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2012年3月 2日 (金)

【書庫】声明 延坪島砲撃戦と私たちの立場(2010年12月)

  【声明】 延坪島砲撃戦と私たちの立場                         

今こそ朝鮮半島の準戦時状態に終止符を打ち恒久的平和体制へ

朝鮮半島の緊張を利用した米日韓三角軍事同盟の強化反対!

2010121日 日韓民衆連帯全国ネットワーク

延坪島砲撃戦と「2010護国演習」をめぐる経過

1123日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の朝鮮人民軍は、韓国側の延坪島に砲撃を行い、兵士と基地建設に携わっていた労働者の計4名が死亡、十数名の負傷者が出た。これに対して、韓国軍も北朝鮮側に応射しているが、北朝鮮側の被害状況は不明である。民間人に被害が出たことについては北朝鮮側も「遺憾」の意を表明した。

これに先立ち、韓国側では1122日から「2010護国演習」と名づけられた大規模軍事演習が繰り広げられていた。この軍事演習はかつての米韓合同軍事演習「チームスピリット」に代わるものとして行われ、今年は韓国全土で韓国軍7万人以上と戦車・機動車両600両以上、戦闘ヘリ90機以上、艦艇50隻以上、航空機500機以上が参加、延坪島一帯でも実弾砲撃訓練が計画されていた。

これに対して北朝鮮側は延坪島一帯での砲撃演習計画が発表された直後から繰り返し中止を要求し、事件当日の午前8時、南北軍事会談の北朝鮮側団長から韓国側団長に再び中止を強く求める電話通知文を送り警告を発していたが、韓国側はこれを無視して砲撃演習を強行した。韓国国防部の報告書では、砲撃演習は午前1015分から北側の砲撃が始まるまでの1424分までの4時間にわたり、実に3,657発に達する実弾砲撃を行ったとされている。また表立っては西南方向に向けて発射したとしているが、「射撃訓練の砲が北の作戦統制線を越えた蓋然性がある」との軍当局者の見解も明らかになっている。ちなみに延坪島は、北朝鮮側の甕津半島から12.6km、ミリョクリ島からは僅か4kmしか離れていない。こうした場所で行う砲撃演習は、明らかに軍事挑発というほかない。

緊張をエスカレートさせるすべての戦争演習を中止せよ!

この延坪島事態を受けて、米韓は黄海で1128日から121日にかけて横須賀を母港とする原子力空母ジョージ・ワシントンや巡洋艦カウペンスを含む大規模な軍事演習を行っている。黄海での米原子力空母の演習に反対してきた中国をも牽制しつつ行われている大規模軍事演習は、朝鮮半島と東北アジアの軍事的緊張をさらに高めるものである。123日から10日には、引き続きジョージ・ワシントンを含む大規模な日米統合実働演習も予定されている。これらが連動した軍事演習であることはいうまでもない。

私たちは、これらの軍事演習の中止を強く求めるものである。

この間、米韓両国は、白翎島周辺での米韓合同軍事演習中に沈没した哨戒艦・天安号事件を、数々の疑問が噴出しているにもかかわらず「北朝鮮の攻撃」と断定し、国連安保理議長声明(注)にも反して対北朝鮮軍事演習を繰り返してきた。「2010護国演習」もこの流れの中にあった。私たちは、今回の延坪事態を口実として軍事的緊張をさらにエスカレートさせるいかなる動きにも反対する。何より南北当局は自制し、対話により事態の平和的解決に向かうよう強く求めるものである。

(注)哨戒艦事件に対する国連安保理議長声明は、「北朝鮮攻撃説」をとらず、事件とは無関係とする北朝鮮側の主張にも留意した上で、「朝鮮戦争休戦協定の完全な順守を促し、紛争の回避と状況悪化の防止を目的に、適切なルートを通じ直接対話と交渉を可能な限り速やかに再開し、平和的手段による朝鮮半島の懸案解決を奨励する」としている。

横たわる西海北方限界線(NLL)と停戦協定違反

 今回の延坪島砲撃戦の背景には、北方限界線(NLL)の問題が横たわっている。

 朝鮮戦争の停戦協定では、陸上の軍事境界線と非武装地帯については合意がなされたが、いわゆる西海北方限界線(NLL)を海上の軍事境界線とする何らの合意もなされていない。

 この北方限界線とは、朝鮮戦争中にクラーク米軍総司令官兼国連軍司令官による北朝鮮に対する海上封鎖線、「クラーク・ライン」に端を発している。しかし「クラーク・ライン」は、朝鮮戦争の停戦協定の締結とともに合意に基づき解除された。現在、韓国側が主張する北方限界線は、この「クラーク・ライン」に沿い停戦協定後に国連軍司令官が一方的に設定したものであるが、その意味はまったく180度異なっていた。

停戦交渉の過程で、当時の李承晩政権はあくまで「北進統一」を唱え、停戦協定そのものに反対し、停戦協定にも加わらなかったばかりか、陰に陽にこれを破壊しようと挑発を繰り返していた。これに手を焼いた米軍・国連軍司令部が、李承晩の海上における北進を押さえ込むために設けたのが北方限界線であった。このことはその名称自体に端的に示されている。

停戦協定では、確かに朝鮮半島北部を取り囲む西海海域のうち白翎島、大青島、小青島、延坪島、隅島の5島については国連軍総司令官の軍事統制下に残すことが合意されている。しかし、それは個々の島の管轄を認めただけである。西海上の境界線として協定で合意され共同管理されてきたのは漢江河口から隅島までのみであり、西海5島を結んで事実上北側にたいする海上封鎖線的性格を持つものは何ら認められていない。むしろ、「本停戦協定は、敵対中の一切の海上軍事力に適用され、このような海上軍事力は非武装地帯と相手方の軍事統制下にある朝鮮陸地に隣接した海面を尊重し、朝鮮に対していかなる種類の封鎖もできない」(第216項)と明記され、前述のように協定締結後双方の合意に基づき「クラーク・ライン」は解除された。

休戦協定はまた、「協定に対する修正増補は、必ず敵対双方司令官等の相互合意を経なければならない」「協定の各条項は、双方が共同で受け入れる修正及び増補または双方の政治的水準での平和的解決のための適当な協定中の規定により明確に交替される時まで効力を持ち続ける」(第561項、62項)としている。

したがって、北方限界線を軍事境界線、事実上北側にたいする封鎖線とする韓国側の一方的な主張と行動は、停戦協定違反である。まして西海5島はすべて、1982年の国連海洋法条約の領海12海里(22.224km)規定に基づけば、北朝鮮の領海内に存在しているのである。

この北方限界線について北側は一貫して認めておらず、南北間の艦船の間で衝突が繰り返されてきた。

こうした状況を踏まえ、199112月に調印された「南北間の和解と不可侵および交流と協力に関する合意書」(南北合意書)の付属合意書第10条で、「南と北の海上不可侵線については、今後継続して協議する。海上不可侵区域は、海上不可侵線が確定されるときまでは、双方がこれまで管轄してきた区域」とした。

つまり、海上の不可侵線についてはこれまで双方の合意がないことを双方が認め、継続して協議することことにしたのであり、この合意に立ち返って南北の漁民の安全操業の保障等を含め、南北間の協議が進められる必要がある。盧武鉉前大統領と金正日国防委員長との「104南北首脳宣言」(2007)は、それをさらに具体化する内容を打ち出していた。これらの南北合意の履行こそが求められている。

停戦=準戦時状態を放置している米国の責任、そして日本

今回の延坪島砲撃事件は、あらためて朝鮮半島が「撃ち方止め」に過ぎない停戦=準戦時状態のまま放置され続けていることを浮かび上がらせた。その最大の責任は米国にある。

停戦協定では、「朝鮮問題の平和的解決を保障するため…停戦協定が調印され効力を発生した後3ヶ月以内に双方の高級政治会談を召集し、朝鮮からのすべての外国軍隊の撤収及び朝鮮問題の平和解決などの問題を協議する」(第460項)とされているにもかかわらず、米国は同年12月、一方的に協議の場から退席、10月に李承晩政権との間で締結した米韓相互防衛条約を盾に居座り続けた。それは米陸海空軍を「無期限に韓国に駐留することを許容」し、「韓国の軍事力を国連軍司令部の作戦統制下に置く」(54年米韓共同声明)ものだった。そして米国は1950年代以降膨大な戦術核兵器を韓国内に持ち込み、「チームスピリット」などの大規模軍事演習を繰り返して絶えず軍事的緊張を作り出してきた。6者協議の枠組みができて以降も「フォール・イーグル」などの大規模軍事演習を繰り返してきた。停戦協定で、「朝鮮国境外から増援・増員する軍事人員を入れることを停止する」(第213項の3)、「朝鮮国境外から増援する作戦飛行機、装甲車両、武器及び弾薬の搬入を禁止する」(同4)と明記されているにもかかわらず、である。

 こうした状況の中で、今回の事態も起きたのである。米国が停戦協定の責任ある当事者であるなら、米朝の対話によって停戦=準戦時状態に速やかに終止符を打ち、平和協定締結など朝鮮半島の恒久的平和体制への移行を図るべきなのである。そうしてこそ、朝鮮半島の核問題も根本的解決に向かうだろう。

 現在、日本政府・菅政権は、米韓の尻馬に乗りながら、先に釜山で行われた「大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)」に基づく海上封鎖演習に自衛隊艦隊を実働参加させるなど、米日韓三角軍事同盟の弱い環である日韓の軍事協力体制強化を画策している。123日からの日米統合演習には、初めて韓国軍がオブザーバー参加することも明らかになっている。今年8月の「韓国併合100年」についての韓国だけに向けられた首相談話も、反省のリップサービスによって韓国世論を緩和させ、こうした新たな画策を進めようとするよこしまな意図が見え隠れしている。朝鮮高校の無償化手続きも菅首相の指示でストップさせられた。

さらに菅政権の諮問機関である「新安保懇」報告に基づき、自衛隊配備の南西へのシフト、島嶼防衛、「武器輸出三原則」見直しなどを含む新防衛計画大綱を策定しようとしている。沖縄民衆の圧倒的多数の意思を無視し、今年5月の日米共同宣言に基づき辺野古への新基地建設にあくまで固執している。

私たちは、こうした政策に強く反対する。

 政権交代を実現させた日本の多くの人々は、このような道を望んだのではないだろう。議論はあるにせよ鳩山前代表の「東アジア共同体」「(普天間移設の)国外、最低でも県外」「米国と対等な関係」などの主張にむしろ多くの人々が共感を寄せた結果である。

 私たちは、日本政府が朝鮮半島と東北アジアの緊張激化に加担するのではなく、朝鮮半島の和解と平和・統一、東アジアの平和構築に積極的に寄与する道を進むよう重ねて強く要求するものである。

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