●日本からの応答-3・1朝鮮独立運動100周年にあたっての民衆宣言
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日本からの応答-
3・1朝鮮独立運動100周年にあたっての民衆宣言
2019年3月1日 3・1朝鮮独立運動100周年キャンペーン実行委員会
2019年3月1日、日本からの独立を求め朝鮮全土で人びとが立ち上がった3・1朝鮮独立運動から100周年を迎えました。私たちは、あらためて歴史を直視しながら日本と朝鮮半島やアジアの人びととの平和な関係をいかに築くのかを問い直す新たな契機としたいと思います。
(1)3.1独立運動100年-侵略・植民地支配の歴史とアジアの民族解放運動
昨年は明治元年(1868年)から150年目にあたり、安倍政権は「明治の精神に学び、日本の強みを再認識することは、大変重要」として、日本のアジア侵略と軍国主義の歴史を隠蔽する明治150年美化のキャンペーンを推進してきました。さらに今年は、国家主義的国民統合のための天皇の代替わり儀式も連続的に予定されています。
しかし、明治の日本は、「蝦夷地」支配から台湾出兵と江華島事件、琉球王国の強制併合を皮切りにアジア侵略と植民地支配の道を突き進みました。1894年には本格的対外侵略戦争として日清戦争を発動し、台湾を「割譲」させ、さらに日露戦争を経て1910年「韓国(強制)併合」に至りました。日清・日露戦争は朝鮮と中国東北地方の支配権等をめぐる争いであり、戦場となった朝鮮では農民軍や抗日義兵などの抵抗闘争が闘われました。
日本国内では、自由民権運動を抑圧し、天皇主権の大日本帝国憲法(1889年)を制定し、翌年、教育勅語を下付して国民(臣民)に「忠君愛国」「滅私奉公」を求めました。やがて、これらの延長として中国侵略戦争、アジア太平洋戦争へと突入し、1945年の敗戦へ至ることになります。
その間、第一次世界大戦後の民族自決の流れは日本の植民地支配に対するアジアの人々の民族解放の闘いを促しました。とりわけ1919年の朝鮮3・1独立運動と中国5・4運動は、その規模と広がりにおいてアジアの民族解放運動の画期をなすものでした。私たちは「3・1朝鮮独立運動100年」をこうした歴史的視点に立って見ていく必要があります。
(2)日本の敗戦-朝鮮解放・分断から74年、停戦協定から66年
中国、朝鮮をはじめとするアジアの人びとの長期にわたる民族解放闘争を背景とした、1945年の日本帝国主義の敗戦は、民族解放と脱植民地化のうねりをもたらしました。
しかし、朝鮮では日本からの解放の喜びもつかの間、米ソによる南北分割占領が行われました。それは当時すでに始まっていた米ソ対立の結果であるとともに、日本軍の武装解除などを名目として行われたことに示されているように、日本の朝鮮植民地支配の結果もたらされたものであることを忘れてはなりません。
分割占領された朝鮮では、1948年4月南北連席会議が開かれ多数の政党・社会団体代表が集まり、思想・信条を越えて統一国家樹立のための努力が続けられました。しかし、アメリカ主導の国連による南朝鮮だけの単独選挙強行などを経て、南北朝鮮の分断固定化は決定的なものとなりました。そして1950年には朝鮮戦争が勃発し、膨大な人的物的犠牲を出しながら1953年7月27日に停戦協定が締結されました。しかし、その後66年におよぶも朝鮮戦争の終結はなされず、現在の朝鮮半島の「危機」の根源となっています。
こうした中でも、朝鮮半島の主人公である南北の人々は、6・15南北共同宣言(2000年)、10・4南北首脳宣言(2007年)など平和と統一へのたゆまぬ努力を重ね、昨年の4・27板門店宣言を経て、歴史上初めての米朝首脳会談を実現させるなど朝鮮戦争の終結と平和体制構築、非核化への大きな転機を勝ち取りつつあります。
(3)朝鮮半島の平和と日本の責任
日本は戦後、朝鮮戦争で隣人たちがおびただしい犠牲を強いられているのを尻目に戦争「特需」により経済復興と再軍備をすすめ、またGHQの指令とはいえ掃海艇部隊や強襲揚陸艦要員を参戦させました。1965年には米国の指図に沿って韓国と国交を結びましたが、その時の日韓条約は、日本の朝鮮侵略・植民地支配を「合法」と居直り、朝鮮半島の南北分断に自ら関与して締結されたものです。同時に結ばれた日韓請求権協定の「完全かつ最終的に解決済み」の記述を盾に被害者の賠償請求を拒み続けています。
こうして戦後の日本と朝鮮半島の関係が決定づけられました。いまだ朝鮮民主主義人民共和国との間には国交すらなく、国交を結んだ韓国の被害者からも賠償請求が繰り返し発せられるのはここに起因しています。
とりわけ、安倍政権はこの間の朝鮮半島の平和への動きの「蚊帳(かや)の外」で妨害者として振る舞っています。
「北朝鮮の脅威」などと煽り、圧力と制裁を叫び、朝鮮半島の緊張を持続させようと躍起になってきたばかりか、こんどは韓国大法院が元徴用工の賠償請求を認めるや、請求権協定によっても「個人請求権は存続する」という従来の政府見解や日本の最高裁判決からも逸脱し、「国際法違反」などと声高に主張しています。さらに「高校無償化」から朝鮮学校だけを不当にも排除しています。こうした安倍政権の政策がヘイトスピーチなどを拡散させているのです。
ここで浮き彫りになっているのは、いまだ植民地主義を清算できずにいる日本の姿です。今なお植民地主義を清算せず居直り、改憲・軍事大国化の道をひた走る安倍政治を一刻も早く終わらせることが、これらの状況を打開する一歩であり、3.1独立運動100周年を迎える私たちが今なすべき課題です。
私たちは、今日においてなお「未完の解放」「未完の光復」としてその「完結」をめざす朝鮮半島の人びとの努力に学び、日本が平和国家として進むためにも、歴史を直視し「過去」の清算と植民地主義からの脱却、日朝国交正常化の実現、朝鮮半島の平和と統一に寄与する道を歩んでいきましょう!
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