韓国6.13地方選の結果について
かもめ
1)今回の選挙のポイントは文在寅政権(及び与党・共に民主党)が圧勝したこと
文在寅政権後には朴槿恵政権時代の不正腐敗をあぶり出し、残った保守勢力に徹底的にメスを入れ、逮捕、起訴なども相次ぐ「積弊清算」が続いていますが、市民がこれを「政治的報復」ではなく、一昨年、去年に次ぐキャンドル抗争の続きだとみていることです。
さらに、4月27日の南北首脳会談、地方選前日の6月12日の米朝首脳会談などを平和に向けた第一歩ととらえており、支持しているということです。
2)この支持は75%*に至る圧倒的なもので、保守勢力は惨敗したということ。
下記は首長選挙の結果ですが、「共に民主党」14(82.3%)、「自由韓国党」2、無所属1となっており、韓国マスコミでも保守惨敗、完敗などと報道しています。 *(リアルメータ―6月14日調査)

これまで保守が握ってきた釜山市や慶尚南道知事選でも敗退した結果を受けて、自由韓国党のホン・ジュンピョは辞任。彼は「左派勢力に国が乗っ取られる」などの言い方で、慶南道知事時代には学校給食の無償化を覆したり、公共病院をつぶしたりと数々の「話題にのぼった」人物でした。
3)より「左」の勢力も与党との主張の線引きが明確に出来ず四分五裂、惨敗
下記は数値で見た、選挙結果です。(中央選挙管理委員会より)
市道知事
|
当選人数
|
政党別 当選人数
|
共に民主党
|
自由韓国党
|
無所属
|
合計
|
17
|
14
(82.3%)
|
2
(11.7%)
|
1
|
市区郡、首長
|
当選人数
|
政党別 当選人数
|
共に民主党
|
自由韓国党
|
民主平和党
|
無所属
|
合計
|
226
|
151
(66.8%)
|
53
(23.4%)
|
5
(2.2%)
|
17
|
市道議会、議員選挙
|
当選人数
|
政党別 当選人数
|
共に民主党
|
自由韓国党
|
正しい未来党
|
民主平和党
|
正義党
|
無所属
|
合計
|
737
|
605
(82%)
|
113
(15.3%)
|
1
(0.1%)
|
1
|
1
|
16
|
区・市・郡議会、議員選挙
|
当選人数
|
政党別 当選人数
|
共に民主党
|
自由韓国党
|
正しい未来党
|
民主平和党
|
正義党
|
民衆党
|
無所属
|
合計
|
2,541
|
1,400
(55%)
|
876
(34%)
|
19
(0.7%)
|
46
(1.8%)
|
17
(0.6%)
|
11
(0.4%)
|
172
|
広域市道、比例代表選挙
|
当選人数
|
政党別 当選人数
|
共に民主党
|
自由韓国党
|
正しい未来党
|
民主平和党
|
正義党
|
合計
|
87
|
47
|
24
|
4
|
2
|
10
|
基礎議員、比例代表選挙
|
当選人数
|
政党別 当選人数
|
共に民主党
|
自由韓国党
|
正しい未来党
|
民主平和党
|
正義党
|
合計
|
385
|
238
|
133
|
2
|
3
|
9
|
国会議員選挙 (補欠)
|
当選人数
|
政党別 当選人数
|
共に民主党
|
自由韓国党
|
合計
|
12
|
11
(91.7%)
|
1
(8.3%)
|
単純に人数のみで見た政党別当選者数(かもめ集計)
合計人数
(%)
|
政党別 当選人数(%)
|
共に民主党
|
自由韓国党
|
正しい未来党
|
民主平和党
|
正義党
|
民衆党
|
無所属
|
4,005
(100)
|
2,466
(61.6)
|
1,204
(30.1)
|
29
(0.6)
|
57
(1.4)
|
37
(0.9)
|
11
(0.3)
|
206
(5.1)
|
*進歩政党は、これまで強かった蔚山(ウルサン)地域でも与党に敗退。下記は、報道。
インターネットニュース『メディアオヌル』
進歩政党では首長ゼロ、… 正義党の支持率は上昇
進歩政治の本山、蔚山(ウルサン)でも当選なし、… 進歩政党の支持は蔚山(ウルサン)や全羅道で減り、ソウルや済州で増える
2018・06・14
進歩政党が2014年に続き、今年の地方選でも不振だった。進歩4党の広域・基礎団体の首長当選者は0人。ただ、正義党は結党以来、初めて政党得票率が10%を超え、躍進した。
進歩政党出身の政治家が生まれ続けた蔚山(ウルサン)市もみじめな状況だった。進歩4党のうち、広域比例代表を除き、広域・基礎団体議員に当選した候補はわずかだ。蔚山(ウルサン)市は進歩政党出身の首長や議員が2010年に27人、2014年に9人当選したが、2018年にはほとんどを共に民主党に持っていかれた。
進歩政党の蔚山(ウルサン)得票率は13.98%(8万3874票)。2014年の20.75%に比べると7% 程度減っている。一方で共に民主党の得票率は23.76%から47%へと大きく伸ばした。
労働党は2014年に広域議員1人、基礎議員6人で合計7人を当選させたが、2018年には0人。(略)
民衆党は光州・全南・全北で正義党より低かった。統合進歩党の一部党員により創られた民衆党は、光州で5.13%、全南で3.59%、全北で1.25%などだった。基礎議員の当選者は全南、順天市のみだ。[原文のまま]
ホナム地域[全羅道地域]の進歩政党支持率は2014年の地方選より減っている。特に今回は民主平和党が出来て分散した結果だ。2014年の正義党・統合進歩党・緑の党・労働党の4党の政党支持率(広域比例)の合計は、光州19.9%、全北18.29%、全南22.46%だった。2018年には光州13.75%、全北15.19%、全南13.31%となっている。
一方でソウルや済州では進歩政党の全体支持率が小幅ながら上昇している。
ソウル地域の進歩4党支持率(広域比例)は、2014年8.14%から2018年10.98%に上昇。このうち正義党の支持率だけでも9.71%となっている。
済州では2014年12.05%から2018年20.17%に増加。正義党、緑の党の支持増加。正義党の済州得票율は、2014年6.1%から11.85%に上昇。緑の党は2014年1.65%から4.87%となっている。
政党支持率が伸びた地域では首長選挙候補の善戦があった。ソウル市長選挙ではシン・ジエ緑の党候補が1.67%、正義党キム・ジョンミン候補は1.64%だった。正義党が院内政党であることを考えると緑の党の善戦が目につく。特にシン候補は市長選で唯一のフェミニスト候補だとして、若い女性の支持を得た。
(以下略)
原文:
http://www.mediatoday.co.kr/?mod=news&act=articleView&idxno=143149#csidx0548a49cb98ae59a7262ba460a316e9

4)注目された地域(サード配備の慶尚北道、星州、金泉)の結果
前述の通り、慶尚北道、大邱地域は唯一保守が生き残っている地域で、「サード反対」を掲げて選挙を闘うのは大変だったでしょう。
慶尚北道、金泉市長選の結果 (ピンクが当選)
候補者別得票数
|
自由韓国党 金(김응규)
|
無所属 パク・ヒジュ
|
無所属 金(김충섭)
|
計
|
27,098
|
12,405
|
40,775
|
80,278
|
*パク・ヒジュさん:落選
それでも自由韓国党が落選しているのは大きいですね。
慶尚北道、星州郡、議員選挙の結果 (ピンクが当選)
候補者別得票数
|
自由韓国党 김성우
|
自由韓国党 이봉근
|
自由韓国党 노광희
|
無所属 도희재
|
無所属 李在東
|
無所属 김미경
|
無所属 김경호
|
計
|
2,648
|
2,076
|
1,695
|
3,015
|
1,676
|
869
|
2,201
|
14,180
|
*イ・ジェドン(李在東)さん(全国農民会総連盟、星州農民会長):落選
様々な分析があるでしょうが、今日はこれまで~~。