日米韓軍事同盟と米韓合同軍事演習反対!
韓国民衆のキャンドル革命に連帯しよう!

今年の3月1日は、日本の植民地支配からの独立を求め朝鮮半島全土で人びとが立ち上がった3・1独立運動(1919年)から98周年を迎える。私たちにとっては、歴史を直視しながら日本と朝鮮半島やアジアの人びととの平和な関係をいかに築くのかを問い直す日でもある。しかしこの間、平和な関係を築くのとは真逆の事態が日韓の間でも進行してきた。
この間の日本の安保法制強行成立、日米ガイドライン改定、韓国へのTHAAD配備決定、そして日韓軍事情報包括保護協定(GISOMIA)締結などは一体のものであり、日米韓三角軍事同盟は朝鮮半島と東アジアに新たな緊張をもたらすより危険な段階に入った。
3月1日からは「キーリゾルブ」「フォールイーグル」などの米韓合同の大規模な戦争演習も強行され、これに参加する原子力空母カール・ビンソンと海上自衛隊の東シナ海での合同軍事演習も行われている。これに対して朝鮮側も在日米軍基地をターゲットとした弾道ミサイル実験などで対抗している。
他方で、韓国では民衆の朴槿恵退陣を求めるキャンドル革命の波が覆い、新政権樹立を目指す闘いが進展している。

こうした状況を前に、2月25日、東京・文京区民センターで「3・1朝鮮独立運動98周年 日米韓軍事同盟に反対し韓国民衆の闘いに連帯する2・25集会」が約150人の結集で開かれた。最初に主催者あいさつに立った渡辺健樹さん(日韓ネット共同代表)は、「一昨年の安保法制強行成立が日本の戦争国家化を一段階高めるものであったとすれば、日韓GSOMIAの締結は日米韓軍事同盟を一段階高めるものだ。向こうが日米韓軍事同盟なら我々は日米韓民衆の平和のための連帯を強めこれを打ち破ろう」と提起した。
続いて半田滋さん(東京新聞論説兼編集委員)が「GSOMIAと安保法制が引き込む戦争への道」と題して講演に立った。
【半田滋さんの講演】
GSOMIAと安保法制が引き込む戦争への道(レジュメから)

はじめに
日韓は軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を締結し、韓国政府は米軍の高高度ミサイル防衛システム(THAAD)配備を容認しようとしている。日米の間ではガイドラインが改定され、日本政府は安保法制を制定した。これらが導くのは戦争への道である。日韓両国は軍事力にモノ言わせかねないトランプ政権の後押しをしてはならない。
(日米GISOMIA)
1 GSOMIAとは
軍事情報包括保全協定(General
Security of Military Information Agreement、GSOMIA=ジーソミア)
二国間あるいは複数国間で軍事情報を提供し合う際、第三国への情報漏洩を防止するために締結する協定。保全対象は作戦計画、武器技術などあらゆる軍事分野におよび、口頭、文書、写真、録音、手紙、メモ・スケッチなどすべての伝達手法。
・ 日米間の軍事秘密保護対象は「日米相互防衛援助協定」(MDA)に基づく武器技術に限定され、開発した米企業とライセンス生産する日本企業による「民間同士の約束事」と言い換えることができた。これに対し、GSOMIAは日本全体に軍事秘密の保護を義務づけ、漏えいを禁じる包括的な枠組み。
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※ 最大の問題は特定秘密保護法の制定につながったこと
2 国内の動き
・ 1985年6月 自民党が国家秘密保護法(スパイ防止法)案を国会上程(廃案)
・ GSOMIAについて「米国と結ぶことはまったく考えていない」(88年5月17日衆院内閣委・外務省政府委員答弁)
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※ なぜ、日本政府は方向転換したのか
・ ミサイル防衛(MD)などの各分野で自衛隊と米軍が一体化(2003年12月19日安全保障会議・閣議決定)
・ 「共有された秘密情報を保護するために必要な追加的措置をとる」(2005年10の米軍再編中間報告)
3 利用された読売新聞の報道
2003年12月 ミサイル防衛(MD)システム導入を閣議決定
04年5月 久間章生元防衛庁長官が米政府にPAC3のライセンス生産打診
05年3月 日米がPAC3のライセンス生産を認める了解覚書を締結
5月 読売新聞「中国潜水艦 火災か」報道
9月 朝日新聞「陸上自衛隊の防衛警備計画」報道
10月 防衛庁調査課長が二つの記事を警務隊に告発
07年1月 久間氏が米政府にMDなど米軍武器の日本での管理・補修を打診
同月 警務隊が読売記事で一等空佐自宅を家宅捜索
5月 日米2+2でGISOMIA締結合意
8月 日米が軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を締結
08年2月 政府の検討会議が秘密保護法制の検討を指示
3月 警務隊が一等空佐を書類送検
(日韓GSOMIA)
1 日韓以外でも締結
・ 日本は米国、オーストラリア、インドなど6カ国
・ 韓国は米国など33カ国
※ 2012年6月、日韓で締結の予定だったが韓国議会の反対で中止
2 GSOMIAで強化される軍事的連携
・ 今年1月、日米韓の三カ国で北朝鮮のミサイル対処を想定した共同訓練を実施。海上自衛隊「きりしま」、韓国海軍「世宗大王」、米海軍「カーティス・ウィイルパー」
↓↓↓・ ※ 過去2回の日米韓訓練は日米、米韓という二国間の情報交換。これに日韓が加わり、三国間の密接な情報交換へ
・ 海上自衛隊幹部「われわれが期待するのは韓国軍の地上レーダーによる早期の北朝鮮のミサイル探知情報だ。自衛隊にはないヒューミントも期待できる」
・ 韓国軍にとっての利点は、自衛隊の持つさまざまな軍事技術。例・水中聴音システム(SOUSAS)、対潜水艦戦センター(ASWOC)などの情報
(THAAD)
1 韓国配備の意味
・ PAC3の射程の2倍。高性能の迎撃ミサイル。問題は性能は未知数
・ 北朝鮮ばかりか、中国への牽制にも。両国による配備反対
・ そもそもミサイル防衛システムの持つ意味とは
※重要 GISOMIA、THAADが与える国民への安心=戦争容認の選択肢
(トランプ政権と安保法制)
1 米国からのガイドライン実施の要求
① 「イスラム国(IS)」への空爆支援または空爆参加
② 地上軍派遣の際、陸上自衛隊の派遣要請
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※ 後方支援の自衛隊はジュネーブ条約が適用除外(拘束後、他国の刑法で裁かれる)
※ 武器使用により、殺人、傷害致死を起こす(日本の国内法で裁かれる)
2 金正恩委員長の危険な挑戦
・ 安倍訪米中の2月12日、「ムスダン」の改良型を発射
・ 「大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発が締めくくりの段階にある」(1月1日朝鮮中央テレビで金正恩委員長)
・ 「北の核・ミサイル脅威は優先順位が非常に高い」と「very」を二回使って強調。(日米首脳会談後の共同記者会見でトランプ大統領)
3 日本の防衛費は10年連続減少、これを安倍政権が5年連続で増加へ。日米共同声明で「役割、任務、能力の見直し」を表明
・ さらなる防衛費の増加(5兆円超えから6兆円規模へ)
・ THAADの追加購入を検討
・ 合憲との政府見解のある敵基地攻撃能力の保有へ
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※ 1993年の朝鮮半島危機で米国が寧辺の核開発施設の空爆を検討した事実
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※ 重要 安保法制、日米ガイドラインにより、全面的な対米支援が可能に。日本の「存立危機事態」には自衛隊による第二次朝鮮戦争への参戦も
まとめ
日米、日韓のGSOMIA締結、THAAD配備、日米ガイドライン改定、安保法制の制定など、バラバラにみえる数々の要素は戦争ができる体制づくりそのものである。日米韓でたどってきた戦争への道に「待った」をかけなければならない。

第2部では韓国ゲストのキム・ジャンホさんが「韓国のキャンドル革命と平和運動」と題してパワーポイントや動画を織り込みながら報告した。
【韓国ゲストの特別報告(レジュメから)】
韓国のキャンドル革命と平和運動
キム・ジャンホ(韓国インターネットニュース「民プラス」編集局長)
1.スタートから選挙不正
– 政権への不正
朴槿恵は2012年第18代大統領選挙で51.6%の得票により当選した。皮肉にもこの51.6%という数字は、父親の朴正煕が起こした「5.16軍事クーデター」の日付と同じだ。
朴槿恵政権はスタート時から不正にまみれていた。韓国版ウォーターゲート事件と呼ばれる国家情報院による書き込み事件(大統領選挙への世論操作事件)の真相が明らかになったものの、処罰は軽微なものだった。
国家情報院による選挙介入事件の捜査を大統領府と当時法務長官だったファン・ギョアン(黄教安) [現:総理=首相]が露骨に妨害した。ついにチェ・ドンウク検察総長が辞任し、ユン・ソクヨル捜査チーム長は閑職に追いやられた。
ユン捜査チーム長は、今回の特別検事チームでサムスンのイ・ジェヨン (李在鎔)副会長を逮捕させた人物だ。
国民は国情院の介入で政権を盗まれたと考え、政権の初期からキャンドルを持った。

2. セウォル号事件
– これで国だと言えるのか?
2014年4月16日。珍島沖合で旅客船セウォル号が沈没し、安山市の檀園高校の生徒を含む304人が死亡した。生存者172人のうち、半分以上を救助したのは[海洋警察ではなく]、漁船などの民間の船舶だった。
朴槿恵は事故発生から7時間経ってから姿を現し、「救命胴衣を付けているのに、そんなに発見しにくいのですか」などという唐突な質問をした。
未だに緊急を要する7時間もの間、朴槿恵大統領が何をしていたのか疑惑に包まれており、セウォル号の引き揚げはいつになるのか分からない。
国民の多くは政府が子どもたちを助けなかったと疑い始めた。子どもたちを海に沈めてしまい、心を痛めた両親や多くの国民は「これは一体、国家と言えるのか」と叫んだ。
セウォル号事件により国民は政府に対する怒りから、「果たして国とは何なのか」という根本的な問いを投げかけ始めたのだ。
3. 民衆総決起 – 反撃の始まり
2015年11月14日、13万人の労働者、農民、都市貧民、青年学生、そして市民がソウル市庁前広場に集まり、大統領官邸に向けてデモ行進を行なおうとした。このとき、行進を阻止した警察放水車の高圧放水によりペク・ナムギ(白南基、69歳)さんが倒れ[2016年9月25日に死亡]、[ナショナルセンターの民主労総]ハン・サンギュン委員長をはじめ多くの労働者が逮捕された。
労働法の改悪、コメの輸入、増える家計の負債、若者の失業問題など、民衆の膏血を搾り取る朴槿恵政権のせいで、労働者民衆はもはや引き下がることは出来なかった。
2015年の民衆総決起は警察の鎮圧もひどく、一方で民衆の闘いも激烈だった。これは、朴槿恵の暴政に対する抵抗の始まりだった。
4. 総選挙での審判、2016年4月13日 – 支配勢力の内紛の始まり
国会議員選挙で野党が勝利し、与野党逆転の構図が生まれた。政権内部から朴槿恵政権では政権を持ちこたえられないという危機感が高まった。
始まりは大統領府と『朝鮮日報』紙との対立からだった。大手マスコミの『朝鮮日報』紙は朴槿恵政府を攻撃し、大統領府の方も対抗して『朝鮮日報』の主筆を辞任に追い込んだ。

5. サード反対、ソンジュ(星州)の闘い – 内部からの崩壊
2016年7月13日、韓国政府は高高度ミサイル・サードの配備をソンジュ(星州)に決定したと公表した。
ソンジュ(星州)は朴槿恵の強い支持基盤の地域だったが、サード配備発表後には最も強い「反朴槿恵地域」に変わってしまった。朴槿恵政権は[元の支持地域だった]大邱、慶北地域でその支持基盤を失い始めた。
ファン首相がソンジュ(星州)の住民を説得しようと現地での闘いまで赴いたが、かえってそのスローガンを「サードのソンジュ(星州)配備、決死反対!」から「朝鮮半島のどこにもサードは要らない」に変えてしまった。この先頭に立ったのは女子中学生や女子高生たちだった。 ソンジュ(星州)郡民の意識は、光の速度で発展していった。
ソンジュ(星州)のサード反対のキャンドル闘争は、光州抗争を連想させるものだった。郡庁舎の前で毎日開催された「サード反対キャンドル」は、名の通り民主主義の広場であり、歌や踊り、教育と闘いが1つになった直接民主主義、直接政治の典型だった。
韓国政府国防部は、住民の反対が強まるとサード配備の候補地をソンジュ(星州)の小高い丘から、町から外れたロッテの「スカイヒル・ソンジュ(星州)・カントリークラブ」ゴルフ場に変更させ、サード配備を強行しようとしている。その背後には米国がいる。
6. チェ・スンシル国政への不正介入暴露 – キャンドル革命の導火線
2016年10月14日。テレビ局のJTBCは「朴槿恵-チェ・スンシル国政への不正介入」の真相が入っているタブレットを入手、真相を暴露した。朴槿恵大統領の最側近であるチェ・スンシルは軍事機密を含む大統領官邸の文書を見ており、大統領官邸の人事にも介入していたことが白日の下にさらされた。
チェ氏は朴大統領の服装から海外訪問まで何の権限もなしに国政に介入し、チャ・ウンテクなどの側近は文化体育観光省を掌握して利権をむさぼった。
中でもチェ・スンシルの娘、チョン・ユラは梨花女子大に特恵入学を行い、政府がサムスンのイ・ジェヨンの後継を支援する代価として受け取ったサムスンからの数百億ウォンのお金がチェ・スンシル、チョン・ユラに入って行った状況も明らかになっていった。
このようなJTBC報道はキャンドル革命の導火線に火を付けた。

7. 怒りのキャンドル
2017年10月29日、3万のキャンドルで始まったキャンドル革命は、3週間で100万を突破し、2016年の年末には延べ人員1千万を超えるキャンドル革命となった。このキャンドル革命は、怒りのキャンドルだ。
何よりもまず、「猟奇的」とさえ言われる国政への不正介入に対する怒りだ。
チェ・スンシルの国政不正介入の異常さは、国政の最高指導者がチェ・テミン―チェ・スンシル親子につながり、[単なる個人的な関係を超えて]五方嚢[五行の方位に合わせた五色の袋]、催眠術、永生教などという言葉からも分かるように、邪教集団に幻惑されたということから21世紀現代の民主主義主権者に大きな衝撃を与えた。
朴大統領の一挙一動はチェ・スンシルに操られており、公的な主治医に隠れてチェ氏の個人的に親しい医者が大統領官邸をわがもの顔で出入りし、抗精神性医薬品を代理処方し、投薬、施術を行っていた。
次に、「ヘル朝鮮」に対する怒りだ。最近、韓国の国民は自国を「ヘル(Hell=地獄)朝鮮[身分社会があった朝鮮時代と同じ]」と自虐的に称する。
朴槿恵政府は選挙公約で「生涯福祉」を打ち立てたが、実際は国民に「生涯絶望」を与えた。結婚や出産を諦め、恋愛や就職も諦めざるを得ない若者たちの絶望、家賃が払えずに一家心中した事件が見せている社会の格差と貧困、高齢者の貧困率が45%に達している暗鬱な高齢化などだ。
労働法の改悪、農家の破たん、自営業者の崩壊、中小企業の倒産、大企業での大量リストラなど、 各界各層で生きる道が見いだせない。
キャンドルの怒りは朴槿恵政権に対する怒りを越え、分断半世紀にわたる支配勢力、新自由主義を引き込んだ国政統治勢力に対する怒りに発展している。
8. 省察のキャンドル
キャンドル革命は省察のキャンドルだ。
ソンジュ(星州)やキムチョン(金泉)から始まり、揺るがず朴槿恵だけを支持してきた住民が今や「朴槿恵に投票して申し訳なかった」「セヌリ党に投票して悪かった」とキャンドル広場で発言し始めた。保守の支持層でも反省し始め、闘いに立ち上がっている。
この省察は全国民的なものだ。これまで国民は4~5年にわたり投票が終わると、後は自分が食べて生きていくのに精いっぱいで政治に関心がなかった。政治は政府と国会に任せておけばいいと思っていたのだ。でも、国が滅びていくではないか。
国民は自問し始めた。「これまで私たちは何をしてきたのだろうか」「1987年6月民主化抗争の血で勝ち取った民主主義がこんなものだったのか」「もはや国民が直接立ち上がろう」。
今、キャンドル革命に参加する国民は日帝時代の義兵の心意気で国民による直接政治を叫び、キャンドル革命に積極的に参加している。
キャンドルデモの参加者が減るかも知れないと、孫娘を二重三重に厚着させてベビーバギーを押して来たお婆さんからこの省察を見て取れる。こんなキャンドルの灯は決して消えない。
9. 希望のキャンドル
キャンドル革命は希望のキャンドルだ。
朴槿恵―チェ・スンシルゲートが明らかになっても、政治家たちは「秩序ある退陣が必要だ」とか、「国務総理に代行させるのが先だ」とか、「まず改憲すべきだ」などと間の抜けた発言を続けた。しかし、このような発言をした政治家は支持率が急落し、抗議の一斉メールが押し寄せてスマホが熱くなるほどだった。
国民は国会議員の口座に「18ウォン[韓国語で“コン畜生”というような意味を思い起こさせる]」を寄付し、300ウォンかかる領収書を送ってほしいと依頼したり、寄付金を取り消すと言ったりして、大統領派の議員を困らせた。
ついに国会では「大統領弾劾訴追案」が圧倒的多数で可決され、与党セヌリ党の議員でさえ賛成の列に合流した。与野党を問わず国会議員は「弾劾案を可決させなければ、議事堂がキャンドルの灯に燃えてしまう」と悲鳴を上げた。
キャンドル市民は石ころ一つ投げるでもなく、キャンドルだけで勝利し続けてきた。圧倒的な勝利だ。一か月で参加者は延べ1千万人となり、朴槿恵弾劾訴追を引出し、動揺する政治家に国民の意思を強制した。
国民は今や、新たな韓国の建設は可能だという希望のキャンドルを高く掲げている。
10. 集団的知性と直接民主主義―既成政党に代わる
キャンドルの広場はぜい弱な政党政治にとって代わった。進歩政党は弾圧により破壊され、保守野党は分裂して日和見主義の政治集団に過ぎなかった。代議制政治の背信をハッキリと見せつけた。この無力な政党政治に代わり、キャンドルが政治革命を率いている。
特別な指導者が居る訳でもない。キャンドルに押されて支持率が上がった野党の政治家は居るが、キャンドルの指導者はいない。これは不幸でもある。しかし、この代わりに集団的知性がある。
スマホとインターネットで武装したキャンドル市民は、今や下からの未来の民主主義、集団的知性と直接民主主義が結合された新たな直接民主主義を自ら創っている。特別検察と国会聴聞会を後押ししながら、犯罪の証拠を暴くなど、ネチズン[インターネット+シチズンの造語]捜査隊の役割も行っている。
11. 組織隊伍とキャンドル市民の結合
これまで労働者、農民、貧民など組織大衆と未組織のキャンドル市民は、文化的かい離があった。でも、今回のキャンドルでは一つに結ばれた。
鉄道労働者による74日間のストライキ、宅配労働者の労組結成の闘いはキャンドルを率いたり、市民の支持と支援を受けたりもした。
キャンドル闘争で圧倒したのは農民たちの「チョン・ボンジュン[全琫準/1894年甲午農民戦争の指導者]闘争団」だった。ここのカンパは一日3億ウォン集まった。大学生や青少年も立ち上がり始めた。
しかし、まだ組織隊伍とキャンドル市民の結合が組織的に発展しているとは言い難い。依然として文化的かい離がある。組織隊伍は遅く、キャンドル市民はスピーディーだ。これが韓国キャンドル革命に課された宿題だ。
この問題は新たなキャンドル革命のエネルギーを組織できる新たな進歩政党の建設によってのみ解決されるだろう。

12. 段階別に発展するキャンドル革命
キャンドル革命は大きく三段階で発展する。
第1段階(2016年10月29日~2016年末) : 1千万キャンドル、キャンドルの全国化、「朴槿恵即刻退陣」スローガンの合意、国会での弾劾訴追可決。
第2段階(2017年初め~3月の憲法裁判所による審判完了) : 朴槿恵―チェ・スンシル 国政不正介入同調者、与党セヌリ党、財閥、検察・警察、大手マスコミ、特権官僚など、「積弊勢力」清算の闘いと弾劾審判の完了。
第3段階(憲法裁判所の審判~早期大統領選挙の完了) : 弾劾引用と早期大統領選、政権交替
現在は第2段階から第3段階に移行しているところ。朴槿恵政権の時間稼ぎが度を越しており、この隙をねらって、積弊勢力が偽装脱出している。これが限界だ。
13. 進歩的政権交替のために
憲法裁判所の審判は3月初め、大統領選挙日は5月初めと予想される。
憲法裁判所が弾劾訴追案を棄却すれば、キャンドル革命は燎原の火のごとく燃えさかるだろう。そして新たな闘いが起きるだろう。
憲法裁判所が弾劾を引用すれば大統領選挙となり、政権交替の道に入る。
今は本選挙よりも「共に民主党」の候補者選出投票の方に関心が高まっている。この投票には誰でも参加できるので、保守陣営の参加による逆選択も憂慮される。200~300万人にのぼる候補者選出投票への参加者募集も活発になるだろう。
キャンドルの主役である「朴槿恵退陣国民行動」は、単なる政権交替ではなく進歩的な政権交替となるべく努力する。
根本的な腐敗勢力の清算、根本的な民主改革案を提出し、国民的運動により候補者に圧力をかけていく。
14. 進歩政党の建設と自主・平和・統一の道に
進歩陣営は円卓会議を開催し、大衆的な進歩政党の建設論議を始めた。
大統領選挙で進歩陣営が闘いを集中させるのは、サード配備の阻止、非正規雇用の撤廃、財閥改革の闘いだ。
また今年の2月7~8日、中国の瀋陽で開催された「6.15共同宣言実践民族共同委員会、南北海外委員長会議」の合意を実践させるため、「全民族大会」を成功させる運動も本格化させることとなる。
政権交替は、進歩政党の建設、自主・平和・統一へ向かう韓国民衆の闘いに広い道を開けてくれるだろう。
このような韓国民衆の努力は、東北アジアの平和にも寄与することとなる。
この過程で韓日民衆の平和勢力の連帯と協力のために一層努力していく。
集会ではまた、日系進出企業の整理解雇と闘う韓国サンケン労組訪日遠征闘争団から特別アピールが行われ、韓国民衆歌謡「♪連帯闘争歌」をバックに「律動」も披露された。


集会は最後に、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの大仲尊共同代表、「慰安婦」問題について中原道子VAWW RAC共同代表、「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会事務局の森本孝子さんからそれぞれの緊迫した状況と提起を受け、新たな闘いへの決意を固め終了した。


