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2017年6月25日 (日)

●【詳報】6・11朝鮮半島と東アジアの平和 東京国際シンポ開く

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 611日午後、東京千代田区の中央大学駿河台記念館で「615南北共同宣17周年 国際シンポジウム 朝鮮半島と東アジア-平和への新たなステージへ」が開かれ約300人の人々が参加した。主催は、日韓ネットを含む13団体によって構成されている「東アジア市民連帯」。前日の10日にソウルで開催された国際シンポ「コリア国際平和フォーラム」(報告・発題別掲)と連動した取り組みでもある。

 

 最初にソウルシンポからとんぼ返りしたばかりの藤本泰成・平和フォーラム共同代表が「東アジア市民連帯」を代表して主催者あいさつ。続いて来賓あいさつを朝鮮最高人民会議代議員の南昇祐・朝鮮総聯副議長、615共同宣言実践南側委員会のハン・チュンモク常任代表が行った。

 南昇祐氏は、「米国の朝鮮敵視政策と世界最大規模の軍事演習で朝鮮半島は緊張状態にあるが、朝鮮の国防力強化と南の独裁政権の積弊清算時代の始まりにより、朝鮮半島の平和と北南関係改善の新たな希望が開けると確信している」と述べた。

 ハン・チュンモク氏は、「韓国のキャンドル革命は朴槿恵政権を打倒し文在寅政権を誕生させ変革への火を灯した。しかしこれは出発点に過ぎない。韓国民衆はこれを起点にこれまでの積弊を清算し、分断を克服して朝鮮半島の恒久的平和体制を構築する道を歩んでいくだろう」と力強く述べた。

P1010132_640x480                             藤本泰成さん
P1010137_640x480                              南昇祐さん
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                            ハン・チュンモクさん


 シンポジウムでは、纐纈厚・山口大学名誉教授がコーディネーターを務め【韓国】キム・ピョンギュ 反戦平和国民行動共同執行委員長・韓国進歩連帯反戦平和委員長、【朝鮮】李柄輝 朝鮮大学校文学歴史学部准教授、【カナダ】ミシェル・チョスドフスキー オタワ大学名誉教授(ソウルシンポと同じ・別掲)【中国】鄭己烈 中国清華大学客員教授(韓国人)【ロシア】キム・ヨンウン ロシア科学アカデミー極東問題研究所朝鮮問題研究センター上級研究員、【日本】浅井基文 大阪経法大客員教授・元外務省地域政策課長-の6人が発題を行った。

 

米国が強要する敵対政策の束縛から脱してこそ615時代が再び訪れる

 

韓国キム・ピョンギュさんは、「朝鮮半島は今すぐに戦争が起きてもおかしくない状況にある。この危機は12年のことではなく、朝米ジュネーブ合意や6者会談など解決の努力がなかったわけではないが、米国は対北敵対政策を放棄しないばかりかかえって強化し、周辺国もこれに追随したことが今日の状況を生み出している」「しかし、米国の対北敵対政策はこれ以上維持することが難しく、破産直前にある」「韓国ではキャンドル革命により政権交代を実現したが、米国の対北政策の束縛から脱しなければ615時代を再び迎えることはできない。今、韓国では『韓国のどこにもサードは要らない』というスローガンから『これが同盟か?サードを持って消えろ!』というスローガンに代わり、韓米同盟そのものを正そうという大衆運動が始まっている。韓国の人びとは文在寅政権が米国の圧力に耐えられるか心配しているが、結局615時代を再び開くことは韓国の統一運動陣営とキャンドル革命に立ち上がった人々が成すことでありその展望は楽観的に見ている。朝鮮半島と東アジアの平和のため関連国の皆さんとも連帯し共に闘っていきたい」と力強く述べた。

P1010158_640x480                キム・ピョンギュさん

 615共同宣言の今日的意義と朝鮮半島の平和と統一の行方

 

 朝鮮大学校の李柄輝(リ・ビョンフィ)さんは、「現在、朝鮮半島を覆う一触即発の危機はかつてない危険なレベルに達している。毎年春と夏に米韓合同軍事演習が繰り返されるが、その都度朝鮮側は防御に当たらなければならず、朝鮮側を疲弊させ体制転換を早めようという意図が込められている」「朝鮮半島は依然として停戦状態のままであり、米国の軍事力が増すほど朝鮮側の負担も増大する。このような状態が朝鮮をして核武装に至らせた」「そもそも朝鮮半島の南北分断は日本の敗戦に伴い、米ソの覇権争いとアジア民衆の脱植民地化の闘いの前進の狭間の中で、米国による利益線確保を目的として進められた。朝鮮半島でも全民族代表者の円卓会議が開かれるなど民族統一国家樹立のための脱植民地・自主的な動きが強まっていたが、南朝鮮単独選挙強行などで南北分断を固定化し、自主的な動きを押し潰し、こうして朝鮮戦争勃発。その後の停戦状態のまま今日に至っている」と指摘。こうした歴史と現状の中で「615共同宣言は、分断政府樹立以降の南北対話と統一運動の経験と教訓を踏まえた宣言であり、南北双方が排他的に正当性を主張し合う相克の関係から、「わが民族同士」の精神で、連邦制統一に向かって民族経済の均衡的発展と多方面の交流を進め、相互の信頼を築くことを謳っている。朝鮮半島の非核化も南北和解の推進とそれによる米国の政策変更を実現する長期的展望のなかで構想していく必要がある」として、615共同宣言の今日的意義を力説した。

P1010161_640x480                  リ・ビョンフィさん

 

東北アジアの平和と安全保障に関するロシアの見解

 

 ロシアのキム・ヨンウンさんは、ロシア政府の原則的立場を明らかにした。まずロシア政府の現代世界構造の認識について「多極化が進行し、グローバリゼーションが進んだ結果、世界の勢力と発展の潜在力の中心が分散しながらアジア太平洋地域にシフトすることにより、歴史的な西側勢力による経済と政治に対する支配が弱まっている」「中国・ロシア・インドなどのBRICsやそれに続く諸国の経済的発展により、米国のシェアはさらに縮小し、やがて中国に次ぐ第2位の地位に甘んじることになるだろう」と指摘。しかし、「西側の支配力の減少により、西側がその支配的地位を簡単に諦めるとは考えていない。この点で、将来の国際システムの基本原則を形成する過程で優位を占めようとする闘いが、現代の世界発展段階における重要な傾向になる」として、「平等で持続的な世界秩序の樹立」などロシア政府が打ち出している5つの優先事項を紹介した。

 その中で、朝鮮半島問題については「朝鮮、韓国との友好関係を維持し、緊張緩和と南北朝鮮の和解、相互協力関係の発展のために努力する。またロシアは一貫して朝鮮半島の非核化を支持し、6者会合を通じてそのために可能なすべての措置をとる」。しかし現在、「韓国が米国に追随し、サード(THAAD)の韓国配備で東アジアのパワーバランスが崩れ、ロシアも中国もこの地の軍備を増強しなければならなくなった」「米国は作戦計画5027など朝鮮半島での戦争計画をもっているが、ロシアの立場からしてもっとも重要な安全保障問題は、朝鮮戦争で戦った当事国である米韓と朝中の間で平和協定を結ぶことである。しかし、米国も韓国も平和協定を望んでいない。朝鮮半島の核問題は、米国にとってだけでなく、東北アジアのすべての国にとって平等な安全保障の脈絡でのみ解決できる。こうした点からロシアは朝鮮半島問題の解決過程に積極的に関与していくだろう」と立場を明らかにした。

 またコーディネーターの纐纈さんが質問した、現在の日ロ交渉で日本政府が返還要求しているいわゆる「北方領土」問題に関しては、「西ではNATOが拡大し、東では日韓に米軍基地が置かれており、日米安保体制の存在のもとで返還はありえない」と明言した。

P1010169_640x480                  キム・ヨンウンさん

朝鮮半島と東アジアの平和のために日本が果たすべき役割

 

 発題の最後は浅井基文さん。浅井さんは、まず共有すべき事実認識として「①朝鮮の核ミサイルは今や日韓の米軍基地を射程に収めていること、②また移動式のため事前に補足できず先制攻撃で破壊は不可能、③その攻撃目標も事前に把握不可能であり迎撃も不可能、④したがって第二の朝鮮戦争は悲惨な核戦争となり、その悲劇を防ぐ唯一の道は戦争という選択肢を完全に除外すること、⑤結論として朝鮮核問題の軍事的解決はあり得ず外交的解決のみがあり得る」点を指摘した。その上で「安倍政権は愚かにもトランプ米政権の軍事的選択肢を含む『すべての選択肢』発言を歓迎したが、トランプ米政権も軍事的選択肢があり得ないことを認めざるを得なくなっている」「日本人の多くは安倍政権のまき散らす『北朝鮮脅威論』に影響されている現実がある」とし、「まずは朝鮮半島の緊張原因が何であるかを正しく認識する必要がある。朝鮮の核ミサイル開発を支持するものではないが、朝鮮戦争以来今日まで一貫して米国の核の脅威にさらされ続けてきたことが、朝鮮が核ミサイル開発、核抑止力構築に必死にならざるを得なかったことは理解する。ここでとくに軍事常識のイロハとして私たちが踏まえておくべきことは、朝鮮の核ミサイル能力はあくまでも『抑止力』であって『脅威』とは別だということ。もし朝鮮が仮に先制攻撃を行えば、次の瞬間に米韓の総攻撃で朝鮮は壊滅に追い込まれる。朝鮮が先手を取って「攻撃する意思」はあり得ず、従って『脅威』ではあり得ない所以である。むしろ米韓の先制攻撃に対する『抑止力』としてのみ有効で、3頭の猛獣(米日韓)に取り囲まれて全身を逆立て身構えるハリネズミ(朝鮮)のようなものだ」。そして私たちの課題として、「①安倍政権の振りまく『北朝鮮脅威論』『北朝鮮悪玉論』のカベを取り払うべく全力で取り組むこと、②米日韓の対朝鮮政策こそが朝鮮半島の平和を脅かす原因であることをハッキリさせること、③トランプ米政権及び文在寅韓国政権の新しい朝鮮政策の可能性を積極的に評価し、安倍政権の敵視政策を孤立させなければならない。トランプはイデオロギーとは無縁で損得勘定で判断する危なっかしさが付きまとっているが、その分これまでの政権とは違ったアプローチをとる可能性がある」などと提起した。

P1010175_640x480                  浅井基文さん
P1010164_640x480               ミシェル・チョスドフスキーさん
P1010167_640x480                    鄭己烈さん
P1010178_640x480                    纐纈厚さん

 各発題を受け、コーディネーターの纐纈厚さんが中間まとめを行い、さらに各シンポジストに的確な質問を投げかけて、引き締まった、より深まった討論の場となった。

 

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 シンポは最後にアピールを会場の参加者全体で採択して終了した。

.11東京国際シンポジウム アピール

 いま朝鮮半島は戦争の危機に直面しています。トランプ政権や安倍政権、そしてマスメディアも、その責任のすべてを朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)に転嫁しています。しかし、北朝鮮が核・ミサイル開発に突き進んだのは、米国が朝鮮戦争の停戦協定を平和協定に転換することを拒否し、核先制攻撃戦略に基づく米韓合同軍事演習を強行するなど、北朝鮮に対し対話せずに圧力だけを強めてきたからです。

私たちは、世界中のどの国による核開発にも戦争挑発にも反対します。そして、朝鮮半島における軍事緊張の当事者は米国と朝鮮です。私たちは、米朝両国が前提条件をつけずに平和協定の締結に向けた対話のテーブルに着くよう要求します。

 トランプ政権に追随して「北の脅威」をあおっているのが安倍政権です。その狙いは、安倍政権自体、安倍首相自身が抱える問題から国民の目を逸らすためだけではありません。「共謀罪」の法制化で国民監視体制を敷くことと合わせて、国民の統合策とし、さらには戦争への国民動員策とするためです。あるいは、北朝鮮を敵とみなし敵基地攻撃能力保有の必要性を強調することにより、憲法9条を改廃するとの狙いも潜ませています。私たちは、平和憲法の柱である9条を破壊しようとする安倍政権の暴走を断じて許しません。

 朝鮮半島では、北の人民も南の民衆も、対決ではなく対話を、戦争ではなく平和を心から願っています。その南北間には2000年6月に両首脳が署名した6.15南北共同宣言があります。韓国に文在寅民主政権が誕生したいまこそ、南北が対話し交流し協力し合い、6.15共同宣言の実践に向けて歩み出すことを希望します。

 私たちは、シンポジウムを通じて、制裁や圧力では問題が解決しないこと、また、周辺各国は、いたずらに朝鮮を危険視するのではなく、北と南が対等な立場に立って自主的に話し合えるよう、環境整備に寄与すべきだということを理解しました。そして、朝鮮半島を初めとした東アジアに平和を築き上げるためのヒントが提示されたことも互いに確認しました。

 私たちは、朝鮮半島の平和を、そして東アジアの平和を心から望んでいます。20世紀は戦争の世紀でしたが、私たちには21世紀を平和の世紀とする責務があります。

 韓国の文在寅民主政権誕生を契機として、東アジア全域を直面する戦争の危機から平和へのステージに作り変えましょう。シンポジウムで得た貴重な種子をそれぞれの持ち場に持ち帰り、平和の花を咲かせましょう。

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