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カテゴリー「韓国動向」の52件の記事

2023年3月 6日 (月)

●韓国政府の徴用工問題解決法に反対する過去清算共同行動の声明


【声明】歴史に目を閉ざし、被害者を置き去りにしたままでは解決にならない!

             2023年3月6日 強制動員問題解決と過去清算のための共同行動
                                             https://181030.jimdofree.com/

 本日、韓国政府・朴振外交部長官が「強制徴用大法院判決関連解決法」を発表しま
した。
 「解決法」として示したのは、①「日帝強制動員被害者支援財団」(以下、財団)が
2018年大法院判決の原告に判決金・遅延利子を支給する、②後続措置として、被害者の
苦痛を記憶し、継承していくために追慕、教育・調査・研究事業等を推進する、③判決
金・遅延利子支払いの財源は民間の自発的寄与などを通じて用意する、の3点。「今後
の計画」として、被害者・遺族に「解決法」への理解・同意を求めること、財団への財
源用意が確実に進むようにすることなどを打ち出しています。

 これを受けて、日本政府・林芳正外相は記者会見で、韓国政府の「解決法」を「日韓
関係を健全な関係に戻すためのものとして評価」すると言い、「この機会に、日本政府
は、1998年10月に発表された『日韓共同宣言』を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立
場を全体として引き継いでいることを確認」する旨を表明しました。

 被告企業は、この韓国政府の発表について「特にコメントする立場にない」とコメン
トしました。そして、改めて「請求権協定で解決済み」との見解を明らかにしました。

 韓国政府が日本政府に求めた「誠意ある呼応」は何ひとつ反映していません。これで
強制動員問題が解決したとは言えません。

 第1に、被告日本企業は謝罪もしていなければ、賠償支払いの表明もしていません。
被告企業は日本と韓国の裁判で、強制動員し、強制労働を強いた事実、その不法行為責
任を認定されています。にもかかわらず被害者に謝罪の言葉さえなく「コメントする立
場にない」と他人事のように振る舞っています。

 第2に、林外相の「歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」
との言葉は、「韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えた」という19
98年宣言の核心的部分を欠落させています。日本政府は戦時中の朝鮮人強制動員につい
て第一に責任を負うべき立場にあるにもかかわらず「多大の損害と苦痛」を受けた強制
動員被害者に謝罪しなかったのです。

 このように韓国の財団に賠償支払いを肩代わりさせておきながら加害当事者は謝罪も
せず、1円の金も出さない、これで強制動員問題が解決するはずがありません。

 日韓両政府は、今回の「解決法」発表により、日韓関係が改善され、発展していくと
言っています。しかし、強制動員問題等を解決し、植民地主義を清算するプロセスを進
めていかない限り日韓の真の友好は深まらず、関係が発展していくはずがありません。

 今回の「解決法」について、生存被害者原告は受け入れられないとの立場を明らかに
しています。

 私たちは、被害者ととともに、
(1)日本政府・被告企業が強制動員の事実を認めて真摯に謝罪し、その証として償い
のために資金を拠出し、同じことを繰り返さないための措置を具体的に講ずること、

(2)そのために被害者原告及び遺族との協議の場を設けること、

----を求めて運動を続けていきます。

 

2022年3月15日 (火)

●【詳細分析】韓国大統領選と私たち(byかもめ)

        韓国大統領選挙と私たち

                             かもめ

   最近は韓国の開票速報もリアルタイムでYouTube配信されているので、筆者も夜遅くまで見ていたが、なかなか結果が出ず、夜12時にはコンピューターのスイッチを切った。翌朝木曜日の韓国サンケン労組を支援する行動で4時20分に起床しなければならないからだ。結局、大接戦の末、ユン・ソギョル(尹錫悦、61歳)の当確が発表されたのは「遅くとも夜半には」という予想に反し、翌日未明になってからだった。
   韓国の中央選管が発表した尹の最終的な得票数は1,639万票(48.56%)で、1,614万票(47.83%)のイ・ジェミョン(李在明、57歳)との得票差は1%にも満たない0.73%の24万7千票。この得票差は、無効票30万7千票より少なかった。ちなみに無効票には、候補者一本化で途中降板した人の数も含まれている。

 今回の大統領選挙について、まず一般的なことをいくつか。
①候補者:最終的に12人がそれぞれの「政党」から立候補し、無所属はいなかった。10人が男性、2人が女性だった。女性はいずれも進歩系(革新系)の正義党シム・サンジョン(沈相奵)と議席のない進歩党キム・ジェヨン(金在妍)。
 職業別では国会議員1人、商業が1人、その他3人の5人を除く7人が政治家。
②投票率:投票率は全国平均77.1%で、前回の大統領選2017年当時の77.2%よりわずかに少ない。コロナ状況でもあることから、事前投票が史上最多の36.93%となった。ちなみに投票率最高は光州広域市の81.5%(前回82%)、最低は済州道の72.6%(前回72.3%)だった。

1. 尹が勝ったというより、「与党」が負けた
 「あれほど熱かったキャンドルの炎はどこに?」多くの人が怪訝に思うだろう。2016年から2017年にかけて韓国では全国各地でキャンドル集会が開かれ、街頭を埋め尽くした人々は当時の保守、朴槿恵政権を倒した。熱烈な支持と期待で生まれた与党「共に民主党」文在寅政権は2018年4月と9月、相次いで南北首脳会談を開催し、2018年米国トランプ政権の米朝首脳会談も行われて、朝鮮半島や東アジアの平和も希望に満ちたものになった。格差を解消するため労働尊重社会を高らかに掲げ、公共部門における非正規の正規化、最低賃金の1万ウォンへの引き上げ、若者や女性の雇用創出など胸弾むスローガンが並んだ。
 期待が大きいほど落胆は大きい。落胆は失望となり、怒りを生む。
 「文在寅メーター」というのをご存じだろうか。これは韓国市民団体の参与連帯や情報公開センター、環境運動連合、毎日労働ニュース、言論改革市民連帯、貧困社会研究所、正義記憶連帯など28団体(3周年)が連帯して運営し、政権の公約をチェックするプロジェクトだ。ここでは文在寅政権が公約とした887の政策について、毎年その公約推進度をチェックしている。モデルは米国の「ポリティ・ファクトのトランプ・メーター」で①評価されない、②遅滞、③進行中、④変更、⑤完了、公約破棄などに分けてチェックするものだ。ここで2021年5月に発表された資料によると、「政権4年の公約完了は17%に過ぎない」ことが明らかになった。一方で遅滞が約20%、進行中が50%、破棄は2.82%だった。2020年の3年目評価では、公約完了は経済分野25%、地方分権・農漁村17%、統一・国防16%、労働13%だった反面、教育5%、ジェンダー平等5.7%、民生福祉6.5%などは平均にも満たないとしている。
   歴代政権の公約履行率でみると、2021年3月発表の市民団体「経済正義実践市民連合」は廬武鉉43%、李明博39.5%、朴槿恵42%とは比べ物にならないほどだと手厳しい。
 このようなもとで庶民の暮らしと直結する雇用、住居、少子高齢化問題は深刻だ。最低賃金1万ウォンの公約は守られず、非正規雇用で格差が拡がる中、コロナの追い打ちもあって雇用は大変な状況だ。不動産価格は政権発足4年で2倍に跳ね上がり、2020年出生率は「5年連続低下の1.34だと嘆く日本」よりもさらに低い0.84となった。
   開票結果が出た3月10日の朝7時25分、民主労総副委員長のキム・ウニョンさん(韓国サンケン労組)はサンケン電気本社前のオンライン発言で、「公約を守らない大統領は誰であれ、労働者、民衆の審判を受ける」と語った。

2. 結集した保守派、分散したリベラル勢力
   キャンドル直後の保守派は責任のなすり合いと内部分裂に明け暮れた。反共よりも「滅共」を叫び、朴正熙軍事政権をよりどころにして朴槿恵復権を望む勢力、いわゆる守旧派は結集軸を失っていた。すでに多くの人たちが「古臭い韓国保守」を嫌い、ゆすり・たかりまがいの政治風土に嫌気がさしていた。韓国の社会全体が「国の成り立ち」を掘り下げ、不正や腐敗を一層しようとする雰囲気で、文在寅政権は「積弊清算」を叫んでいた。このままでいくと「根絶やしにされる」という保守派の危機感は並々ならぬものだったろう。保守の一部若者に人気が「あった」韓国のビル・ゲイツとも呼ばれたアン・チョルス(安哲秀)も影が薄く、保守勢力は大統領候補になる人物探しをも含めて「新たな保守の道」を模索していた。そこで白羽の矢が立ったのが尹錫悦だった。
   検事総長の尹は朴槿恵を追い落とす直接的原因となった「崔順実ゲート」の特別捜査チーム長で、当時キャンドル市民から熱烈な支持を受けヒーローとなった人物だ。2019年に文在寅政権によって検事総長になったが、チョ・グク(曺国)前法相の起訴をきっかけに政権と対立し、2020年には法務省が尹の史上初の職務停止を命じ、裁判になったことから文政権との軋轢は後戻りできなくなった。尹は裁判所で言い分を認められて復帰し、2021年3月に検察を辞任、大統領選挙への出馬公開はその6月で、当時野党の「国民の力」に入党したのは2021年7月30日だった。
   1999年からずっと検察官だった尹は政治の経験はゼロで、候補者になった後も失言や暴言を繰り返し、テレビ討論では李に差をつけられもしたが、検事総長就任時の挨拶で「自由民主主義と市場経済秩序の本質を守らなければならない。自由市場経済と自由な企業活動が人類の繁栄と幸福を増進してきた」と、その信条を明らかにしている。最終的にアン・チョルスが巷の言説通りチョルス(哲秀=撤収)し、保守一本化が成功、保守勝利への道が開かれた。

3.社会的排外主義をあおり集票へ
   「嫌悪が勝った」と見出しをつけたのは『オーマイニュース』だ。尹は大統領選の中で労働組合を「略奪勢力」、市民団体は「権力を支える腐敗集団」だと決めつけ、移住労働者が「横取りしている」として外国人健康保険制度の要件強化を打ち出した。
中でも尹が標的にしたのは女性だった。民主化運動でも先頭に立って道を切り拓いてきた韓国女性運動の成果でもある「女性家族省」を廃止し、性犯罪が歪められているとして「性犯罪誣告罪」強化を打ち出した。
   女性の社会的進出と活躍、#Mee Too運動で象徴される女性たちによる運動、日本軍「慰安婦」問題と真正面から向き合ってきた正義連をはじめとする女性たちの闘い、これらを否定して、男性中心のインターネットサイトで支持を集めた。特に20代、10代の男性有権者は兵役問題もあって「男は不利」だとの考えもあって、雇用や結婚などで不安を抱える若者の「気分」を巧みにすくいとっていった。
   この大統領選では「イデナム(20代の男性)」や「イデニョ(20代女性)」という新語が生まれるほどホットな話題となった。選挙終盤では危機感をもった女性たちが李在明への投票に駆け込んだ。(表は3月9日、テレビ局3社による出口調査、オーマイニュースから作成。)

*表の上から順に20代以下男性、20代以下女性、30代男性、30代女性、40代男性、

          40代女性、50代男性、50代女性、60代男性、60代女性

   李在明                   尹錫悦

1-2_20220316091701

 

4.リベラル・進歩の一本化は無理だったのか
 僅差0.73%をどう見るか。先に述べたように、12人の大統領候補は各政党から出馬したので、12の政党が候補者を出したことになる。中央選管の内訳をみると、保守系8政党、革新・進歩系が4政党だ。
   筆者が中央選管の内訳から作表し、集計した数は下記の通りだ(無効票0.05%)。本来、大統領選は個人名で選挙戦が行われるが、あえて政党別にまとめたものだ。

2-2_20220316091701

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   これを見て分かるように革新・進歩系が保守系をわずかではあるが上回っている。その差0.81%。韓国は真っ二つに断絶されていることが分かる。
   韓国内でも「正義党が譲れば47.83+2.37=50.2%となるので保守に勝てはずだ、なぜ一本化しなかったのか」と正義党に非難の書き込みも相次いだ。でも、ことはそれほど単純ではない。
   先の1で述べたように、「落胆から失望、失望から怒り」に変わったように、格差が拡がり、コロナで困窮する人々は、よりマシな政治を求めて政権交代に票を投じた。また、民主労総をはじめとする社会変革を闘う勢力も文在寅政権を見限り、背を向けた。決定的になったのは2021年9月の韓国最大のナショナルセンター、民主労総のヤン委員長を逮捕したことだった。就業前の明け方6時過ぎに警察官4,000人で事務所を取り囲み逮捕したのは怒りの炎に油をさしたようなものだった。サッカー場や野球場での観客が入っているのに、コロナ規制を口実とした集会禁止と逮捕は「弾圧」としかとらえられなかった。
   今年2022年1月11日、光州市の高層アパートマンション建設で34階から23階までの現場が崩落し、労働者8人が行方不明になるというショッキングなニュースは、日本でもテレビで放映された。全国建設労組によると、大統領選が始まった3月だけでも既に13人が労災で亡くなり、うち9人は建設現場の作業員だったとのことだ。労働界では労災の根絶を求めて法の強化を要求しているところだが、このような状況を差し置いて単純で形式的な「一本化」はあり得るだろうか。

5.断絶、分裂が続く韓国社会

今回の主な候補者3人の地域別得票率は下記の通り(黄:最多、緑:最少)。

4-2_20220316091801

 

 上記の表で分かるように、地域別の偏差は現在もなお続いている。尹は一本化した安哲秀を「政権引継ぎ委員会」の委員長に指名し、次期政権に向けて動き出した。
 真っ先に行うとしているのが「官民合同委員会」の設置と大統領府の「改革」だ。要は公務員だけでなく、財閥など民間人の意見も積極的に取り入れて、国政運営に当たるとしている。尹は選挙戦の最中、企業家との懇談会で「(労災などを取り締まる)重大災害法で海外資本の韓国投資が困難になる、労災ばかりに気を取られていては経営者の意欲をそぐものになるので、施行令などで合理的に運営する」と述べている。このような姿勢は大きな反発を生むだろう。
 さらに外交安保分野においても「官民合同委員会」には外国人の登用もあるとしており、文在寅政権での南北共同宣言などが無効化されるとすれば、大きな抵抗もあるだろう。サードミサイル追加配備を述べている尹が実行すれば、中国からのしっぺ返しも予想されるし、現在の世界情勢のもとで尹の言っている「敵基地への先制攻撃」などは、もってのほかだ。日本の岸田政権もしかりだ。
 3月末には韓米合同軍事演習も予定されているという。この演習には嘉手納から、岩国から米軍の戦闘機が飛び立ち、韓国で「戦争の訓練」を行う。韓国のメディアによると、昨年11月から12月にかけて駐韓米軍の特殊戦司令部が「ネイビー室」を運営し、朝鮮半島の酷寒期訓練を行い、これを公開したと報じている。この「ネイビー室」はオサマ・ビンラディンの「斬首作戦」を行った部隊だ。米韓の特殊部隊は、朝鮮半島北部の奥に入り込む戦争訓練を繰り返しているのだ。私たちは東アジアにおける日米韓のきな臭い戦争協力に反対し、地域の平和に向けて尽力しなければならない。
 私たちは今後も韓国の労働者、民衆の側に立って、しっかり状況を見つめ、日韓民衆の連帯を強めていきたい。(2022年3月15日記)
 

 

2022年3月13日 (日)

●【ミニ解説】韓国大統領選結果を見る一視角、私たちの教訓

                                        渡辺健樹

先の韓国大統領選は、周知のように「対北先制攻撃」「在韓米軍のTHAADミサイル追加配備」「韓米日同盟優先」などを唱える保守野党の尹錫悦(ユン・ソギョル)が接戦を制して当選しました。与党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)との得票率は、尹錫悦48.56%、李在明47.83%でその差はわずかに0.73%でした。

日本のマスメディアでは殆どこの二人しか取り上げられていませんが、進歩系の諸政党からの大統領候補も奮戦していました。そのなかで前回総選挙(2020年)で6議席を獲得していた正義党・沈相ジョン(シム・サンジョン)は2.37%を獲得しています(議席のある政党のため候補者のTV討論にも参加)。

仮に李・沈両候補が一本化していれば、李の47.83%+沈の2.37%で単純合算はできないものの李の勝利の可能性もあったと言えます。

ただ、これも結果として僅差勝負になったがゆえに言えることで、保守野党はもとより失政続きの共に民主党に対しても批判的な正義党や進歩党(前回総選挙で2議席を失い0議席となった民衆党が改称した)などの少数派の進歩政党が、当初から独自の旗印で独自の闘いを進める方針をとったこと自体は非難されるべきではないでしょう。歴史性や国情の違いもありますし。

とはいえ、この点からも、あらためて日本では自公に対抗する野党共闘・一本化が必要との教訓が導き出せそうです。

 *近々、かもめさんによる韓国大統領選の本格分析も掲載予定です。乞うご期待!


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韓国聯合ニュースより

 

2021年6月19日 (土)

●朝鮮戦争終戦宣言へ総力を!韓国国会議員180名、250余の社会市民団体が共同声明

韓国の国会議員180人と韓国内外の250余の社会市民団体は、6月17日、「南北共同宣言国会批准同意と終戦宣言・平和協定締結を促す共同声明」を発表した。下記は国会前で行われた記者会見で発表された声明全文である(訳責・日韓ネット)

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南北共同宣言、国会批准同意と終戦宣言と平和協定を促す記者会見文
~南北共同宣言、国会批准同意と終戦宣言と平和協定の締結に恒久的な朝鮮半島の平和体制構築しよう!~

 私たちは、70年以上の分断国家という民族の悲劇は、もはや持続しては決してならないという切なる熱望でこの場に立った。

 去る5月21日、ムン・ジェイン大統領とバイデン大統領は韓米首脳会談で、「2018年4.27(南北)板門店宣言と6.12(米朝)シンガポール共同声明などの既存の南北間、朝米間の約束に基づく外交と対話が朝鮮半島の完全な非核化と恒久的な平和定着を成し遂げるのに必須であるという共通の信念を再確認」する共同声明を発表した。
 韓米首脳が重要性を再確認した4.27板門店宣言の核心は、民族自主の原則で、既に採択された南北宣言とすべての合意を徹底的に履行することにより、関係改善と発展の転換的局面を開いていくことだ。これにより、朝鮮半島の非核化と南北関係の改善、終戦宣言、一切の敵対行為中断、平和協定の切り替えのための南北米の3者会談や南北米中の4者会談の開催を推進するというものである。

 ところが2019年2月のハノイ朝米サミット決裂以降、南北関係は極度に収縮され、2020年6月16日、ついに北朝鮮が南北共同連絡事務所の建物を爆破する事態まで至った。そして、今までまだ南北対話の窓口は固く閉じている。南北首脳の合意事項が履行されていれば、南北関係が今のように、デッドロックに陥ることはなかっただろう。
 国家首脳間の合意は国家間条約に準じ、南北首脳間の合意も実践に移行する必要があるのは当然だ。もし、合意事項が履行されなければ国家間の信頼が崩れて葛藤に飛び火する。

 国民の歓呼と期待にもかかわらず、国際社会の対北朝鮮制裁と20代国会の「韓半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言批准同意案」廃棄は4.27板門店宣言の実践と執行力を低下させる一助となった。

 南と北は1953年7月27日の停戦協定締結以来、合計6回の重大な南北合意と共同宣言をした。自主・平和・民族大団結を介して、祖国統一の原則を明らかにした7.4南北共同声明(*1972年)、南北間の和解・交流・協力・相互不可侵を明らかにした南北基本合意書(*1991年)、統一問題を自主的に解決しようとした6.15共同宣言(*2000年、金大中・金正日)、南北関係の発展と平和繁栄のための10.4宣言(*2007年、盧武鉉・金正日)、朝鮮半島の平和、繁栄、統一のための4.27板門店宣言(*2018年、文在寅・金正恩)、朝鮮半島の恒久的な平和地帯を作るための9.19平壌共同宣言(*同前)などはすべて、南北が自主的で平和的に交流し、協力して私たちの民族が大団結して、従来宣言を通じて平和体制を構築していこうというものである。 【(*)内は訳注】

 さて、南北共同宣言と合意の徹底履行と終戦宣言と平和協定締結により、恒久的な平和体制の構築のために「南北共同宣言国会批准同意」が必要である。これは政治的な理念や所属政党を超え、民族の命運がかかっている重大な懸案である。

 6.15南北共同宣言21周年を迎え、私たち180人の国会議員と250国内外の平和・統一市民社会団体は一斉に次のように促して決意する。

一、政府が国会に南北共同宣言、国会批准同意案を早急に提出し、南北共同宣言の実現のために総力を傾けることを要求する。

一、政府が70年以上続いてきた朝鮮戦争の終結のために終戦宣言と平和協定締結のために総力を傾けることを要求する。

一、今日一緒にした180人の国会議員は、政府が南北共同宣言批准同意案を提出するとすぐに、国会の手続きを踏むことを決意する。

一、国内外の市民社会団体は、南北共同宣言、国会批准同意と終戦宣言と平和協定締結を全面的に支持し、そのための活動を積極的に展開するものである。

              2021年6月17日
            第21代国会議員180人と、国内外の250余の市民社会団体一同

 

2021年5月29日 (土)

●【韓国サンケン問題】不当弾圧に民主労総も抗議声明、韓国国会議員41名は嘆願書提出

韓国サンケン労組を支援する会の仲間の不当逮捕・家宅捜査に韓国のナショナルセンタ
ーである全国民主労働組合総連盟(民主労総)も抗議声明を5月28日に発表(下記全文)

また同日、韓国与党「共に民主党」の国会議員41名も、駐韓日本大使館を通じて埼玉地方検察庁と外務省・厚労省、サンケン電気株式会社宛に「韓国サンケン廃業中断のために韓国と日本の市民連帯を率いてきたA氏の釈放を要求する大韓民国国会議員の嘆願書」を提出した(下記全文)。

【民主労総の声明全文】
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<声明>日本サンケン電気の不法偽装廃業に[反対して闘う労働者に]連帯する 市民
活動家の連行... 韓国の労働者と日本民衆の連帯を断ち切ることを目的とした日本警
察の挙動に怒りを禁じえず、逮捕された活動家を直ちに釈放せよ
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 1970年に馬山輸出自由貿易地域に進出し、あらゆる支援と特恵を受けて利益を吸い上
げた日本サンケン電気の韓国子会社、韓国サンケン。韓国サンケンに民主的労働組合
が登場し自分たちの無限の収奪にブレーキがかかるや否や[サンケン電気は]リストラ
や民主労総組合員の全員解雇、ついに不法な偽装廃業まで行っている。

 このようなサンケンと韓国サンケンの会社側による不義な行為に抵抗する労働者の闘
いは、日本の遠征闘争をはじめ本当にやれることは何でもやっていて、現在も日本大
使館や領事館前で闘いが続いている。

 韓国労働者の闘いを伝え聞いた日本の志ある市民が自発的に韓国サンケン労働者と連
帯するための会を立ち上げ、日本国内で様々な連帯活動を行い一定部分の成果を上げ
てきた。このような状況のもとで5月10日、サンケン電気本社所在の埼玉県で行われ
た日本警察による市民活動家の連行はその意図が明白である。

 昨年9月から抗議行動が行われ続いていて、これまで一度も行動への制止や制裁がな
かったのに連行し逮捕することにも全く理解できないが、さらに拘留期間が延長され
ているのには怒りを禁じえず厳重に抗議する。

 労働者の国境を超えた連帯闘争。グローバルに行われる資本の収奪に抵抗し勝利する
道は、国境を超えた連帯と闘いの組織に他ならない。日本の資本が国境を超え韓国労
働者への搾取、収奪に真っ向から闘う力はここにあった。同じように韓国の資本が他
国に出かけて韓国で行えない不当な問題に抗して闘う労働者と共に[私たちが]連帯し
て闘う理由でもある。

 逮捕された「韓国サンケン労組を支援する会」の活動家は直ちに釈放されるべきだ。
日本政府と警察は、サンケン電気の不義な行為を判断し処罰ができない、処罰しない
としても、市民の自発的な連帯行動に対する妨害や弾圧を行うべきではない。助けら
れなくても邪魔建てをするようなことはあってはならない。

 さらに、大韓民国政府にも要求する。最近問題となっている投機ファンド資本MBKな
ど、韓国に進出してうまい汁だけを吸い上げて撤収する「食い逃げ資本」に対し、実
質的に規制する法と制度が整備されるべきだ。一体いつまでこの地の労働者の血と汗
を吸う外国資本の食い逃げを許すつもりなのか。これは主権の問題でもあり、国家の
自尊心の問題でもある。速やかな勇断と実行を行え。

                              2021年 5月 28日
                              全国民主労働組合総連盟

 

【韓国国会議員の嘆願書】
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    韓国サンケン廃業撤回のため日韓市民連帯を率いてきた
    Aさんの釈放を求める大韓民国国会議員嘆願書
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吉田誠治 さいたま地方検察庁 御中

 私たちは大韓民国国会議員です。

 私たちは、5月10日(月)にさいたま県警により「韓国サンケン労組を支援する会」の事務局長A氏が逮捕され、現在まで17日間拘禁状態にあるとの知らせを受けました。

 先だって1月には、大韓民国国会議員13名が貴政府とサンケン電気宛に「韓国サンケン廃業撤回と韓国人労働者保護のための共同書簡」を送っています。

 そして今回、韓国サンケン労働者と連帯してきたAさんが逮捕されたとの知らせに憂慮を表し、一日も早い釈放を望み嘆願書を送付することになりました。

 Aさんはこれまで、日韓の悲痛な歴史を胸に抱え、両国の民主主義と平和のため長い間努力してきた方です。日韓労働者の連帯を軸に、労働者の人権のためにも努力してきた方と存じています。

 そのような努力の過程で、貴国サンケン電気株式会社が韓国に設立した韓国サンケンが労働者を解雇・廃業するのを目の当たりにし、労働者を保護し日本企業の共生経営文化を確立するためにも尽力されてきました。

 韓国サンケンは、貴国のサンケン電気株式会社が100%投資し、1973年に大韓民国馬山(マサン)輸出自由地域に設立された後、韓国政府の「外国人企業投資促進法」による支援で経済活動を行い、47年間地域経済活性化と雇用創出に寄与されてきました。

 しかし一方で、サンケン電気株式会社は1996年から韓国サンケン所属韓国人労働者を街頭に押しやってきました。韓国サンケン労働者は大韓民国の「労働組合および労働関係調整法」に基づいて正当に労働組合を結成しましたが、その後サンケン電気株式会社は韓国生産拠点撤収を推進し、2007年から2012年まで、3回にわたり事業部を撤収し7回にわたり構造調整を強行しました。また、2016年には組合員34名を全員整理解雇しようとし、日韓労働団体と市民から抗議を受けています。

 そして結局、昨年7月9日にサンケン電気は韓国サンケン廃業を決定し、2021年1月20日に日本本社のホームページへ「COVID-19」による経営悪化を理由に廃業を公示しました。

 これは「廃業6ヶ月前にこれを組合に通告しなければならず、具体的な状況に対しては組合と協議後に決定しなければならない」という団体協約違反行為です。また、「今後深刻な雇用問題が発生する場合、事前に協議する」という2017年の復職協議にも全面的に違反するものです。

 「COVID-19」という全世界的な困難の中、47年間韓国政府から各種恩恵を受けてきたサンケン電気株式会社が共生の道を捨て去る一連の行為に対し、Aさんは日本国民としての良心を守り、韓国の労働者を支援してきました。Aさんは、日本企業の共生経営文化の強化と韓国労働者保護のため、2016年から労働者と市民連帯体系を構成することに奔走し、最近ではサンケン電気株式会社の韓国サンケン廃業通告に立ち向かい、毎週平和的な集会を開催してきました。

 Aさんのこのような行動は、日本企業と韓国労働者の共生、ひいては韓国と日本の未来志向的な関係を維持しようとする市民の正当な正義の行動として高く評価されるべきであり、私たち国会議員は感謝の気持ちを感じてきました。

 私たちは日本政府と司法部が市民の正義の声に耳を傾けてくださることを期待します。Aさんの活動が尊い平和人権運動であるという点を忘れないでいただきたいと思います。

 繰り返し訴えます。Aさんが家族のもとに戻ることができるよう賢明な判断をお願いします。

 人道主義に立脚し、Aさんを釈放していただくようお願いします。

2021年5月28日
大韓民国国会議員  共に民主党

高旼廷 權仁淑 金相姫 金勝源 金周暎 金振杓 金會在 朴釘 宋甲錫 宋玉珠 安浩永 梁基大 梁李媛暎 禹相虎 魏聖坤 兪訂炷 尹美香 尹永徳 尹永燦 尹才鉀 尹準炳 李圭閔 李東洲 李成萬 李秀眞 李壽珍 李龍彬 李龍雨 李海植 林昊宣 張耿態 鄭正淳 鄭凊来 鄭必模 曺五燮 陳聲準 崔鍾允 崔惠英 許榮 許琮植 洪貞敏 (以上41人)

 【訳注】原文では個人名が明記されていますが公表にあたってはA氏とさせていただきました。

 

2021年5月28日 (金)

●韓国全国金属労組・韓国サンケン労組が日本大使館前で記者会見、抗議書簡提出(5.27ソウル)

日本の支援する会の仲間の不当逮捕と家宅捜査などに抗議し、サンケン電気本社に対して毎週行われている「木曜行動」に合わせ、5月27日、韓国サンケン労組と所属する全国金属労働組合がソウルの日本大使館前で記者会見と抗議書簡の提出行動を行いました。

【全国金属労働組合 プレスリリース】  20210527

連帯をさえぎるな
逮捕者を釈放せよ

韓国サンケンの労働者を支援している日本の市民に現地の警察が連行
韓日民衆の連帯の絆を断ち切ろうとする意図、3週間も釈放せずに家宅捜索まで拡大
金属労組は24日、逮捕者の釈放と市民の自由な活動を保障しろという要求を発表
27日には日本大使館前で記者会見を開催し、抗議書簡を伝達

■タイトル:韓国サンケン労組を支援する市民逮捕を糾弾し、サンケン電気直接交渉を要求する記者会見
■ 日時: 2021年 5月 27日(木) 11時
■ 場所: 駐韓日本大使館前 (ソウル市鍾路区栗谷路6、ツインツリータワーA棟)
■ 主催/主管: 全国金属労働組合
■ 順序: (司会:金属労組組織局長イ・チャンジュ)
- 開会 : 金属労組チョン・ジュギョ副委員長
- 経過報告と糾弾 : 金属労組慶南支部、韓国サンケン支会オ・ヘジン支会長
- 闘争の挨拶 : 民主労総ヤン・ドンギュ副委員長
- 抗議文朗読 : 金属労組慶南支部、韓国サンケン支会組合員
■ 問合せ先: 金属労組慶南支部、韓国サンケン支会オ・ヘジン支会長 010-8516-2723
※ 本記者会見は当局の防疫指針を遵守します。

○ 昌原の韓国サンケン労働者は親会社日本のサンケン電気による廃業と撤退で、職場と生活のすべてを奪われてしまいました。金属労組韓国サンケン支会は偽装廃業を許さず工場を取り戻すために、日本の親会社であるサンケン電気との直接交渉を要求し、今年の1月20日から昌原とソウルと往復しながら闘いを続けています。コロナにより日本本社を相手に闘う道が塞がれてしまいました。幸いにも良心的な日本の市民が自国の企業であるサンケン電気が隣国で行っている不道徳なやり方に怒り、労働者と交渉せよという韓国労組の声を代わりに伝える役割を買って出てくれました。韓国サンケン労働者はこの自発的な連帯により、空路が絶たれた状況を克服することができました。

○ 5月10日、日本の警察はサンケン電気本社前で抗議行動をしていた連帯グループ所属の市民1名を、暴力を行使したとして連行しました。警察は拘留期間を延長し続けて3週になるのに釈放していません。さらに市民の自宅を家宅捜索し、事件を拡大しようとしています。私たち金属労組は24日声明を通じ、「日本の警察が韓国サンケンの労働者と連帯する市民を連行し団体の活動を弾圧するのは、韓日の民衆連帯を遮断しようとする目的」だとして、「見せしめにして日本の良心的な市民を締め付け市民運動を委縮させようとする公安弾圧」だと規定しました。そして27日には、駐韓日本大使館前で韓日の民衆連帯を断ち切ろうとするサンケン資本、日本政府の行動を批判し、逮捕者の速やかな釈放と連帯グループの自由な活動保障を要求する記者会見を行い、抗議書簡を大使館に伝達します。日本資本の食い逃げを許さず職場を取り戻そうとする韓国サンケン労働者の闘いは、どのような妨害も気にせずに今後も続けられることでしょう。

 

<日本大使館へ伝達する抗議書簡>
日本の韓国サンケン労組を支援する会に対する日本政府の弾圧中断と釈放を要求する書簡

宛先 : 駐韓日本国大使館、相星孝一大使
発信 : 大韓民国、全国金属労働組合

   日本のサンケン電気株式会社は100%子会社である韓国サンケンに対し、コロナ19による経営悪化を理由として、昨年7月9日一方的に廃業を決定し、労働者に2021年1月20日付で廃業と解雇を通知しました。

   サンケン電気は韓国サンケンで労働組合が結成された後にも労組を認めず、2007年から3度にわたる事業部の閉鎖、7回のリストラを行って労働組合を弾圧し、ついに2016年には当時34人の組合員全員を整理解雇させ、韓国と日本の労働組合や市民団体の叱咤と糾弾を受けました。

   2017年には解雇者の復職に合意しつつ「今後深刻な雇用問題が発生する際には事前に合意して行う」とし、労働協約にも「廃業6か月前にこれを組合に知らせ、具体的状況については労働組合と合意して決定しなければならない」とする合意事項があるにもかかわらず、サンケン電気はこれら労使の合意事項を反故にして、労働者たちを再び路頭に迷わせることを行っています。

   韓国サンケンの廃業理由は累積赤字だとしていますが、2017年に解雇された組合員が復職した以降、サンケン電気は韓国サンケンに対し新規アイテムの配置や設備投資を故意に行わず放置し続け意図的な不良経営を続けたばかりか、韓国内で別会社を買収し事業の拡大を狙っています。このようにサンケン電気が意図的に不良経営を行って韓国サンケンは偽装廃業させておいて、韓国内で別会社を作って韓国でさらに大きな利益を得ようとしていることについて、韓国の労働者は怒りを禁じえません。

   韓国の労働者はサンケン資本に直接会って話合いを行うことを希望していますが、世界中にコロナが拡がった状況で現在は日本へ渡航することができません。このような中で昨年8月から日本にある市民団体などで「韓国サンケン労組を支援する会」を結成し、サンケン電気本社の正門前などで韓国サンケンの不当な廃業と労働者の解雇を糾弾する平和的な行動を行っています。

   しかし、日本警察は平和的な行動を行いサンケン電気資本に面談を要請していた市民団体の一人を強制的に連行し逮捕し、家宅捜索を行うなど、民主主義の国家では常識的に許せないことを行っています。集会や示威行為の自由は、先進的な民主国家では当然保障されなければなりません。企業倫理も労使合意もかなぐり捨てたサンケン電気を庇護する日本警察の行為は民主的でもなく、正当な行為ともいえません。

   日本の企業が韓国で行った労働弾圧と不当解雇に対し、日本と韓国の労働者が連帯するのは拍手されてしかるべきことであり、弾圧を受けるようなことではありません。ここに私たち金属労組19万組合員は、日本警察が逮捕した連帯市民の釈放と、市民団体の自由な活動を保障することを日本政府に要求し、民主国家としての姿をみせることを求めます。

2021年5月27日
全国金属労働組合、委員長キム・ホギュ

 

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韓国サンケン労組オ・へジン支会長がアピール ↑

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左プラカードには「サンケン電気和田社長は直接交渉しろ!」↑

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2020年4月19日 (日)

●●日韓ネットの韓国総選挙詳細分析(日韓ネット・かもめ)

韓国総選挙で示されたキャンドルの民意

                          日韓ネット・かもめ

与党の圧勝
 2020年4月15日、韓国の国会議員選挙が実施され、与党、共に民主党の圧勝となった。
 地方区と比例代表の合計300議席のうち、共に民主党が地方区と比例連携政党、共に市民党まで合わせると180(改選前123)を占め、単独過半数を獲得した。一方、保守系野党の未来統合党は103で、122議席あったセヌリ党時代から比べると大きく後退した。

 過去の一覧 (下記の表は、聯合ニュースから筆者が再度まとめたもの)
 https://www.yna.co.kr/view/GYH20200416001800044?section=graphic/index

  1

 特に、「政治一番街」と呼ばれ大統領候補を輩出する鍾路区では、与野党の首相経験者同士の一騎打ちということで注目が集まっていたが、共に民主党の李洛淵(イ・ナギョン)氏が未来統合党の黄教安(ファン・ギョアン)氏を破って勝利し、今回の選挙結果を象徴する結果となった。

 韓国の新聞社各紙とも今日(4月16日)早速、社説などを掲載している。
 保守系の『朝鮮日報』でさえ「文政権の失政がいくらひどくても、国民は未来統合党に入れなかった」としており、リベラル系の『ハンギョレ新聞』は「文在寅政権を後押しした民意が野党を審判した」としている。
 http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/36350.html

 

28年間で最高の投票率 

 新型コロナウィルスや選挙制度の改正に伴う比例代表選出など問題が様々ある中で、投票率は全国66.2%(前回選挙は58%)、この28年間で最高の投票率となった。中央選挙管理委員会の速報によると、最も高かったのは現代自動車などがある工業地帯の蔚山68.6%で、移転した政府庁舎が集中する新首都の世宗市68.5%、続いてソウル68.1%となっており、最低の忠清南道でも62.4%だった。
 事前投票率が26.74%で、これも朴槿恵前大統領の弾劾、罷免など関心が高かった2017年の大統領選挙時の事前投票率26.1%を超えている。当初、これは新型コロナ問題で選挙当日の人混みを避けるためなので当日の投票率は低くなると見られていたが、予想に反して多くの人が投票に出かけ、ここでも選挙によって民意を示そうとする高い意識がみてとれた。

 

選挙結果
 再度、今回の選挙による獲得議席数を見ると、下記のようになっている。

  2

上記の表を見ると、二つのことが分かる。
一つは、保守の未来統合党の獲得議席数は103だが、地域の選挙区では100議席にも届かなかったこと、もう一つは、表に連携政党/衛星政党と示してあるように、比例では別の政党名になっていることだ。

 

保守の惨敗
 保守、未来統合党は今回の選挙で大打撃を受けた。議席を減らしたこともさることながら、次期大統領候補と目された人たちが次々に落選してしまい、将来が見通せなくなっている。
 前述のイ・ナギョン(李洛淵)に敗れたファン・ギョアン(黄教安)は、公安検事出身で朴槿恵政権下では法務部長官(法務大臣)や首相を務め、朴大統領の弾劾可決後には大統領代行だった「大物政治家」、保守系の次期大統領候補レースではトップに立っていた。
 また、オ・セフン(呉世勲)も給食無償化問題でソウル市長を辞任したものの、国会議員経験者でもあり、59歳の年齢から次期大統領候補と言われていた人物だ(オの後任ソウル市長は朴元淳)。オ・セフンも今回の選挙は、共に民主党から40歳で初めて選挙に出た女性アナウンサー出身コ・ミンジョンに敗北した。
 日本の保守政治家たちが最もガッカリしたのはナ・ギョンウォン(羅卿瑗)の落選だろう。前身の自由韓国党時代に院内代表や代表代行まで務め、親日議員としても有名な彼女は日本の保守層に人気で、インターネットの書き込みでも「美し過ぎる韓国議員」とか、「ナ・ギョンウォンかわいい」などとされている。彼女も自分のインスタグラムで、米国の鷹派ボルトンや安倍首相とのツーショットを公開している。
 保守系の未来統合党は、ソウル49選挙区では8年前セヌリ党時代の16議席を4年前には12、今回の選挙では8議席となり、8年前の半分になった。今回の選挙では院内代表のシム・ジェチョル(沈在哲)も落選した。「最高委員で生き残ったのは1人だけ」と指摘した『ハンギョレ新聞』は、「保守にはもう居場所がない」、「粉々に砕けて指導部も壊滅」と書いた。このような状況に保守系のマスコミ『東亜日報』も4月17日の社説で保守の「壊滅的な惨敗」と書き、紙面でも「指導部が空白」としており、『朝鮮日報』も「まだ保守が多数だと錯覚し中道層を失った」と手厳しい。

 そもそも、保守系の野党・未来統合党は今年、2020年2月17日にスタートした政党だ。
2011年発足のハンナラ党が朴槿恵政権を誕生させ、2012年総選挙勝利のためセヌリ党に改めたが、朴大統領の弾劾・退陣の過程で、非朴と呼ばれる反主流派の相次ぐ離党とその勢力による新党結成などが続き、2020年1月に保守系は「自由韓国党」と「新しい保守党」、「未来を目指す前進」などに分裂したままだった。国会議員選挙を目前に、危機感をもった保守諸党が合流して誕生したのが未来統合党だ。獄中の朴槿恵も「一致団結」を訴えたが、その手紙を発表した人物も候補者から外されるなど、候補選出の過程でもゴタゴタが絶えなかった。
 さらに、未来統合党の候補者がセウォル号の遺族を卑下する発言をしたり、進歩陣営を下品な言葉で攻撃したりするなどの行為が続出し、彼らを審判すべきだという声が高まった。実際に「暴言、妄言候補者」は落選している。

 

衛星政党
 今回の選挙は、選挙制度の改革後に初めて行われた選挙だが、いわゆる「衛星政党」と呼ばれる問題を引き起こした。
 韓国では2019年12月に、それまでの選挙区選挙と比例代表選出に加え、「連動型比例代表制」導入の法案が国会で可決された。これは国会の300議席のうち、選挙区で253議席を選出し、残りの議席を比例47とするものの、そのうち30を準連動型とするというものだ。韓国でも日本と同じように小選挙制度で多くの票が死票となる中、少数政党にも有利になるようにとの要求から実現したものだが、一方で今回の「連動型」では限界があるとの指摘もあった。

 連動型比例に反対し続けていた保守系の自由韓国党は、2020年1月2日に「比例自由韓国党」を立ち上げた。しかし、1月13日に選挙管理委員会が「比例〇〇党」の名称は使えないと結論付けたので、2月5日に比例用の「未来韓国党」を立ち上げ、2月17日には前述のように選挙区用の合併政党「未来統合党」が発足している。
 このような動きに焦りをおぼえた与党・共に民主党も市民運動を巻き込んだ選挙連合政党を目指し、3月8日にプラットフォーム型政党「市民のために」を立ち上げ、3月18日には「共に市民党」の名称で本格的に動き始めた。当初、未来韓国党の議席獲得阻止のため、民主化運動の著名人などによる「政治改革連合」が他の少数野党、即ち正義党、民衆党、緑色党、未来党などとの候補者一本化などを目指そうとしたが、「共に市民党」側の動きが「時間切れ」を理由に見切り発車で選管に届け出て、この動きは消えてしまった。
 「共に市民党」には弱小政党の「行こう平和党」や「基本所得党」、「時代転換」、「行こう平和人権党」など4党が加わり、呼びかけに応じて後に緑色党、未来党、民衆党まで連合政党に加わる動きをみせた。ちなみに緑色党は韓国版緑の党、未来党は平和主義による兵役拒否で逮捕されたオ・テヤンが中心の政党、民衆党は民主労働党系の進歩政党だ。だが、党内や支持者から大きな反発が出て、その後に緑色党、未来党は正義党と共同対応を発表したが、民衆党は独自路線を貫くことになった。
 
 ところが、このような動きは当初の選挙制度改革の意図に反し、少数政党の足を縛るものだとして反論が相次いだ。『ハンギョレ新聞』は「巨大衛星政党で少数政党の居場所が狭まる」と指摘、専門家からも疑問の声が上がった。全北大学法学大学院のソン・ギチュン教授は『法律ジャーナル』のコラムで、「比例政党?衛星政党?偽装政党?傀儡政党?」としながら、そもそも「違憲政党」だと規定している。
 経済正義実践市民連合(経実連)は4月17日午前に大法院前で「公職選挙法に違反している衛星政党の共に市民党、未来韓国党が参加した国会議員選挙は無効」だと記者会見を行い、会員約80人による選挙無効の集団訴訟を起こした。

 今回の選挙が少数政党に有利だとして「駆け込み結党」も相次ぎ、4月15日現在の中央選管に登録した政党は共に民主党や共に市民党、未来統合党や未来韓国党も含め48にのぼった。中には政党名が酷似してまぎらわしいものもある。保守系では「共和党」と「ウリ共和党」、「大韓党」と「大韓民国党」、「親朴新党」と「親朴連帯」、「自由党」と「自由の暁党」、「未来統合党」と「未来韓国党」、「未来党」もあり、「未来民主党」までくると、何が何だか分からない。保守の主張も北進統一や韓国の核兵器保有などの極右的なものから、朴槿恵釈放を要求するものと幅広い。
 選管によると48の政党の中で比例政党は35となり、選挙用紙は48.1cmの縦長で最長となった。ちなみに韓国では、選挙用紙に候補者名や政党名を記入する日本とは異なり、あらかじめ候補者名や政党名が印刷された用紙にチェックを入れるやり方だ。
 
 比例で得票率3%未満の政党は議席を獲得できないが、議席を獲得したのは下記の5政党だ。( )内は改選前議席、数字は中央選管による。

  3     
 その他、得票率1%以上の政党は、基督自由統一党1.83%、民衆党1.05%で、他の政党は1%にも満たない。正義党と共同対応した緑色党は0.21%、未来党は0.25%だった。
 韓国最大のナショナルセンター民主労総は労働党、緑色党、民衆党、社会変革労働者党、正義党の5つの政党を進歩政党とし、「民主労総支持政党」としたが、緑色党が共に市民党に合流する動きを見せたため、支持政党から外す動きもあった。労働党の得票率は0.12%で、社会変革労働党は選管に登録しなかったため得票率もない。

 

コロナ対策
 今回の与党の勝利は迅速な新型コロナ対策の結果だという声が多く、ウォーキングスルーやドライブスルーを通じた迅速な検査の拡充など、韓国のコロナ対策については日本でも既に多くのレポートがあるので、ここで詳細は割愛する。

 ただ筆者が指摘したいのは、これらが2015年のマーズ(MERS:中東呼吸器症候群)などの教訓を生かしたということだ。保健福祉省傘下の疾病管理本部がまとめた『2018年マーズ、中央防疫対策本部白書』は217ページに及ぶものだが、これによると2015年に韓国ではマーズ/MERS186症例が報告され、死亡者も38人発生した(別の資料では隔離対象となった接触者は16,693人にのぼったという)。先の報告書によると、2016年から新種感染症の「流入遮断と初期対応」のため、感染症を24時間監視する官民合同チームを結成、陰圧病床も増やし、接触者隔離施設を確保、検査体系の改善やインフラの拡充をはかった。さらに医療機関での環境改善をはかり、検査、感染疑いの人の選別、隔離、集中治療室の立入り統制の強化などを行っていた。
 2018年の疾病管理本部のマーズ対策班報告書『2018年韓国内マーズ患者の監視と対応の結果』によると、その後も監視体系を整備しつづけた。報告書によると、毎月の届出から合算した2018年の届出2,225人のうち、378人が感染の疑いとして分類され、感染者1人を割り出している。
 このような対応は2014年のセウォル号事件を契機に韓国内で一気に高まった「人々の生命と安全」を国がどのように責任をもつか、という意識が背景にあったものだ。
 ちなみに、日本の海外法人医療基金によると、2003年の日本のサーズ/SARS感染者は2人で、死亡者はゼロ、2014年のマーズ/MERS患者は、国立感染症研究所によると日本での発生は無しとなっている。日韓双方で、新型コロナ感染症の発生当時の危機感が大きく異なっていたことが伺えよう。

 現在、中央防疫対策本部のホームページによると、全国638の保健所と医療機関で「選別診療所」を運営、そのうち606か所でPCR検査を行っている。診断キットを迅速に普及するための「緊急使用承認制度」を導入、累積検査数は554,834件で、検査完了数は541,284件となっており、情報は常に公開されている。 

 http://ncov.mohw.go.kr/

 いずれにせよ緊急事態宣言も、都市のロックダウンもなしに4月18日現在の感染者合計は10,653人で死亡者は232人発生したが、隔離が解除された人は7,937人で、1日の新たな感染者は「全国で18人」に減少した。しかし、韓国政府は感染経路の未確認患者が発生しつづけていることから、油断は禁物とクギを刺している。

 全国規模の選挙が本当に行えるのか憂慮の声もあったが、選挙管理委員会では写真や動画などを公開し、事前投票と投票当日の社会的距離、消毒や検温、手袋着用などの手順について細かく説明、無症状の感染者は時間をずらして投票するようにした。
 3月24日に文在寅大統領とトランプ大統領との電話会談の際、韓国メーカー2社が開発したコロナ診断キット輸出の要請があり、4月11日に60万回分のキットが輸出された。CNNは13日、「米国が韓国で75万回の診断キットの輸入契約を交わし、既に15万回分が出荷された」と報道したが、このような実績と韓国政府のコロナ対策は有権者に自信をもたせたに違いない。

 選挙直前の4月13日から14日にかけて行われた韓国ギャラップ世論調査結果(4月17日発表)で、文在寅大統領の支持率は60%近くに上がっている。肯定評価の理由のトップとして新型コロナへの適切な対処を上げており、年齢層も20代54%、30代75%、40代66%、50代65%が肯定で、60代以上は肯定が45%となっている。

 

民意はどのように生まれたか
 これまで述べたように今回の総選挙で有権者は保守を審判し、文在寅政権への支持を表明した。ただ、押さえておくべきは、このような動きが「自動的に」生まれた訳ではなく、運動の力で作られたということだ。

 2020年3月12日、様々な市民団体の参加のもとで「総選挙市民ネットワーク」が発足した。このネットワークは参与連帯や経済正義実践市民連合(経実連)、財閥改革と経済民主化実現ネットワークなどの市民運動の他、韓国女性団体連合や女性民友会、ジェンダー政治研究所などの女性団体、環境会議や環境運動連合などの環境団体、民主労総や青年ユニオンなどの労働団体、韓国YMCA連盟などの宗教団体など1,545の団体で構成されている。
 各団体はそれぞれ候補者にアンケートをしたり、これまでの実績を分析したりして、候補者をチェックする活動を行った。女性団体が指摘したのは、女性候補の数。それによると共に民主党12.65%、未来統合党10.975、正義党20.76%、民政党6.90%、民衆党46.67%だ。セウォル号の遺族や支援者で作る「4.16連帯」は、セウォル号沈没の原因を作った人物、乗客の救助に責任のある人物、真実を歪曲し被害者を冒とくする発言をした人物など5つの項目で採点し、落選させるべき17人の名簿を公表した。
 また、経実連では「政党選択ツール」を公開した。これは20項目の設問があって、財閥や大企業の金融会社の所有を許容すべきとか、私立大の入学金も国公立のレベルにすべき、保育や高齢者施設の増設、北への制裁は緩和すべき、韓米同盟に偏よった外交政策は改めるべきなどの内容がある。設問の答を自己採点すると、「あなたの答えは〇〇党の公約に近いです」と出てくる仕組みで、比例政党に迷う有権者に投票を促すようになっている。
 さらに国会で「悪い法案」140の法案を洗い出し、それを発議した議員77人を公開した。
 
 総選挙市民ネットワークでは4月9日、「悪い候補者178人」を発表、そのうち様々な団体で分析し5つの分野で1位の「悪い候補者」、前述のナ・ギョンウォンを含む3人を発表、4つの分野の悪い候補者16人を発表した。この結果は公表されていないが、筆者が選管の結果を調べた結果、16人のうち9人(56%)が落選していた。

 

「親日清算」の活動
 一方、「安倍糾弾市民行動」は3月17日に「親日清算4大立法と強制動員賠償判決」などについて684人の出馬予定者にアンケートを送付し、4月9日に結果を発表した。それによると、アンケートの応答率は民衆党61.6%、正義党39.47%、共に民主党が25.3%となっている。
 さらに市民行動では、「親日政治家の集中落選運動」を繰り広げるとして、ナ・ギョンウォン、ファン・ギョアンなどの8人の名簿を公表した。無所属1人以外の7人は未来統合党の候補者だった。選挙結果は8人のうち、5人(62.5%)が落選した。
 言うまでもないが、ここでの「親日政治家」とは「日本と親しい政治家」という意味ではなく、韓国の歴史をどう見るかという根本問題が含まれている。
 4月11日、文在寅大統領は来年オープン予定の「韓国臨時政府記念館」記念式典に出席し、「これからの韓国の歴史は親日ではなく、独立運動が主流になる」と述べたが、このような発言も保守勢力の日韓ゆ着を正す投票力学が働いたと思われる。

 

今後の課題
   与党・共に民主党指導部は今回の大勝利に「恐ろしさを覚える」としつつ、「重大な責任を感じる」として、結果を謙虚に受け止めるとしている。 

 課題としては何と言っても第一に、韓国政府は当面、現在行っているコロナ対策をより徹底し、新型コロナを封じ込め、打ち勝っていかねばならないことだろう。
 コロナ感染症により人々の健康と命が脅かされており、経済的打撃も大きい。韓国政府はコロナ対策に力を入れる一方、緊急災害支援金の支給などを決めているが、人々の経済的損失も少なくない。
 民主労総は4月16日の中央執行委員会で、全組織を緊急体系に転換し、中執を「解雇禁止、雇用の保障、社会安全網の拡大のための緊急闘争本部」としてスピード感をもって対処する一方、他の社会市民団体に呼びかけるとしている。また、政労使による緊急協議を行うこと、社会的弱者保護のために組合員カンパを呼び掛けている。
 ちなみに民主労総は、今回の選挙で民主労総組織内候補を発表、選挙区36人、比例8人、支持候補65人の合計109人を推薦した。筆者が調べた結果、当選者は正義党比例の2人で公共運輸労組出身だ。
 韓国労総も4月13日に「コロナ19雇用危機申告センター」を発足させ、相談業務を強化するとしている。韓国労総は今回の選挙で、与党・共に民主党と政策協定を締結し、共同歩調をとってきたが、16日の発表によると、「労働尊重実践の国会議員」とした共に民主党66人のうち51人が当選、そのうち5人が組織内候補だったとのことだ。しかし、韓国労総の副委員長経験者など3人は未来統合党から出馬し当選している。
 このようなことを受けて、4月19日の聯合ニュースによると、韓国政府も早急に「コロナ雇用安定政策パッケージ」を発表するという。その内容には中小企業への休業手当の割合を90%まで引き上げることや、雇用保険に入れないでいるフリーランサーや請負型労働者などへの支援強化にのりだすという。最近、国民皆保険制度のように雇用保険を全国民的なものにすべきだという声が出ていることを考えると、今後ターニングポイントになるか注目されるところだ。
 インターネット・メディア『民プラス』は、「韓国でコロナ危機を解決する力は、個人利己主義や民族排他性、集団嫌悪ではなく、共同体的協同と団結、連帯にあることを世に示した。これがヨーロッパやアメリカで失敗したのに対し、韓国が成功した理由だ」としつつ、「近づく経済危機をむしろ政治経済のパラダイムを再構成する契機にすべき」としている。

 第二の課題は、守旧派の抵抗に立ち向かいキャンドル革命の求めた改革を進められるかだ。
 韓国はキャンドル革命で朴槿恵政権を倒し、2017年に民主改革的な文在寅大統領を選出したものの、国会に残った多数の保守勢力により、キャンドルが求めた社会的改革は成し遂げられなかった。
 経済正義実践市民連合が4月16日に行った「選挙評価座談会」で、参加したオーマイニュース記者は「与党が勝ったので、むしろ改革措置を何も行わないだろう」とし、経実連のソウル大教授のパク政策委員長も同意した。反面、トクソン女子大政治外交教授のチョ政治改革委員長は「今までは国会で野党に足を引っ張られていたが、もうその口実は通じなくなった」としながら、今後は力強い改革に進むのではないか」と発言、市民社会が強い圧力を行使すべきだとしている。
 保守派は今回の選挙で打撃を受けたが、今後も文政権に様々な形で抵抗するだろう。小選挙区で勝利したとはいえ、政党別得票率をみると、先の表のように未来33.84%、民主33.35%となっていて、与党系の開かれた民主党や革新系の正義党などを含めてようやく48%だ。
保守系の未来統合党内部では選挙の敗因をめぐって、既に責任転嫁の内輪もめが始まっており、なかなか体制を立て直せないでいる。しかし、検察や高級官僚、軍部、マスコミなどの韓国保守の根は深く、最近続いている「太極旗デモ」と陰に陽に連携しながら、文政権の改革を必死で阻止していくだろう。
 前述の『民プラス』のいう「汎民主進歩勢力」による「民主多数派国会」が今後、どのように改革法案などを可決させ、韓国社会を変えて行けるのかは最も大きな課題となる。

 第三に、朝鮮半島の平和と南北統一への動きの加速化だ。間もなく4月27日、南北首脳会談・板門店宣言2周年記念になるが、コロナ状況のもとで文在寅政権がどのように迎えるか注目したい。
 日本のマスコミなどでは朝鮮の元英国公使テ・ヨンホ(太永浩)がテ・クミンという名で、未来統合党からソウルで出馬、「初の脱北者が当選」したと大きく取り上げている。筆者が4月15日にインターネットで開票速報を見ていると、韓国MBCニュースの解説では「テが当選したのは、江南という選挙区に未来統合党で出たから」だとしつつ、「江南で保守系が出れば、誰でも当選する。最も脱北者問題に無関心なのが江南の人たち」だと述べていた。『ナムウィキ』によると、テは遊説先で「社会主義経済の虚構性を嫌と言うほど知っているのが自分で、自由市場経済主義こそ素晴らしい」としつつ、文政権の不動産政策を批判、選挙区・江南に住む富裕層の利益を守ると力説して回ったという。
 ちなみにメディアの『韓国経済』では、「北から逃げて来たテ」が資産18億6千万ウォンを所有し、2人の子どもそれぞれ1億4千万ウォンも持っていることから批判が高まっていると報じている。

 第四に、外交の課題だ。今回の勝利で、文在寅政権は自信をもって、既存の政策を進めるだろう。米国トランプ大統領が今年初め、韓国側に在韓米軍の費用負担を5倍に増加させろと圧力をかけ、韓国では反発の声が出て「米軍はいっそのこと、出て行け」というスローガンが飛び出した。この国防費負担金増額をめぐる韓米交渉がずっと行われていたが、3月末から4月初めにかけて11回目の交渉が行われた。一時マスコミでは1.5倍増で日韓両政府が妥結したと報じたが、翌日大統領府はこれを否定したので、交渉は続く模様だ。また、米軍が基地で働く韓国人労働者に対し、4月1日から無給休職を言い渡して大きな問題となっており、「公平な米韓関係」を求める民意はさらに高まるだろう。
 日本との問題は先に書いた「親日政治の弊害清算」運動の中で勝利した文政権なので、当面はこれまでの方針のまま進むだろう。今回の選挙では30年間、日本軍「慰安婦」問題で市民運動の現場にいた韓国挺身隊問題対策協議会のユン・ミヒャン(尹美香)代表が、共に民主党比例で立候補、当選を果たした。共に民主党の「ふらつく立場」をしっかり牽制するに違いない。
 ただ、今後は日米保守勢力による文政権へ圧力も加重されると思われるので、これらにどう立ち向かえるかも課題となるだろう。

 第五の課題は、「進歩勢力」の動向だ。
 今回、議席を獲得した正義党も当初予想していた二けたに及ばなかった。正義党のシム・サムジョン代表は選挙区で当選、進歩系議員としては四選を果たしたが、党の躍進につなげられなかったとして落涙、メディアに大きく取り上げられた。正義党が選管に届け出た候補者数は選挙区75人、比例29人で、当選は両方で6人、得票数は9.67%だった。
 民衆党は選挙区59人、比例8人の候補者を立てて、当選ゼロ、得票数は1.05%だった。
これらをどのように評価するかは筆者の権限ではないが、文政権の改革を後押しするためにも、また労働者、市民中心の政策を推し進め、東アジアの平和を構築するためにも、今後の省察と足場固めが必要だろう。

 コロナ事態の中で初の「全国選挙」、初の18歳の投票、1996年以降最高の投票率、憲政史上初めて女性議員最多の57人19%、民主化以後に初めて180議席以上の巨大な与党の登場ということで「初」の多い(『ニューシス』)選挙だったが、日本からも韓国の改革の行方に注目しよう。

 最後に、4月12日に平壌で、国会にあたる最高人民会議が開催されたことを指摘したい。
 その前日に行われた労働党政治局会議では「世界的大流行の伝染病に対処し、人民の生命安全を保護するための徹底的な対策」が採択され、翌日に国会が開催されたものだ。今年中国でコロナ感染が発生すると、直ちに1月に中国との国境を封鎖、続いて南北の接境も閉鎖し、緊張感あふれる対策をとってきた北の当局だが、南の『統一ニュース』4月14日の記事では、「マンスデ議事堂の写真を見ると、議員がマスクもしておらず、普通に座っている様子を見て、コロナを統制している自信の表れがみてとれ、感染者がいないことをアピールしているもの」としている。
 今年3月に平壌を訪問した日本の『朝鮮新報』記者は、海外から来訪したことで平壌のホテルで徹底的に隔離された経験をHPで述べていて大変興味深かった。
                           (以上、2020年4月19日記)

 

2020年4月17日 (金)

【資料】韓国総選挙結果:「民主多数派国会に望む」(民プラス)

韓国の総選挙は与党・共に民主党(比例の共に市民党含む)が180議席を獲得する圧勝で、保守野党の未来統合党(比例の未来韓国党含む)は103議席の惨敗となりました。

他に少数政党の正義党などと併せ汎民主進歩陣営は190議席を獲得したことになります。

この選挙結果について、韓国進歩陣営のインターネットニュースサイト「民プラス」が4.16付で社説を掲げています。韓国進歩陣営が今回の選挙結果をどう見ているかを知る上でも非常に重要な内容です。

 

   【社説】 民主多数派国会に望む
                    2020.4.16 民プラス(韓国進歩陣営のニュースサイト)

 21代総選挙で劇的に未来統合党を審判した。
 1,2ヶ月前には政権審判論を掲げ、第1党まで見下げると言っていた未来統合党が、結局は、自分たちに対する国民の審判を免れなかった。真に偉大な国民の勝利である。国民はコロナ19感染不安の中でも66.2%という高い投票率を記録し、未来統合党を103席に防いで、政府与党に180席を集め汎民主進歩勢力に190席余りを抱える民主多数派国会を作ってくれた。

 一方、これらの勝利がまだ強化されたものではない点、親米守旧勢力が完全に滅びたのではなくまだ再生する力を有している点、積弊勢力清算を終いまで見届けることができる進歩陣営が力を使えずかえって保守両党体制が強化された点などが惜しまれ、次のステップの宿題でもある。

 共に民主党指導部が、今回の勝利に対して、かえって「恐怖を感じる」、「重大な責任感を感じる」という態度を取ったのは幸いだ。今後、国民の民意のままに、民心が示す方向に直進していかなければならない重大な課題が民主多数派国会に与えられた点をよく刻まねばならない。

 何よりもキャンドル革命を完成しようとする国民的熱望がいかに高いかを改めて確認することになる。
 事実、過去3年間は、未来統合党、検察、マスコミなどの既得権勢力がカルテルを形成してキャンドル革命を否定して改革を阻止し、最初から後についてひっくり返そうと思う反革命が蠢動した歳月だった。これに対して適切に対応できず、守勢に陥っていた時に、再び国民が立ち上がりキャンドル革命を完遂する動力を用意したのが今回の総選挙の最も重要な意味である。
 政府与党が、キャンドル革命が要求する改革を押し進めるときは国民が高い支持を送ったが、キャンドル革命の要求から抜け出したり、あるいは誤ったり、ひどく逆行すれば国民が支持を撤回してさらに民主進歩陣営の団結まで壊れたという点を重要な教訓としなければならない。
 特に保守過剰に右偏向されている韓国の政治構造を打破し、民主進歩陣営が力を合わせて進歩政治のガラスの天井を廃止していかなければならない。これが積弊清算を果たしてキャンドル革命を完成させる近道である。進歩政治勢力も、目の前の減った議席数に失望せず、民衆と一緒にキャンドルが提起した直接政治の道を全面的に開拓するために、さらに邁進しなければならない。そうすれば再び道は開かれる。

 次に、自主と民族大団結、平和繁栄に向けた熱望が反映された点である。
 未来統合党がテ・ヨンホ(訳注・対北対決を煽る脱北した元駐英公使)を江南に出馬させて当選までさせ、選挙の最終日に未来韓国党と「安全保障連席会議」というものまで開いたのは、未来統合党が生きる道はただ親米親日と南北敵対政策にあることを明確に確認するものである。今回の選挙で北風の脈を使えず、むしろ親日売国奴の審判選挙にされたのは、4.27板門店宣言、9.19共同宣言以後に作られた民族自尊の国民的熱望が非常に高くなったからだ。この力で反日不買運動の熱風が吹いたし、トランプの防衛費分担金強要に対する国民的抵抗が燃え上がった。
 ムン・ジェイン政府の支持率が最も高く上がったのも、南北関係が最適に発展したときであり、ムン・ジェイン政府の支持率が低下し、親日親米勢力が反撃を始めたのも、韓米同盟に閉じ込められて何もしていなかった時だったという点を忘れてはならない。
 民主多数派国会が自主の道、南北団結の道、そこから平和繁栄の道を堂々と切り開いて行けというのが21代総選挙の投票者の心であり、民心だという点を深く刻まなければならない。
 
 次に、コロナ19危機に対する新たな解決方法への支持である。
 国民はコロナ19感染の危機と近づく経済危機をどのように克服するかを、今回の総選挙で明確に選択した。今回国民とムン・ジェイン政府はコロナ19感染危機を解決する力は、個人利己主義や民族排他性、集団嫌悪ではなく、共同体的パートナーと団結、連帯にあることを世界に示した。これがヨーロッパやアメリカでは失敗したのに対し、韓国が成功した理由である。
 一方、安倍式制御や過去の軍事独裁式鉄拳統治ではなく、民主主義だけがコロナ19と同じ危機を克服することができるという点も同時に示した。これは韓国政府と韓国国民が共同体と民主主義が有機的に結合された新しい政治、新しい文明、新しい民主主義を開拓していることを意味する。

 心配なのは、これらの感染症克服の模範を解決するより困難で厳しい経済危機を克服するためによく適用することができるだろうかという点だ。国民は、まさにこの重大な課題を解決することを期待して、今回の力を与えたのである。
 振り返ってみると大韓民国は、すでに通貨危機と金融危機を経験したことがある。しかし、その危機をうまく克服したといわれる結果が1:99の二極化と対外経済依存が深化される方向であった。それがまた、今日の経済危機の原因でもある。コロナ19危機を契機に迫ってくる経済危機を克服する過程は、過去のような方式を繰り返してはならない。来るべき経済危機をむしろ韓国の政治経済のパラダイムを再構成する契機と過程としなければならない。

 民主多数派国会は権力、正確に言えば、国民が委任した権力を良く使うことにある。
 単に次期大統領選挙の勝利のためにだけに使うなら失敗を免れないだろう。4.19革命時はこれより加えた力を持っても軍事クーデター勢力に革命を奪われた。過去ウリ党の時期にも過半数を超える議席を持っていたが、4大立法に失敗した。再び失敗しないようにするには民主多数派国会の力を目の前の執権ではなく、歴史を新たに書き込むために使用することを要請する。

     출처 : 현장언론 민플러스(http://www.minplusnews.com)
     *自動翻訳に若干手を入れました。訳責:日韓ネット・渡辺

 

2020年4月 7日 (火)

【資料】北のコロナ対策妨害する制裁を即時緩和・中断せよ(韓国社会市民団体共同声明)

来週に迫った韓国総選挙(4月15日投開票)は、文在寅政権のコロナ対策が内外の高評価を受けて与党有利に進められていると報道されています。実際、PCR検査数だけみても安倍政権下の日本の状況とは雲泥の差です。

この中で、民主労総や韓国進歩連帯、参与連帯、韓国YMCAをはじめとする87の社会市民団体は3月31日に共同声明を出し、<朝鮮のコロナ対策を妨害する制裁を緩和・中断せよ>と訴えています。

金正恩氏に親書を出したトランプとポンペオの間に距離ができているのか役割分担なのか分かりませんが、いずれにしても世界的な新型コロナの拡大の中で「制裁」の維持・強化を唱えることの犯罪性は明らかです。

以下、韓国社会市民団体声明全文を紹介します

DPRKのコロナ対策を妨害する北への制裁を即時緩和、中断せよ

 3月25日(現地時刻)、米国のポンペオ国務長官は、[G7外相によるテレビ電話会議後の記者会見で]「G7など全世界が一つになって、DPRK[朝鮮民主主義人民共和国]に対する外交的、経済的圧力を続けるべきだ」と主張した。前日の国連のミシェル・バチェレ国連人権高等弁務官による「コロナ19のパンデミックの中で、全世界の公衆保健、数百万人の生命と権利のために、DPRKなどへの制裁を緩和するか中断すべき」という発言を一蹴したものだ。さらにポンペオ長官は、26日のマスコミとのインタビューで「DPRKとイラン、ベネズエラのような国々が人道的支援を要請してきても断る」と明らかにした。現状でDPRKへの圧力を維持したまま、人道支援拒絶を口実とするのは、何の助けにもならない。トランプ大統領の親書のように、米国政府がコロナ19防疫のために北側と協力し支援する意向があるならば、今必要なのはコロナ19への効果的対応を妨害する米国と国連の制裁を緩和もしくは中断することだ。

   コロナ19の世界的流行により、制裁を緩和もしくは中断すべきだという声が続いている。ミシェル・バチェレ国連人権高等弁務官は、広範囲な制裁は再評価が急がれるとしながら、キューバ、DPRK、ベネズエラ、ジンバブエ、イランなどで、制裁が医療活動を妨害することになり、これは我々全ての危険を高めると強調した。アントニオ・グテーレス国連事務総長もまた、G20首脳に書簡を送り、コロナ19の医療支援と感染対策に必要な医療資材や食料の供給のため、制裁措置の免除を呼び掛けている。米国の対北人道支援の団体も、制裁により支援が妨害されることにないようすべきだとしている。

   国連安保理北朝鮮制裁委員会は案件別に制裁免除を承認しており、最近は承認期間も短縮しているが、依然として不十分だ。体温計や遺伝子増幅検査[PCR検査]装置、診断薬・試薬、人工呼吸器など、必要な医療資材の支援も煩雑な手続きを経なければならない。免除承認のためには、支援の目的ばかりか、物品移動の位置、船積みの数量と方法、貨物の移動ルート、ドル換算の値段、免除要請の理由、利用する金融機関など、広範囲の情報を提供せねばならず、これは一旦支援を行えば変更してはならない。さらに免除承認を受けたとしても、金融制裁と米国の独自制裁などで、支援物品の代金支払い、現地NGOや国連機構の運営費支払いのために金融機関を探すのも困難な上に、送金そのものが大変だ。コロナ19による国境統制などで、現金を直接手渡すことも難しくなっており、支援そのものが総体的難局に陥っている。制裁が急速に拡がる感染症に、緊急で効果的な対応を妨害している。

   DPRKはこれまでコロナ19の感染者はいないと公表しているが、今後の状況は誰にも予測できない。DPRKは拡散初期から航空便を制限するなどの国境閉鎖措置を行い、自主的な防疫に尽力しているという。併せてロシアに診断キットを、国境なき医師団やユニセフなどに医療資材の支援を要請している。DPRKの報告通り感染者が発生していないとしても、防疫を徹底して行わない限り、どの国も安全とは言い切れない。ウィルスには国境がない。専門家たちは1か国でも防疫に失敗し、手のつけようもないほど拡がれば、全世界的な脅威となるので、多国間協力や国際協力が大変重要だと強調している。DPRKを「支援」するためでなく、コロナ19への世界的共同対応のためにも、制裁を変化させるのは非常に急がれるところだ。

   3月26日、G20首脳はコロナ19対策について、最初の特別首脳会合を開催し、世界的パンデミックに対応するための「国際行動、連帯、国際協力」を誓い合った。[コロナ封じ込めの]韓国政府の対応が世界的好評を博す中で、各国から国際協力の要請も相次いでいる。ところが皮肉なことに、韓国が協力できない国は朝鮮半島で共に生きるDPRKなのだ。韓国政府と民間の支援、南北の保健医療協力は制裁に遮られてきた。DPRKのコロナ19拡散と被害を防ぐ効果的な方法は、防疫、隔離、医療資材を大幅に拡充させることだが、これは制裁の広範囲の緩和もしくは中断、そして国際社会の協力なしには不可能となっている。さらに制裁緩和と同じように重要なのは、DPRKもまた、国際社会の防疫協力提案に積極的に参加すべきだということだ。協力は一方的な努力だけでは行えない。

   南北は2018年11月に開催された南北保健医療分科会議を通じて、▷双方の感染症に対する情報交換など、南北の感染症の流入と拡散防止、▷結核とマラリアをはじめ感染症の診断や予防治療の協力、▷中長期的な防疫並びに保健医療協力、▷南北共同連絡事務所を通じた定例会議と問題解決などに合意をみた。ところがコロナ19拡散の状況で、このような合意は全く履行されていない。朝鮮半島平和プロセスの進展が朝鮮半島に居住する人々の安全と直結するということを確認させる事例だ。グテーレス国連事務総長が強調したように、「今や排他ではなく連帯の時」だ。もはや、ためらう時間もない。米国と国際社会は、DPRKのコロナ19対応を妨害している対北制裁を即時緩和もしくは中断しなければならない。

2020年 3月 31日
(社)分かち合いと共に、(社)グリーン交通運動、(社)暖かい朝鮮半島愛の練炭分かち合い運動、(社)民族和合運動連合、(社)子どもと肩組んで、(社)子ども医薬品支援本部、(社)わが地の平和運動、(社)仁川都市農業ネットワーク、(社)済州参与環境連帯、(社)青少年人権福祉センターネイル、(社)平和サムチョン、(社)ハナヌリ、(社)韓国回復的正義協会、(社)朝鮮半島の平和と繁栄のための協力、(財)ナイスピープル、開城観光再開国民運動、健康と分かち合い、健康権実現のための医療団体連合(健康社会のための漢方薬剤師会、健康社会のための歯科医師会、労働健康連帯、人道主義実践医師協議会、真の医療実現青年漢方医会)、国際民主連帯、キムジェ正義平和行動、キムチョン教育を越えて、労働者教育機関、グリーンコリア、もう一つの世の中に向かう連帯、民族問題研究所、民主社会のための弁護士会・統一委員会、民主平等社会のための全国教授研究者協議会、非正規労働者の家・熟睡、サードミサイル配備反対キムチョン市民対策委員会、新たな100年を開く統一義兵、新たな世を開く天主教女性共同体、生命政治フォーラム、西海5島平和運動本部、世宗参加自治市民連帯、韶成里サード撤回星州住民対策委員会、市民平和フォーラム、新大乗ネットワーク、実践仏教全国僧家会、女性平和運動ネットワーク、開かれた軍隊のための市民連帯、わが民族助け合い運動、蔚山市民連帯、円仏教・人権委員会、円仏教・星州聖地守護非常対策委員会、円仏教・市民社会ネットワーク、陸に住む済州の人たち、利潤より人を、人間模様錬磨所、人権連帯、人権運動サランバン、仁川キョレハナ、仁川市民文化芸術センター、仁川女性会、仁川小さな図書館協議会、仁川平和福祉連帯、日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯、自主平和統一実践連帯、全国公共運輸労働組合、全国民主労働組合総連盟、全国女性農民会総連合、全国女性連帯、全羅南道南北交流平和センター、全北平和と人権連帯、済州平和人権センター、済州平和人権研究所ソワット、参与連帯、緑の傘子ども財団、忠清北道参与自治市民連帯、統一の木、統一出迎え、パックス・クリスティ・コリア、平和ネットワーク、平和都市づくり仁川ネットワーク、平和をつくる女性会、平和鉄道、ピースモモ、韓国YMCA全国連盟、韓国キリスト教教会協議会・和解統一委員会、韓国女性団体連合、韓国進歩連帯、ハンベ平和財団、ヒョンミョン財団、興士団・民族統一運動本部、(合計87団体)

*文中の( )は原文通り、[ ]は翻訳者によるものです。 【翻訳 日韓ネット・k】

 

2018年8月18日 (土)

●【韓国訪問報告①】2018自主統一平和大行進に参加

8千人で「板門店宣言実践815自主統一平和大行進」実施

「終戦宣言・対北制裁解除」の喊声挙げ米国大使館に抗議

20188115

811日、ソウル市庁舎前から光化門の米国大使館に向けた「板門店宣言実践815自主統一平和大行進」が取り組まれ、日本からの訪問団も参加した。

この行動は、毎年815日、日本の植民地支配からの解放(光復)を記念するとともに、同時にもたらされ今なお続く南北分断体制克服をめざす大会として取り組まれているもの。今年は、811日に南北労働者サッカー大会がソウルで開催されるため、それに合わせて日程が前倒しされたものだ。李明博・朴槿恵政権時代にはこうした南北の民間交流さえ弾圧の対象にされており、これも板門店宣言の成果である。

大行進に先立つ市庁舎前の集会では、はじめにパク・ソグン815推進委員会常任代表(韓国進歩連帯常任共同代表)が主催者あいさつ。パク代表は「朝鮮半島の平和と繁栄を約束した板門店宣言の履行の出発点は終戦宣言だ」とし、終戦宣言を後回しにして制裁を繰り返し主張する米国を非難するとともに「今日の自主統一平和大行進は戦争国家アメリカに抵抗し、民族の自主権を獲得する闘争だ」と強調した。

201881116                           パク・ソグン氏

続いて昨年、国会議席2名で新たに発足した民衆党のキム・チャンハン常任代表のあいさつの後、日本からの訪問団と在日韓国青年同盟(韓青)訪問団がそろって登壇。日本訪問団を代表して大阪の西山直宏さんと韓青のキム・スンミン委員長が連帯の挨拶を行った。

20188116                 日本訪問団と韓青同訪問団も一緒に登壇し連帯挨拶

集会は最後に、パク・ヘンドク全国農民会総連盟(全農)会長、チェ・ジンミ全国女性連帯代表、チェ・ヨンチャン貧民解放実践連帯共同代表が共同で大会決議文(下に全文)を読上げ、参加者全体の拍手で確認された。

201881117

集会後、人びとは光化門の米国大使館に向けてデモ行進。大使館前では警察の厚い壁と対峙しながら「米国は612朝米共同声明を履行しろ」「平和協定締結」「在韓米軍の撤収」「韓米同盟の破棄を勝ち取ろう」などのスローガンが次々と叫ばれた。

20188118        光化門広場に面した米国大使館に抗議(左の警察部隊の後ろが米国大使館)

8.15自主統一大行進決議

자주와 평화의 시대, 예속의 적폐를 청산하자!

 自主と平和の時代には、隷属の積弊を清算しよう!

 

한반도에 깊이 뿌리내린 미국의 패권정책은 평화와 자주통일을 향한 우리 민족의 투쟁에 의해 결정적으로 무너지고 있다.(朝鮮)半島に深く根ざした、米国の覇権政策は、平和と自主統一に向けた私たちの民族の闘争によって決定的に崩壊している。

이제 예속과 분단의 낡은 틀을 모두 청산하고, 평화와 통일의  시대를 맞이하자.今隷属と分断の古い枠をすべて清算し、平和と統一の新時代を迎えよう。

남과 , 북과 미국이 새로운 관계를 선언한 조건에 주한미군은 누구를 위해 필요한가.南と北、北(朝鮮)と米国が新たな関係を宣言した条件に在韓米軍は誰のために必要なのか。

전쟁의 군대 주한미군을 이대로 두고 평화의  시대를   없다.戦争の軍隊・在韓米軍をこのまま残して、平和の新しい時代を開くことはできない。

70 낡아빠진 종속적, 반민족적 한미동맹을 이대로 두고서는 주권도 번영도 통일도 이룰  없다.70年もの古ぼけた従属と反民族的韓米同盟をこのまま置いては主権も繁栄も統一も実現することができない。

판문점 선언 정신에 따라, 민족자주의 기치에 따라 평화의  시대를 우리 힘으로 열어젖히자!板門店宣言の精神に基づいて、民族自主の旗に基づいて平和の新しい時代を私たちの力で開いていこう!

평화협정 체결하라!平和協定を締結せよ! 주한미군 떠나라!在韓米軍は去れ! 従属の종속적 한미동맹 폐기하라!韓米同盟を破棄せよ!

 적폐 청산하자! 分断積弊清算しよう!

촛불항쟁, 그리고 판문점선언과 북미정상선언으로 분단적폐 청산의 결정적 기회를 맞이하고 있다.キャンドル抗争、そして板門店宣言と北・米首脳宣言で分断積弊清算の決定的チャンスを迎えている。

일시적 우여곡절 속에서도 남북관계는 우리의 상상을 넘어 빛의 속도로 발전할 것이며, 4.27통일시대는  현실이  것이다.一時紆余曲折の中でも、南北関係は、私たちの想像を超えて、光の速度で発展するものであり、4.27統一時代はすぐに現実のものとなるだろう。

남북관계의 전면적 발전과 자주통일이 실현되는 시대에, 민족을 적으로 규정하는 낡은 법과 제도부터 하루빨리 청산해야 한다.南北関係の全面的発展と自主統一が実現されている時代に、民族を敵に規定する古い法と制度から一日も早く清算しなければならない。

분단에 기생해 민주주의를 억압해  국가보안법을 비롯하여, 상호 불신과 대결을 조장하는 낡은 법과 제도를 하루빨리 폐지해야 한다.分断に寄生して民主主義を抑圧してきた国家保安法をはじめ、相互不信と対決を助長する古い法と制度を一日も早く廃止しなければならない。

또한 분단 적폐세력에 핍박받은 모든 양심수를 즉각 석방해야 한다.また、分断積弊勢力に迫害されたすべての良心囚を即時釈放しなければならない。

분단적폐 청산하여 4.27통일시대를 활짝 열어나가자.分断積弊を清算して4.27統一時代を大きく開いていこう。

분단적폐 청산하자!分断積弊を清算しよう! 국가보안법 폐지하라!国家保安法を廃止せよ! 양심수를 석방하라!良心囚を釈放せよ!

6.12 북미정상선언 이행 않는 미국을 규탄한다. 6.12北・米首脳宣言を履行しない米国を糾弾する。

4.27 판문점선언 이행 가로막는 미국을 규탄한다.4.27板門店宣言の履行に立ちはだかる米国を糾弾する。

남북정상은 역사적인 4.27 판문점선언을 통해 '전면적인 남북관계 발전' '종전선언, 평화체제 구축을 위한 노력' 7천만 겨레 앞에 엄숙히 선언하였다.南北首脳は、歴史的な4.27板門店宣言を通じて「全面的な南北関係の発展」と「終戦宣言、平和体制構築のための努力」を7千万同胞の前に厳粛に宣言した。

북미정상은 6.12북미정상회담을 통해 적대관계를 끝내고 평화와 신뢰의 관계로 전환하기로  세계 앞에 약속하였다.北・米は6.12北・米首脳会談を通じて敵対関係を終わらせ、平和と信頼の関係に転換することに世界の前に約束した。

그런데 불과 100일이 지난 지금, 미국은 대북제재 해제, 종전선언  합의를 제대로 이행하지 않고 있다.ところが、わずか100日が過ぎた今、アメリカは対北制裁解除、終戦宣言などの合意をきちんと履行していない。

나아가 제재니 압박이니 하면서 남북관계 발전을 위한 판문점 선언 이행까지 난폭하게 가로막고 있다さらに制裁という圧迫で、南北関係の発展のための板門店宣言の履行まで乱暴に立ちはだかっている

평화의 대세는 확정적이나 판문점 선언, 북미정상선언 이행은 저절로 이루어지지 않는다.平和の大勢は確定的だが板門店宣言、北・米首脳宣言の履行は、自然に行われない。

民族自主の旗のもと、民族全員が汗と努力をささげよう。

판문점 선언을 따라 거족적인 자주통일대행진을 만들어 가자.板門店宣言に沿って民族挙げての自主統一大行進を作っていこう。

판문점선언 이행하자!板門店宣言を履行しよう! 대북제재 해제하라!対北制裁解除せよ! 종전을 선언하라!終戦を宣言せよ!

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