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2012年11月

2012年11月24日 (土)

韓国大統領選:野党ムン・ジェイン氏に候補一本化

12月19日に投開票が予定されている韓国大統領選ですが、与党セヌリ党のパク・クネ候補と最大野党・民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)候補、無所属の安哲秀(アン・チョルス)候補の三つ巴の様相を帯び、ムン・アン両候補の統一候補化に注目が集まってきましたが、25・26日の候補者登録期限を前にした23日、アン候補の立候補辞退により事実上、パク・クネ候補vs.ムン・ジェイン候補の一騎打ちという構図になりました。この背景には、候補一本化を求める多くの人びとの声が圧力として働いたことは明らかです。

ムン・ジェイン氏とアン・チョルス氏の政策の違いは日本で報道されている限りではあまりよく解りませんが、韓国インターネットニュースサイト「統一ニュース」に、私たちの古くからの友人であるカン・ジョング元漢陽大教授が代表を務める市民団体・平和と統一を開く人々(略称・ピョントンサ)のユ・ヨウンジェ米軍問題チーム長によるムン氏とアン氏の政策の違いを分析した論文が掲載されています。参考までにぜひお読みください。(訳責・日韓ネット)

統一ニュース 2012年11月21日(水)11:19:32
明確な差別性見えるムン・ジェインとアン・チョルスの統一外交安保政策
         ユ・ヨウンジェ(平和と統一を開く人々[略称・ピョントンサ]
                  ・米軍問題チーム長)

18代大統領選挙が一月も残っていなかった。 野党の有力候補である民主統合党ムン・ジェイン候補と無所属アン・チョルス候補の一本化もまもなく決着するものと見られる。この時点で、両候補の統一外交安保政策を比較評価してみることは、民族の平和と統一に合致する政策と候補を判断するのに役立つだろうと思う。

過去の政府の対北朝鮮政策に対する評価

ムン・ジェイン氏は11月5日<統一ニュース>書面インタビューで、 "李明博政府の対北朝鮮政策は南北関係と安保を破綻させた。 私は、国民の政府と参与政府が推進した包容政策(太陽政策)を継承、発展させる "と明らかにした。 李明博政府には批判を、金大中・盧武鉉政府には継承・発展の立場を明らかにしたのだ。 これでムン・ジェイン氏は執権時和解協力政策を取っていくことを明確に知ることができる。

アン・チョルス候補は11月8日<統一ニュース>書面インタビューで、李明博政府の対北朝鮮政策について、 "原則を立てようと努力した点は評価"しながら、 "南北関係を悪化させ、朝鮮半島の平和管理に失敗しており、北朝鮮の核問題を悪化させた結果をもたらした"と批判している。
参与政府の対北朝鮮政策については、 "交流協力で南北の緊張緩和し、朝鮮半島の平和を管理した成果を収めた反面、「一方的支援」の議論など、つまり韓国内の理念対立を誘発した問題がある"と批判している。 李明博、盧武鉉政府の対北政策について、両者とも非難論を展開している。したがって、アン・チョルス候補の対北政策は具体的に知ることができないが、盧武鉉、李明博政府の中間地点になると推定して見ることができる。

そうであれば、これは李明博政府の対北強硬策と距離を置くセヌリ党・朴槿恵候補の政策と同様のものとみられる。朴槿恵候補も "持続可能な平和"と "信頼される外交"、 "幸せな統一"を外交安保政策の3大基調として、南北間の交流協力を活性化するために、ソウルとピョンヤンにそれぞれ "交流協力事務所"を設置し、北朝鮮指導者とも会うことができるという立場を明らかにし、ユーラシア経済協力のため、朝鮮半島縦断鉄道(TKR)。シベリア横断鉄道(TSR)、中国横断鉄道(TCR)を接続し、 "シルクロードエクスプレス(SRX)"へと発展させるという構想も出したからだ。

国家保安法廃止なのか、改正なのか

ムン・ジェイン氏は "統一ニュース>書面インタビューで、"国家保安法は、人間の思想に対する検閲、行為刑法ではなく、心情刑法の問題、あいまいな犯罪の構成要件は、刑事手続上の被疑者の権利の制限、社会全体の公安的な雰囲気の醸成などの問題がある "と指摘し、"国家保安法は廃止されなければならない "という立場を明らかにしている。

アン・チョルス候補は11月19日、ソウル外信記者クラブの記者会見で、 "国家保安法の人権問題を招く部分がある場合は、その部分は当然、国民の共感を得て改正することができる"と明らかにした。 改正についても二つの条件を付けるほど、非常に慎重な立場を見せている。

ムン・ジェイン候補が適切に指摘しているように、国家保安法は、国連の人権規約(自由権規約B規約第19条)違反であり、国連人権委員会、人権理事会などでも問題を提起した国際的に悪名が高いものだ。米国務省も問題と見なし提起している法律でもある。

李明博政府になって、国家保安法の適用事例が頻発している。 反国家団体容疑をおっかぶせたワン・ジェサン事件は裁判所でその部分に対して無罪判決を受けたが、今も捜査が続いており、今まで百数十人が捜査を受けている。 量刑も想像を絶するほど高く、捜査も無差別的である。公安機関関係者は "ワン・ジェサン事件さえあれば3年は暮らせる"と話すという。

1994年に創立され、何の問題もなく日常的に公然と活動してきた私たちの団体(注・平和と統一を開く人々)も北を称賛・鼓舞した疑いなどで、今年2月、国家情報院の家宅捜索を受けた。 家宅捜索令状には、検査と裁判官を欺いて令状を受ける目的で判断される、ピョントンサがワン・ジェサンと関連しているとか、統一部の許可を受けて北に送った弔問文を不明な経路で送ったとかいう虚偽の事実まで含まれていた。 しかし、家宅捜索を受けた日から10ヶ月が過ぎたが、検察の調査を一度も受けなかった。

ところが9月と11月に相次いで地域ピョントンサの家宅捜索が行われた。 調査もピョントンサの記者会見文を北朝鮮の "労働新聞>の文章や単語とつなぎ合わせて北の主張に同調したという形で幼稚に行われている。これは、典型的なチリ払い(注・重箱の隅をつつく)捜査であり、これにより公安機関が政権変動の時期に自分の存在を誇示することで自分の職を失うまいとする醜悪な策略に見える。

さらに逆説的な方法で北を嘲笑したものが、国家保安法違反だとして人身を拘束するという笑うこともできない事態も広がっている。 維新時代(注・朴正熙時代)のマッコリ保安法よりもはるかに荒唐無稽な事が21世紀に堂々と行われているのだ。

このような反人権的で破廉恥な行動の法的根拠と口実となるのが、国家保安法である。 国家保安法被害者とその家族、団体は深刻な生活的、精神的傷を受けることになる。このように国家保安法は、反人権的で反民主的で反統一的な悪法だ。ひたすら公安機関と守旧冷戦勢力の存立根拠であり、反対者への弾圧の道具に過ぎない国家保安法は直ちに廃棄されなければならない。 国家保安法が廃止されても刑法を介して関連事案はいくらでも規律することができる。

それでもアン・チョルス候補が国家保安法の改正についてさえ、非常に慎重な態度を見せるのは、彼の人権感受性や思想と良心の自由に対する認識のレベルを疑うようにする。

済州海軍基地事業の中断なのか、持続なのか

11月8日、ムン・ジェイン氏は済州を訪問した席で、 "ひとまず済州海軍基地の工事を中断して民主的な手続きに基づいて事業を見直したい"と明らかにした。これは、盧武鉉政府の核心関係者だったムン候補が自分の政策エラーを実践的に反省したもので、勇気ある態度というに値する。

アン・チョルス候補は11月2日、済州・カンジョン村を訪問した席でガン・ドンギュン町会長の度重なる工事中断の表明の要求を無視したまま、 "故盧武鉉大統領政府と李明博政府が済州島海軍基地の必要性について認めただけ高度な情報がない状況では、済州島に海軍基地が必要だと考えざるを得ない "と話した。済州海軍基地建設を既成事実化するアン候補のこのような態度は、工事の中断を要求して凄絶に闘う住民とカンジョン村を大きく失望させた。

済州海軍基地は、事業の妥当性に欠け、不適切な立地条件、非民主的手続き、民航と軍港使用の両方不適切な設計、手抜き工事、米海軍の使用、不法暴力を動員した工事強行など、多くの問題を抱えている。

アン・チョルス候補が以前の政府による必要性認定と高度な詳細情報不在を言い訳に済州海軍基地が必要だと主張するのは、彼が言う "革新"と "常識"に合致する態度とは言えない。 自分の独自の判断もなしに、既存のものを踏襲しながら、どうして革新が可能で、高度な情報がないと言いながら済州海軍基地が必要だという判断を下すことが、どうして常識に合致していると言えるだろうか。高度な詳細情報がなくて独自の判断が難しい場合は、少なくともその判断を留保するのが常識ではないだろうか。

韓米FTAの再交渉なのか、改正なのか

ムン・ジェイン氏は "統一ニュース>書面インタビューで、"韓米FTAは国会でも2011年にすでに再交渉要求を決議しており、ISDなどの毒素条項に対する国民の懸念も大きいだけに再交渉を行い、不利益を正す最善の努力を尽くす "と明らかにした。

アン・チョルス氏は去る7月に発刊した "アン・チョルスの考え"で "(韓米FTA)廃棄より綿密な分析を通じて修正が必要な部分について積極的な再再交渉を行わなければならない"と主張した。 ところが11月8日<統一ニュース>書面インタビューでは、 "協定締結の過程で論議になった毒素条項の場合、これに伴う弊害が発生した場合、国際慣例に符合するように改訂するよう努めるだろう"と明らかにしている。 ここで "改正"とは履行を前提とするもので、7月の"再再交渉"の立場から後退したのだ。

このように韓米FTAに対するムン、アン候補の立場は、"再交渉"と "弊害の発生時に改正"の違いがある。

天安艦沈没事件は再調査なのか、ではないのか

ムン候補は民主党候補の予備選挙の過程で天安艦事件について "国防部の判断を尊重する。 政府の調査結果について、多くの専門家たちが疑問を提起し、国民も政府の発表をそのまま信じないと言うべきである。 合理的な疑いについては、きちんと説明する過程が必要だ "と主張した。

アン候補は "アン・チョルスの考え"で、 "私は基本的に政府の発表を信じている。 ただし、国民に説明する過程がきちんと管理されず問題が大きくなったと思います "と明らかにした。

天安艦事件に対する両候補の立場は似ているようだが、再調査するかどうかについては、違いがある。 天安艦事件が朝鮮半島と北東アジア情勢に及ぼした深刻な悪影響と、事件発生から真相調査過程に至るまでに発生した多くの隠蔽と歪曲。操作、これに対する多数の科学的かつ合理的な問題提起と国民的疑惑を考慮すると、新しい政権では全面的な再調査が行われなければならない事案であるという点で両候補の差は注目して見なければならない大きな課題だ。

NLL(北方限界線)は、果たして領海線なのか

ムン候補は12日、ソウル外信記者クラブの記者会見で、 "NLLは1992年の南北基本合意書で、南北間の不可侵海上の境界線で合意した事実上の領海線"と主張した。

アン候補は "NLLは、南北基本合意書の精神に基づいて、南北双方が認めた海上境界線でどのような状況でも領土は一寸の譲歩もできない"とし、 "NLLをきっぱりと死守して領土主権を守護する"と主張した。

ムン、アン両候補とも、NLLが南北基本合意書で "南北が合意した海上境界線"だと主張する。
しかし、これは事実ではない。 両候補が南北で合意したという根拠に掲げている "南北不可侵の履行と遵守のための付属合意書"の第10条は、次のように指摘している。 "南と北の海上不可侵境界線は、今後引き続き協議する。 海上不可侵区域は海上不可侵境界線が確定されるまで、双方がこれまで管轄してきた区域とする"。これは南北が合意した海上境界線は存在せず、そのために今後も引き続き協議することにしたものであることを明確に示している。 ただし、海上不可侵区域は "双方がこれまで管轄してきた区域とする"との文言について南は北がNLLを認めたと主張するが、北はこのような解釈を認めていない。

したがって、NLLが海上の境界線だという主張は、停戦協定、南北基本合意書などどこにも法的根拠がない。 これは、数多くの根拠が提示されているので、これ以上の説明が不要な程だ。さらに、NLLが領土線なので、NLLを守って領土主権を守護するという主張はとんでもない不法な主張である。 これは、内容的には "双方の間の関係が国と国の間の関係ではなく、統一を志向する過程で暫定的に形成される特殊な関係"という南北基本合意書に背く反統一的主張であり、南北分断で死文化されているが形式的に見れば、 "大韓民国の領土は朝鮮半島とその付属島嶼とする"という憲法3条の領土条項にも違反する違憲的主張である。

代表的な反北朝鮮守旧勢力として認識される在郷軍人会さえNLLを "実質的な南北海上境界線"とするだけで領土線という荒唐な主張をしない。この点で、両候補のNLLに対する認識レベルが在郷軍人会にも満たないということは、失望させること極まりないことだ。

それでも二人の候補がNLLを領土線または領土主権と結びつけるのは反北朝鮮守旧勢力の色合い論争を恐れて真実を糊塗する機会(日和見)主義的態度である。 この点でムン・ジェイン氏はNLLを領土線ではないとした盧武鉉前大統領の勇気ある発言より明らかに後退したのだ。両候補のこのような頑固な立場は、10.4宣言(注・2007年南北首脳宣言)に明記された共同漁労区域の設定など西海平和協力特別地帯設置に難関を作るものだ。

朝鮮半島の平和体制構築方案に対する構想は?

ムン補は "統一ニュース>書面インタビューで、"北朝鮮の核解決の3原則は、 "北朝鮮の核不要 '、'9 .19共同声明(注・2005年六者協議で採択)の適合性"、 "包括的・根本的な解決"である。 私はこのような包括的接近案を具体化した "韓半島平和構想"を準備する。 業務引継ぎ委員会時代、北朝鮮に特使を送り、大統領就任式に、北朝鮮の代表を招待し、就任後の夏まで韓米首脳会談と韓中首脳会談を開催して、"朝鮮半島平和構想"を調整し、これを北朝鮮の首脳と合意する。続いて6カ国協議参加国との調整を経て就任2年目の2014年上半期に "朝鮮半島の平和と非核化のための6カ国首脳宣言"を導き出し出す。これが "韓半島平和構想"のロードマップ "と明かしている。

アン候補も<統一ニュース>書面インタビューで、"南北協力、平和体制、北朝鮮の核問題の解決を同時並行的に推進することにより、朝鮮半島の平和体制と統一プロセスを同時に進展させる政策を推進することです。 まず、南北対話を復元して信頼を構築していき、事実上の統一過程を進展させていきます。 これと並行して、6カ国協議を再開し、北朝鮮の核問題を平和的に解決することができる韓米、韓中など、両者の外交を積極的に推進して実質的な韓半島の平和体制を構築していくことです "と明かしている。

両候補も、包括的かつ同時並行的な朝鮮半島問題へのアプローチによって、非核化と平和体制を実現するという立場を見せているという点で肯定的であり、鼓舞的だ。 新しくできる政府は停戦協定60周年の2013年を朝鮮半島平和協定元年として宣言して、就任初年度から南北対話と6者会談、朝鮮半島平和フォーラムを同時に推進して遅くとも次期政権の任期内に朝鮮半島の非核化と平和協定を実現しなければならないだろう。

ムン・ジェインは金大中・盧武鉉継承、アン・チョルスは朴槿恵と似ている

総合してみるとムン・ジェイン候補の場合、金大中。盧武鉉政府の和解協力政策継承の立場を明らかにしているものと評価される。この場合、破綻した南北関係の復元と朝鮮半島の平和と明るい展望を期待して見ることができるだろう。 ただし、NLLが領土線という立場を訂正しない場合は、今後の南北関係、特に西海平和協力特別地帯の設置過程で困難が造成されることが懸念される。

一方、アン・チョルス候補は、過去の政府の評価、国家保安法、済州海軍基地、韓米FTA、天安艦事件に対する立場でムン・ジェイン候補よりセヌリ党・朴槿恵候補と類似した立場を見せている。 "安保は保守"という自身の立場を如実に表わしたのだ。この場合、アン・チョルス候補が自分の立場を前向きに変えないならばアン候補が大統領になるとしても統一外交安保分野に関する限り、政権交代の意味と価値を見つけることができるか疑問である。ただし、朝鮮半島の平和体制については、前向きな立場を持っているので、この問題を解決していく過程で、自分の統一外交安保政策を進歩的に変化させていく可能性を排除することはできないだろう。

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