●2.25屋内集会の詳報(3.1朝鮮独立運動105周年)
尾澤邦子(日韓ネット事務局)
2月25日(日)寒い冬の雨の中、東京都文京区民センター会議室に約160名が参加して、3.1朝鮮独立運動105周年集会が開催されました。集会は「戦争反対!日米韓軍事同盟化を許さない!植民地主義を清算し平和な東アジアを!」というテーマで行われました。
主催者あいさつで加藤正姫さんは「朝鮮半島をめぐる危険な状況は加速している。韓米の合同軍事訓練は、1年に256日も行われた。それに日本も加わってきている」「差別排外主義をあおる状況、危険な状況に敢然と立ち向かい、闘っていかなくては」と話しました。
板垣竜太さん(同志社大学教授)
「いまこそ植民地支配責任を問う」と題して、同志社大学教授の板垣竜太さんが講演を行いました。現代の歴史修正主義(歴史否定論)およびレイシズム(民族・人種差別)と植民地支配責任との関係を考えるという趣旨で、3.1運動にみる問題の絡まり合いから、「植民地支配責任の否定とレイシズム」(3.1運動の否定と帝国意識)、「植民地支配責任の追求とレイシズムの克服」(3.1運動の広がりと民族意識)について話しました。最後に「問題の克服のために」として、反レイシズムの立場から、司法・行政・立法への働きかけが必要であり、人種差別禁止基本法などの整備が不可欠であると話していました。
韓国ゲストの金英丸(キム・ヨンファン)さん
韓国からのゲストとして、民族問題研究所対外協力室長、日韓歴史正義平和行動共同執行委員長のキム・ヨンファンさんが「日米韓軍事同盟化の現状と韓国民衆の闘い」と題して話しました。自己紹介でお母さんのことを話してくれました。1936年に足立区の千寿で生まれ、小学校に通い、45年に韓国に行った。韓国語がわからず学校に行けなかったとのこと。また日本で亡くなったおじいさんの遺骨を探したことなど話しました。植民地時代とのつながりを感じるお話でした。
本題に戻り、3.1「運動」が、植民地支配からの独立と民主共和制の確立を求める3.1「革命」であったこと、不当な暴力の主体である日本帝国主義(朝鮮総督府)に対して主権者としての人民が蜂起したことなど話しました。現在のユン・ソンニョル政府は、ろうそく革命の結果誕生したムン・ジェイン政権のすべての政策を全面否定。検察独裁であり、国会を無視し、マスコミに対する弾圧を行っている。市民は怒っており、岸田政権に負けない低い支持率だと話していました。そして、強制動員被害者の人権と尊厳、東アジアの平和について話しました。
特別アピールとして、サンケン弾圧と闘う尾澤孝司さんのアピールがありました。5月13日に控訴審初公判があること、高裁に対して無罪判決を求める署名に協力してほしいとの訴えがありました。
最後に「2024 3.1朝鮮独立運動105周年宣言」が全体で採択され、続いて鈴木敏夫さんが行動提起。3月1日(金)午後6時から、新宿駅南口で、リレートークを行います。3.1朝鮮独立運動105周年キャンドル集会です。歴史に向き合い、平和を愛する日本市民からの応答として、関東大震災虐殺問題、徴用工問題、日本軍「慰安婦」問題、朝鮮学校差別問題、また沖縄、改憲問題などについて訴えます。お集まりください。
集会の様子は川島進さんがYouTubeにアップしてくれました。
⇒ https://www.youtube.com/watch?v=onjyiYwfhd8
<集 会 次 第> 司会 尾澤邦子
【映像】「植民地支配に抗って-3・1朝鮮独立運動」(制作・旧100周年キャンペーン)
主催者挨拶 加藤正姫(「3.1朝鮮独立運動」日本ネットワーク)
講演 いまこそ植民地支配責任を問う
板垣竜太さん(同志社大学教授)
韓国ゲスト 日米韓軍事同盟化の現状と韓国民衆の闘い
金 英丸さん(キム・ヨンファン=韓日歴史正義平和行動共同執行委員長
民族問題研究所対外協力室長)
特別アピール 尾澤孝司さん(日系進出企業・韓国サンケン労組支援闘争不当弾圧当該)
2024 3・1朝鮮独立運動105周年集会 宣言
行動提起 鈴木敏夫(「3.1朝鮮独立運動」日本ネットワーク)
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以下、集会で採択された「2024 3.1朝鮮独立運動105周年宣言」全文
2024 3.1朝鮮独立運動105周年集会 宣言
― 戦争反対!日米韓軍事同盟化を許さない!
植民地主義を清算し平和な東アジアを! ―
今年の3月1日は、日本からの独立を求め朝鮮全域で人びとが立ち上がった3・1独立運動(1919年)から105周年を迎えます。私たちにとっては歴史を直視しながら日本と朝鮮半島やアジアの人びととの平和な関係をいかに築くのかを問い直す日でもあります。
朝鮮戦争を終結させ平和協定締結を
いま朝鮮半島では、日本からの解放と同時にもたらされた南北分断から79年。南北分断に起因する朝鮮戦争の停戦協定からも70年を超えましたが、いまだ戦争は終結していません。これこそが朝鮮半島「危機」の根源です。
朝鮮戦争を終結させ、停戦協定を平和協定に転換させることで東北アジアの非核・平和に向かうことができます。
しかし昨年8月、米国のキャンプデービットで日米韓首脳会談が開かれて以降、米韓に日本も加わり、米原子力空母や戦略爆撃機まで投入した合同軍事演習が常態化しています。こうした戦争挑発が朝鮮側の対応を含め朝鮮半島の新たな緊張をもたらしているのです。大規模軍事演習をやめ、何よりもこの地に膨大な軍隊を置き、居座り続ける米国に戦争の終結に応じるよう、強く求めていくことが必要です。
歴史の事実すら認めない岸田政権--歴史を直視し大軍拡に反対しよう
昨年は関東大震災の朝鮮人・中国人虐殺から100年の年でもありました。しかし、岸田政権は数々の公文書や証言などがあるにもかかわらず、虐殺の事実すら認めていません。これら歴史の隠蔽や歪曲などの事例は後を絶ちません。
元徴用工への日本企業の賠償責任問題で、韓国政府は韓国財団が肩代わりする「第三者弁済」を持ち出しましたが、日本政府・被告企業はここでも植民地支配責任を何ら取っていません。最近では群馬の森朝鮮人追悼碑の県による破壊も引き起こされています。朝鮮学校への「無償化」差別も相変わらずです。
歴史歪曲と差別・排外主義の横行を決して許してはなりません。
いま岸田政権は、中国・朝鮮の「脅威」を煽りながら「敵基地攻撃能力」保有や大増税を伴う軍事費倍増、日米韓軍事同盟化を加速させ日本を<戦争する国>へ大転換させようとしています。
一方で岸田首相は口を開けば「日朝首脳会談の実現」を唱えていますが、そのためには「拉致の解決なくして国交正常化なし」などという安倍政権以来の方針を取り下げ、国交正常化のための交渉の道に戻るべきなのです。
東アジアの民衆連帯で改憲・大軍拡を止め、平和国家の道めざしましょう。
2024年2月25日
3・1朝鮮独立運動105周年2.25集会 参加者一同