8・14~8・17ソウル訪問報告
ソウルで開かれた8・15自主統一大会に参加するため東京・大阪・平和フォーラムから22人の訪問団が8月14日から17日まで訪韓しました。以下報告します。
*写真はクリックすると拡大されます。
8・14日韓平和討論会
8月14日午後、韓国労働組合総連盟(韓国労総)会議室で8.15自主統一大会推進委員会が主催し、戦争反対平和実現国民行動・反戦平和連帯(準)・「ウリハッキョ」と子どもたちを守る市民の会が主管する「<日韓平和討論会>~アジア平和のための韓日平和陣営の対応~」が開かれた。
日本の集団的自衛権行使容認、朝鮮学校の「無償化」差別問題が中心テーマで、日韓双方から下記の報告・討論発題が行われた。各報告はPDFファイルでダウンロードできます。
活動家中心の討論会で、会場には韓国側から民主労働組合総連盟(民主労総)自主統一委員長をはじめ主管の各団体の活動家が参加、熱心な討論が行われ、来年の戦後70年、朝鮮半島解放・分断70年に向けて共同の取り組みを強めていくことを確認した。
・挨拶:ハン・チュンモク8・15自主統一大会推進委員・韓国進歩連帯共同代表
垣沼陽輔・全日建運輸連帯労組近畿地本執行委員長
・報告:アジアの紛争を激化させる日本の再武装と韓米日同盟強化の問題点
(韓国側:チョン・ウクシク「平和ネットワーク」代表)
・討論1:安倍政権の集団的自衛権行使の動きと日本社会の対応
(日本側:藤本泰成「フォーラム平和・人権・環境」事務局長)
・討論2:韓日軍事協力の動きと韓国社会の対応
(韓国側:チェ・ウナ戦争反対平和実現国民行動事務局)
・特別討論1:日本の在日同胞への差別政策の実態と対応-朝鮮学校問題を中心に
(日本側:佐野通夫・こども教育宝仙大学教授、"高校無償化"からの朝鮮学校排除に反対する連絡会)
・特別討論2:在日同胞差別に対する韓国社会の対応
(韓国側:キム・ミョンジュン映画『ウリハッキョ』監督、モンダンヨンピル事務局長)
8・15前夜祭(汝矣島[ヨイド]・漢江河川敷)
この後、深夜12時からの815自主統一大会前夜祭(汝矣島の漢江河川敷)に参加。
民主労総や韓国労総、女性・青年・学生など各分野から抜擢され各地をキャラバンしてきた統一先鋒隊を中心に2000人が参加、大きな電光スクリーンをバックにした舞台ではアピールや様々な出し物が続き、また舞台と会場参加者が一体となった律動などで大いに盛り上がった。会場の周りには各団体の出店も出て午前3時過ぎまで続いた。
8・15自主統一大会(ソウル駅前) *大会の詳細別掲
午前11時からソウル駅前で民主労総の前段集会に参加、続いて12時から本大会の「8・15日本の集団的自衛権反対、朝鮮半島平和統一のための汎国民大会」が開かれた。これは官製の光復節式典とは別個に、解放記念とともに同時にもたらされた南北分断克服・統一のための行動として毎年開かれているもの。今年は、タイトル通り日本の集団的自衛権行使容認反対が大きなテーマとなった。
自主統一大会後、ソウル駅前からソウル市庁舎前までデモ行進。ソウル市庁舎前広場の「セウォル号」特別法要求集会に合流した。
「セオウル号」特別法要求集会(ソウル市庁舎前)に合流
この集会には5万人が詰めかけソウル市庁舎前広場は人でぎっしり埋まった。「セオウル号」特別法とは、事故の真相究明を可能とする権限を有する特別立法を制定させ、事故の真相・背景を全面的に明らかにさせようとするもの。この間では「セオウル号」運営会社の背後に資金作りのために国家情報院が介在していることさえ取り沙汰されている。
この立法制定を要求して、遺族や生還者を先頭に広範な社会・市民団体が取り組んでいる。また被害者遺族をはじめ支援者らがハンガーストライキを行ってきた。
集会には、33日目のハンストに入っている遺族の方が救急車で会場に駆けつけるなど、韓国の人々の「セオウル号」事件への強い思いを実感した。
8・16群山(クンサン)米空軍基地視察
翌16日は、貸し切りバスで全羅北道の群山米空軍基地に向かい現地の方の案内で視察した。
ここは、植民地時代に日本が「大刀洗陸軍飛行学校」の分校として日本軍の操縦士養成機関を建設し、その後拡張して「群山陸軍飛行場」としたところ。1945年に米軍上陸後、接収し米空軍基地となった。朝鮮戦争を経て、1970年には韓国軍の飛行戦隊と民間航空機も就航し、現在の「軍民共用空港」に。1974年に米軍の太平洋空軍司令部第7空軍第8戦闘飛行大隊の基地に。約11㎢(339万坪)。
・第7空軍司令部のオサン空軍基地(平沢)で哨戒情報を得て、先制攻撃と戦闘を遂行する。
~2つの飛行大隊、F16 など戦闘機約60機保有
~パトリオットミサイル(16基)保有、西海岸で中国をにらんだミサイル防衛(MD)システムベルトの中心的役割
~軍人ら約3千人常駐。
~基地内外に約75棟の弾薬庫、11の地下燃料貯蔵施設、107の格納庫
~2.75km長さの2つの滑走路
・西海岸沖のチクト(直島)は、梅香里閉鎖後の「射爆場」:爆弾投下、射撃訓練。沖縄やアメリカから米軍が訓練に。
・米軍による数々の被害
~1日の離着陸150回におよび、騒音被害(110db:難聴)、家畜の集団斃死事件など
~燃料汚染:送油管やオイルタンクの老朽化、田畑や井戸の汚染
~環境汚染:汚水・廃水を西海岸に垂れ流し、生物的酸素濃度基準値の7倍を超
過。
地元の案内をしてくれた方の話だと、この周辺は原発立地周辺より放射線量が高いとされ、チクト射爆場での劣化ウラン弾使用などが疑われるとのこと。
甲午農民戦争戦跡地訪問
群山を後にした一行は、続いて甲午農民戦争の戦跡地訪問に向かった。
1894年、封建制の腐敗と圧政に対する蜂起として始まり、のちに日本帝国主義の侵略に対する抗日戦争としての性格を持った民衆闘争で、日本では俗に「東学党の乱」などとして知られる。
蜂起の広がりと鎮圧に手を焼いた朝鮮王朝は清国政府に援軍の派遣を要請、清軍の朝鮮進駐を口実に日本政府は朝鮮に派兵、朝鮮王宮を占領して清との条約を破棄させ、こうして日清戦争の火ぶたを切るに至った。日本軍は清との戦争の一方で甲午農民軍掃討作戦を苛烈に行い、武力に劣る農民軍を追い詰め全州や珍島周辺で30万人ともいわれる人々を虐殺した。
日清戦争とは、日本と清による朝鮮に対する覇権をめぐる戦争であり、その主戦場は朝鮮半島だった。
一行は、社団法人東学農民革命継承事業会理事長のイ・カプサン氏の案内で無名戦士の碑、日本学校の跡地、民衆から慕われ「緑豆将軍」と呼ばれた農民軍指導者・全琫準(チョン・ボンジュン、日本軍により処刑)の居宅跡などを訪れた。この地には、記念館や甲午農民戦争の遺跡が手厚く保存されており、あらためて明治以来の日本と朝鮮半島の歴史に思いを馳せるよい機会となった。
ハン・サンヨル、イ・ガンシルご夫妻の教会を表敬訪問
一行は、続いて全州市内の告白教会を訪れた。この教会は、南北和解のためピョンヤンを訪れ、板門店から帰南して国家保安法で逮捕・投獄され昨年出所したハン・サンヨル牧師と韓国進歩連帯の前常任代表イ・ガンシル牧師のご夫妻の教会。お二人と再会を果たし、教会信者の方が経営する食堂で全州ピビンパに舌鼓を打ち、またの再開を約してソウルへの帰還の途についた。
翌17日、一行は3泊4日の有意義な韓国訪問への思いを胸にそれぞれ帰国の途についた。
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