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2017年6月18日 (日)

  【ソウルシンポ発題①】ミシェル・チョスドフスキー オタワ大名誉教授

韓国における政権交代、第二の太陽政策、非武装化と平和プロセス

 

ミシェル・チョスドフスキーオタワ大学名誉教授

 

 

第二の太陽政策と朝鮮半島の非武装化

 

歴史の遺産は根源的である。朝鮮戦争(1950-53)20170611_3
の結果としてだけでなく、1945年からの韓国に対する米国の干渉と軍事プレゼンスは、民主主義と国家主権に対する主要な障害であり続ける。

米国は東アジアにおける覇権を確保するため、常に韓国政治に関与してきた。弾劾された朴大統領は米国行政府の道具として仕えてきた。

それは韓国で実施された大統領選挙において、文在寅氏の当選を導く上で大きな貢献をした。

ろうそくデモによって支持され文在寅氏が大統領に選出されたことは、潜在的には重大な分岐点となり、地政学的に、また政治的にも画期的な出来事である。そしてそれは米国の干渉が続く中でも国家主権に向けた道筋が開けたことを意味し、また権威主義が支配する過去の時代との潜在的な決別でもある。

文在寅大統領は、盧武鉉政権で大統領秘書室長等の側近として活動した。

彼はこれまで、米国との関係を維持しながらも、第二の太陽政策と呼ばれる、朝鮮民主主義人民共和国(以下朝鮮)との対話と協力を進める確固たるコミットメントを表明している。

文在寅大統領は朝鮮の核計画に断固反対しながらも、米国が提供する高高度ミサイル防衛システム(THAAD)配備にも毅然とした態度を示している。

最近の情勢の展開では、韓国国防部長官はTHAADミサイルシステムの発射台を4台追加する上で、大統領の陰に隠れイニシアティブを握っていた。文在寅大統領は国家安保室長からその件に関する「報告を受け、非常に衝撃を受けた」と述べている。

文在寅大統領の朝鮮との協調と非武装化へのコミットメントは、軍事分野における米韓関係の再定義を求めることになろう。

 

作戦統制権の破棄と米韓連合司令部

 

2014年、朴槿恵政権は作戦統制権の返還に関する合意を2020年代中頃まで延期した。これが意味するものは、「紛争が起きた際」すべての韓国軍は韓国の大統領や司令官ではなく、米国防総省が任命する米国の司令官の指揮下に置かれるということである。

米韓連合司令部の組織構造だけではなく、作戦統制権に関する合意の破棄なくして、国家主権の合理的回復はあり得ないということは、言うまでもない。

私たちは(独裁者であり、また弾劾された朴槿恵前大統領の父である)朴正煕将軍の大統領施政下において、二国間による米韓連合司令部が設置されたことを知っている。実質的には、これはいわゆる国連軍司令部のラベル替えであった。

また、再交渉された作戦統制権(2014年)下の米司令官の司令権は、一時的な停戦を法的に制定した1953年の停戦協定が平和協定に代わらない限り、全面的に運用される。

 

1953年の停戦協定

 

1953年の停戦協定の根底にあるものは、戦争当事国の一つである米国がこの64年間、朝鮮に対して戦争を開始すると常に脅威を与えてきたということである。すなわち戦時体制を継続させたのである。西側メディアと国際社会が注意を払うことなどないが、米国は半世紀以上もの間、停戦協定13b項に違反し、朝鮮を標的とした核兵器を積極的に配備してきた。最近では、主に中国とロシアを直接的な標的とした、いわゆるTHAADミサイルを配備している。

米国は未だ朝鮮との戦争状態にある。米国、朝鮮、そして中国人民志願軍の戦争当事者間における「一時的な休戦」を法的に制定した1953727日に署名された停戦協定は、恒久的な平和協定の署名により廃止されなければならない。

米国は南北朝鮮間における関係正常化と協力のプロセスを避け続けているだけではなく、韓国における軍事的プレゼンスを維持するために、これまで停戦協定に違反し続けてきただけでなく、朝鮮との平和交渉も一貫して拒否してきた。

 

南北二者間の平和合意へ向けて

 

停戦協定署名国の一つが平和協定の署名を拒否するなら、包括的な南北二者間での平和合意の形成について考えねばならない。これは1953年の停戦協定の実質的な廃止を意味する。

模索されるべきことは、(停戦合意下で継続する)米朝間における「戦争状態」が、協力と交流を伴う包括的な南北二者間平和合意の署名により、ある意味「わきへ追いやられ」、また廃止されなければならないということであろう。

この遠大な南北合意は、朝鮮半島における平和を擁護するものであり、1953年の停戦協定署名国間における平和協定の署名を伴うものではない。この二者間協約の法的成立は極めて重要である。二者間取り決めは事実上、米国の拒否を飛び越えて取り交わされるであろう。これは外国勢力の干渉のない、言い換えれば、米国政府の指図のない、朝鮮半島における平和の基礎を形成するであろう。同時にこれは韓国からの米軍の撤退と作戦統制権に関する合意の撤回を求めるものである。

米国は朝鮮への新しい兵器の搬入を停止するとした停戦協定13d項の事実上の破棄に関与しているということを忘れてはならない。1956年、米国は韓国への核施設の搬入と配備を実施した。そうすることにより、米国は13d項を破棄しただけではなく、韓国における米軍及び兵器体系の配備を通して停戦協定それ自体を破棄したのである。

また、作戦統制権に関する合意下での新しい軍事基地の展開を含む韓国の軍事化は、主として、朝鮮半島を中国とロシアの双方に脅威を与える軍事的な発射台として用いる意図を示している。作戦統制権下では、「戦争の際」、韓国全軍は中国もしくはロシアを相手に米軍の指揮下で動員される。

THAADミサイルは、中国、ロシア、そして朝鮮に向けて配備されている。米国は、THAADは朝鮮に対するミサイル防御としての意図しかないと述べている。同様に、済州島の軍事基地は主として、中国に対する威嚇である。

また、米国は、究極的には、朝鮮を孤立させるために、南北朝鮮間だけでなく、朝鮮‐中国間においても、東アジアの分断を形成すること意図している。

きわめて皮肉なことに、済州島を含む韓国における米軍施設は、軍事的包囲のプロセスの一部として、中国を威嚇するために用いられている。いうまでもなく、南北二者間合意下で定義されるより広範囲な東アジアと、朝鮮半島における恒久的な平和は、韓国からの米軍の撤退を含む作成統制権と停戦協定の双方を撤廃することを求めるであろう。

文在寅大統領の施政下で、南北間における二者間平和交渉が外部勢力の参加や干渉なしに行われることは重要である。このような議論は対朝鮮経済制裁の解除と米占領軍の撤退に着手するものでなければならない。米軍プレゼンスの排除と28,500名の占領軍の撤退は、南北二者間平和条約にとって必要不可欠な条件となる。

 

韓国の米国との関係

 

米軍による軍政は、第二次世界大戦直後から強いられた。ポツダム会談(194578月)にて米国とソ連は38度線に沿って朝鮮を分断することに合意した。

米軍の進駐により、南朝鮮には「解放」がもたらされなかった。真逆の状態がもたらされた。米軍政は、1945815日に日本が降伏した3週間後の98日、南朝鮮にて打ち立てられた。また、南朝鮮地域に残っていた日本の官僚は米軍政への移行過程において、ホッジ将軍率いる在朝鮮米陸軍司令部軍政庁(USAMG)(1945-48)に力を貸した。南朝鮮の警察官のみならず、ソウルにいた日本の植民地行政官は、新しい植民地支配者たちとごく親密に働いた。

 

米国が支援する軍事独裁

 

1945年から1987年まで韓国に適用された軍事独裁の基礎的モデルは、ラテンアメリカと東南アジアで米国政府によって強いられたそれと、大きく異なるものではない。同時に1980年代まで米国外交政策における大きな転換がもたらされた。米国の介入主義は従順な「民主政府」による軍事政権の交代へと加速したが、それは主権国家の国内事情における米国の干渉を弱めたり破たんさせたりすることはなかったのである。

1980年代、米国が支援する軍事独裁のほとんどは、米国が支援する民主主義によって転覆されている(例えばチリ、アルゼンチン、ブラジル、フィリピン、インドネシア)。その一方で、米国は国民選挙に介入し、政治指導者を昇進させ「体制転換」をけしかけている。

多くの国で展開されているのは、民主主義のうわべであり、これは「民主主義独裁」と呼ばれなければならない。

全面的なマクロ経済改革は頻繁に強いられている。民主的に選出された指導者たちは、従順でなければ脅迫にさらされ、多くの場合、国家の指導者は米国に取り込まれている。

先述の内容が示すことは、韓国において選挙によって選ばれた大統領により軍部が交代し、政府が運営され、そして権威主義体制が撤廃されても、それは必ずしも国家の構造転換を意味しないということである。

 

韓国を標的とした金融戦争

 

米国が韓国で民主的に選出された金大中大統領(当時)に対して、1997年のアジア通貨危機の際に行われた韓国ウォンに対する投機的な猛襲[訳注:韓国ウォンの売り浴びせ等]に対して、選挙に先立ち包括的なマクロ経済改革を実施することを単刀直入に指示したことが思い出される。

元政治犯であり反体制派、そして米国が支援する朴正煕及び全斗煥軍事政権に対する強固な反対者であった金大中元大統領ですら、政治的圧力に屈服し、韓国で民主的に選出された大統領として正式に就任する前に、ウォールストリートと米国政府に屈したのである。

1997年のアジア通貨危機は操作されていた。これは金融操作の結果である。韓国は強力な金融制度によって引き起こされた経済不安定化に関する計画的なプロセスの対象であった。しかし、選挙後すぐ、金大中元大統領は米国政府の要求に従わされたのであった。

上述の内容が意味することは、民主的に選出された政府は、それ自体が民主主義と国家主権を保証しないということである。

 

統一、その前途

 

2次世界大戦の前後に見受けられた米国の新植民地主義の慣習は、国民国家の弱体化を狙ったものであった。米国は軍事的及び非軍事的手段を通して、独立国(例えばユーゴスラビア、チェコスロバキア、中央アメリカ、イラク、シリア、スーダン)の分割と破壊を模索している。この破壊と分断に重点を置く外交政策課題はまた、朝鮮にも適用されている。

ひとつの朝鮮民族しかない。米国は、統一した朝鮮民族は東アジアにおける米国の覇権を弱める勢力となるため、統一に反対しているのである。

統一は競争力の高い産業と軍事力、そして先進技術と科学を有した国民国家を作り上げるであろうし、自らの主権を行使し、米国の干渉を排しロシアや中国を含む近隣諸国との貿易関係を確立するであろう。

この点に関して、米国の外交・軍事政策立案者たちが既に、朝鮮半島における米占領軍の維持を念頭に置いた自らの「統一」シナリオを書き終えているということは注意に値する。同様に、米国が思い描いていることは、「外国の投資家」が朝鮮経済に浸透し略奪することのできる枠組みである。

米国の目的は、朝鮮の統一に条件を課すことである。2000年に出版されたネオコンの「アメリカ新世紀プロジェクト」(PNAC)は「統一後のシナリオ」について、米軍(現在28,500名)は増員されねばならず、また米軍のプレゼンスは朝鮮半島北部にまで及ばねばならないと公言している。米国の意図は非常に明確である。

 

おわりに

 

朝鮮に対する米国主導の戦争は、朝鮮民族全体を巻き込むようになるということを理解しておく必要がある。

米国が支援する戦争状態は南北朝鮮双方に向けられている。これは朝鮮に対する核兵器の使用を含む継続的な軍事的脅威によって特徴づけられている。

19459月以来、米軍の支配下に置かれている韓国に対する脅威でもある。現在28,500名の米軍が韓国に駐屯している。しかし前述した米韓作戦統制権(米韓相互防衛条約)下ですべての韓国軍は米国の指揮下に置かれている。

朝鮮半島の地理的条件を考慮すれば、朝鮮に対する核兵器の使用は不可避的に韓国を巻き込む。米国の軍事立案者たちはこのこと知っており、また理解している。

2の太陽政策に関して強調しなければならないことは、米国と韓国は、米国が朝鮮に対し戦争脅威を与える限り、同盟関係を維持することはできないということである。

「本当の同盟」というものは、外国勢力の干渉と侵略に反対し、対話を通じて南北朝鮮を統一しまた統合するものである。

米国は朝鮮民族全体に対し戦争状態にある。このような状況は、停戦協定を廃止し、二者間における「平和協定」の条件を設定する目的で、韓国と朝鮮の間での二者間会談を開催すること求めている。また次に、この合意は米国の軍事的プレゼンスの排除と28,500名の米軍の撤退のための舞台を用意するであろう。

また、二者間の平和交渉に準拠して、韓国軍を米軍の指揮下に置く、米韓作戦統制権に関する合意は破棄されねばならない。すべての韓国軍はしたがって、韓国の指揮下に置かれなければならない。

二者間協議はまた、南北朝鮮間における経済発展と技術的、文化的、教育的協力関係の促進を目的とし、進められなければならない。

戦争の脅威は、作戦統制権下の黒幕である米国を排除し、対話を通して除去されるであろう。従って最優先課題は作戦統制権の破棄であろう。

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