに掲げられた「歴史戦を闘い抜く」という掛け声によって、過去を美化する政治家たちは佐渡鉱山の世界遺産登録問題を“歴史戦”と喧伝し、人びとを嫌韓ナショナリズムに扇動し、問題の本質と、ユネスコ世界遺産委員会からの批判的勧告から目をそらさせようとしています。わたしたちは、彼らの言う“歴史戦”という虚妄を断固として退けます。この問題の核心は、日本と韓国の“歴史戦”などではなく、日本という国および社会が歴史と真摯に向き合い、その上で、韓国およびアジアの人びとと対話することです。そのことは、かつて植民地支配という「悪事」をなした諸外国が今なお取り組んでいる課題なのです。
 たとえばドイツでは 2004 年6月、連邦議会は次のように決議しました。「ドイツはその植民地主義の過去について、一点の曇りもない明確な態度を示さなくてはならない」「ナミビアに対するドイツの特別の政治的・道義的責任を認める」「我々はここに、幾万もの犠牲者たちの尊厳と名誉を回復することに寄与したい。我々は、起こったことを、なかったものとすることはできない」と。
 わたしたちは、近現代の歴史に刻まれた「負の歴史」とは、人間にとって崇高なゆるしと和解、そして平和の精神に互いがたどり着くための試金石だと確信します。私たちは真実と和解への希望を見失わず、日韓における互いの記憶の共有によって修復される信頼の関係をめざす「歴史対話」の道を、韓国の宗教者と市民社会とともに貫きつづけ
ます。

2022 年3月1日

日韓和解と平和プラットフォーム 日本運営委員会
【共同代表】 小野文珖(宗教者九条の和)/髙田健(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動)/野平晋作(ピースボート)/光延一郎(日本カトリック正義と平和協議会)
【運営委員】 飯塚拓也(日本キリスト教協議会東アジアの和解と平和委員会)/石川勇吉(愛知宗教者平和の会)/小田川興(在韓被爆者問題市民会議)/北村恵子(日本キリスト教協議会女性委員会)/金性済(日本キリスト教協議会)/白石孝(日韓市民交流を進める希望連帯)/平良愛香(平和を実現するキリスト者ネット)/武田隆雄(平和をつくり出す宗教者ネット)/中井淳(日本カトリック正義と平和協議会)/比企敦子(日本キリスト教協議会教育部)/飛田雄一( 神戸青年学生センター)/渡辺健樹(日韓民衆連帯全国ネットワーク)/渡辺美奈(「女たちの戦争と平和資料館(wam)」)
【事務局】 くじゅうのりこ(東アジアの和解と平和ネットワーク)/佐藤信行(外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会)/潮江亜紀子(外国人住民基本法の制定を求める神奈川キリスト者連絡会)/藤守義光(日本キリスト教協議会)/昼間範子(日本カトリック正義と平和協議会)/柳時京(日本聖公会大阪川口基督教会)/渡辺多嘉子(平和を実現するキリスト者ネット)

◆連絡先◆〒169-0051 東京都新宿区西早稲田 2-3-18 日本キリスト教会館 24 号 NCC気付
   電話(03)6302-1919 FAX(03)6302-1920 Email <jk.peaceplatform@gmail.com

 

2022年2月28日 (月)

●3・1独立運動103周年2・27東京集会の報告

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2月27日午後に文京区民センターで開かれた3.1朝鮮独立運動103周年東京集会(屋内集会)は、午前中に取り組まれたロシアによるウクライナ侵攻に反対する緊急行動から駆け付けた仲間も含め、コロナの感染拡大状況から間隔をあけつつもほぼ満杯の150人が集まりました。

U-PLANさんが早速集会全体の動画をアップしてくれていますのでご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=-Sk1bR_1RCM

  2・27東京集会次第                       *青の数字は動画の時間です

 司会 土井登美江(憲法9条を壊すな!実行委員会)
 主催者挨拶 加藤正姫(「3.1朝鮮独立運動」日本ネットワーク)   
 ビデオ上映「植民地支配に抗って-3.1朝鮮独立運動」 8:00
 講演①「岸田改憲の動向と東アジアの緊張」    31:50
      高田健さん(総がかり行動、朝鮮半島と日本に非核平和の確立を!市民連帯行動)
 韓国市民団体からのメッセージビデオ        1:15:54
 講演②「2022年韓国大統領選の行方と日韓関係の展望  1:23:40
             ~若者の政治意識の分析を中心に~」
      李泳采さん(イ・ヨンチェ、恵泉女学園大学教授)  
 集会決議朗読 尾澤邦子(ノレの会)   2:06:15
 行動提起-3・1新宿キャンドル行動へ

 集会決議  朝鮮戦争を終わらせよう!植民地支配の清算を!

 今年の3月1日は、日本からの独立を求め朝鮮全域で人びとが立ち上がった3・1独立運動から103周年を迎えます。私たちにとっては歴史を直視しながら日本と朝鮮半島やアジアの人びととの平和な関係をいかに築くのかを問い直す日でもあります。
 東北アジアの非核・平和をめざそう!
 いま朝鮮半島では、日本からの解放と同時にもたらされた南北分断から77年。南北分断に起因する朝鮮戦争の停戦協定からも69年が経過しましたが、いまだ戦争は終結していません。南北分断体制もそのままです。これこそが朝鮮半島の「危機」の根源です。
 朝鮮戦争を終結させ、停戦協定を平和協定に転換させることで、東北アジアの非核・平和の実現に向かうことができます。自国軍隊が居座り続けるため、これを拒み続けている米国が朝鮮戦争の終結に応じるよう強く求めていくことが必要です。
 米国が本当に米朝対話を望むなら、米朝シンガポール共同声明(2018年)を言葉ではなく実際に履行しなければなりません。その一歩として、繰り返されている米韓合同軍事演習を中止すべきなのです。
 加害の歴史に真摯に向き合い平和外交めざそう!
  しかし、安倍・菅政権を引き継いだ岸田政権は、米韓で協議されている朝鮮戦争の「終戦宣言」の提案にも「時期尚早」として反対しています。そして米国に追随して中国・朝鮮に向けた「敵基地攻撃能力」の保有、沖縄・辺野古の米軍基地建設、南西諸島の軍事化と日米軍事一体化など軍事大国化の道をひた走り、憲法改悪まで推し進めています。
   さらに植民地支配の反省もなく、引き続き朝鮮学校に対する「無償化」からの排除などあからさまな民族差別政策を進めており、朝鮮人元徴用工や日本軍「慰安婦」被害者への謝罪・賠償も65年日韓請求権協定を盾に拒み続け、自らの加害責任は無視して韓国政府に「日本側が受け入れられる案」の提示を迫るという本末転倒を繰り返しています。
   また最近では、朝鮮人強制動員・強制労働の事実を無視して「佐渡金山」の世界遺産登録の推薦を決定しました。2015年のいわゆる「軍艦島」(端島)などを含む「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録の際もこのことが問題となり、日本政府は「その意思に反して連れて来られ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者等がいたこと」などについて「理解できるような措置を講ずる」ことを約束したにもかかわらず、その後設置された「産業遺産情報センター」は朝鮮半島出身者への差別は「聞いたことがない」とする元島民の「証言」のみを垂れ流し、ユネスコから是正を求められているものの改められていません。韓国などがこれに抗議するのは当然です。
   これらは植民地主義が依然として根強く存続し続けていることを示しています。
 憲法9条を持つ私たちは、過去の加害の歴史に真摯に向き合い、日本政府が米国追随と「核の傘」から脱して核兵器禁止条約に速やかに加盟し、平和外交に徹するよう促し、改憲・軍事大国化の道をやめさせ、植民地支配の清算を迫っていきましょう。

                   2022年2月27日
                   3・1朝鮮独立運動103周年東京集会 参加者一同

高田健さん

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李泳采(イ・ヨンチェ)さん

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