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カテゴリー「朝鮮半島の動き」の18件の記事

2018年8月18日 (土)

●【韓国訪問報告②】感動の南北労働者サッカー大会観戦

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               韓国労総チーム(青)と朝鮮職総建設労働者チーム(赤)の熱戦

811日午後4時から、ソウルのワールドカップスタジアムで南北労働者のサッカー大会が開かれ、日本訪問団も観戦した。

これは板門店宣言を受けて、南北の民間交流の一環として開かれたもので南の韓国側の二つの労働組合ナショナルセンター、民主労働組合総連盟(民主労総)と韓国労働組合総連盟(韓国労総)vs.北の朝鮮職業総同盟の二つのチームの交流試合として実現したもの。李明博・朴槿恵政権時代にはこうした民間交流自体が厳しい規制と弾圧の対象とされており、これも板門店宣言の一つの成果でありその実践でもある。

スタジアムの壁には巨大な統一旗とともに「南北労働者の団結した力で歴史的な板門店宣言を履行して自主統一の新時代を開いていこう!」、「わが民族同士力を合わせ、自主統一、平和繁栄の新時代を開いていこう!」などの垂れ幕が掲げられた。

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               民主労総チーム(赤)と朝鮮職総軽工業チーム(白)の記念撮影

開会式で、民主労総のキム・ミョンファン委員長は、「一触即発の戦争の危機と対決情勢を打ち破った4.27板門店宣言のしっかりとした履行のために南北の労働者がまず会った」とし、「民主労総は板門店宣言の履行のために誰よりも先頭に立って実践していく」と高らかに宣言した。

 

朝鮮職業総同盟(職総)のシュ・ヨンギル委員長は、「南の労働者とソウル市民、各界に北の労働者を代表して、同胞愛的挨拶」を送りながら、「今、世界は北と南のわが民族が祖国統一と平和繁栄の新しい歴史をどのように書いていくかを、高い関心を持って注視している」とし「私たちは、世界の前に朝鮮民族が一つ」であり、「この地の上に必ず平和繁栄している統一された強国を建設立てるだろうということをはっきり示さなければならない」と述べた。

 

韓国労総のキム・ジュヨン委員長は、「自主的平和な労働者の生活のために南北労働者の連帯と団結をさらに強化しなければならない。단결된 힘으로 판문점선언을 이행한다면 비로소 노동자가 존경받는 새로운 통일의 시대가 열릴 것이다라고 말했다.団結した力で板門店宣言を履行すれば、初めて労働者が尊敬される新しい統一の時代が開かれるだろう」그는분단은 결코 우리 민족의 선택이 아니며 냉전시대에 의해 강요된 위법적 산물이었다 지적했다.「分断は決して私たちの民族の選択ではなく、冷戦時代によって強要された産物だった」として、역사적인 판문점선언의 중단 없는 이행을 위해 노동자가 누구보다  앞장서야  이고, “축구를 통한 남북 노동자의 단결로 전민족 대단결을 힘있게 추동하자면서 길에 한국노총 모든 조합원과 함께 하겠다 다짐했다.「歴史的な板門店宣言の中断のない履行のために、南北労働者の団結で全民族大団結を力強く推進しよう。その道に韓国労総すべての組合員と一緒にする」と宣言した。

201881118左からキム・ジュヨン韓国労総委員長、朴元淳ソウル市長、シュ・ヨンギル朝鮮職総委員長、キム・ミョンファン民主労総委員長

開会式ではさらに615共同宣言実践南側委員会のイ・チャンボク常任代表議長、615共同宣言実践北側委員会のヤン・チョルシク副委員長、ソウル市長の朴元淳(パク・ウォンスン)さんがあいさつをおこなった。

朴元淳ソウル市長は、「平和の気持ちをいっぱいに込めて、分断の境界線を越えてソウルに来られた朝鮮職総関係者の皆さんと北側代表団、選手団の皆さんにソウル市民を代表して熱い歓迎の挨拶を送る」としながら、「427日の歴史的な板門店宣言は、民族の和解と団結、平和と統一に進む門を再び開いた。しかし皆が一つの気持ち、同じ意向で平和を守るために努力しなければ、平和の時計が止まり、出会いが断絶する胸の痛い時間が再び訪れかねない」「私たちが経験した歴史的教訓を再確認し、再びこのような歴史の後退が繰り返されないよう多様な分野で連帯と協力を強化していかなければならない」と強調した。

20188119                         統一旗を掲げた応援団
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                           統一先鋒隊も陣取った

3万人の観客の中には、平和統一を願う応援団、全国キャラバンを繰り広げ自主統一平和大行進を終えたばかりの「統一先鋒隊」も陣取った。応援もワールドカップなどでよく聞く「テーハミング(大韓民国)」などではなく、「ウリヌン・ハナダ(我らは一つ)」などだった。途中から615合唱団を中心とした500人の大合唱団も観客席を埋め、北の歌や統一を願う歌などで南北両チームにエールを送った。

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さて試合は、第一試合が南の韓国労総チームvs.朝鮮職総建設労働者チーム、第二試合は南の民主労総vs.朝鮮職総軽工業チームの対戦。それぞれ熱戦が繰り広げられたが結果は第一試合が13、第二試合が02でいずれも北側が勝利した。

 

201881113                    南北の3つの労総委員長も熱戦に沸いた

경기를 마친 남북의 선수들은 악수를 나눈  포옹하고 서로를 격려했다.試合を終えた南北の選手たちは握手を交わした後、抱擁して、お互いを励ました。

남북의 선수들은 함께 운동장을 한바퀴 돌며 관객들에게 인사했고, 마지막까지 자리를 지킨 관객들은 함성으로 선수들을 맞았다.南北の選手たちは一緒に運動場を一周回って観客に挨拶し、最後まで席を守った観客は歓声で選手たちを迎えた。民主労総チームのミッドフィルダー、起亜自動車ミン・テイル選手は「私たちもそれなりの多くの準備をしたが、北朝鮮側の選手たちは本当に体力が良いようだ」と話した。 그는시합이 끝나고서 서로 손잡고 껴안는 와중에 가슴이 찡한, 뭉클한 마음들이 있었다면서통일이 된다면 정말 서로  헤쳐서 이겨나갈  있는  나라가 되지 않을까 그런 생각을 다시한번 했다 밝혔다.彼は「試合が終わって、互いに手を取り合って抱き締めるなか胸がジーンとした」「統一になれば、本当にお互いによく乗り越えて勝っていくことができる国ではないだろうか、そのような考えをもう一度した」(統一ニュース)と明らかにした。

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남북 노동자 3단체는 북측 대표단 숙소인 서울 광진구 그랜드워커힐호텔로 이동해 환송만찬을 열었다.南北労働者3団体は、北側代表団宿舎のグランドウォーカーヒルホテルに移動して歓送晩餐を開いた。

북측 대표단은 12 오전 전태일 열사와 이소선 여사, 문익환 목사가 잠들어 있는 경기도 남양주시 마석모란공원을 참배한다.北側代表団は12日午前、韓国民主労働運動の発火点となった全泰壱(チョン・テイル)氏と李小仙(イ・ソソン)オモニ、かつて統一を願い単独訪北した文益煥(ムニッカン)牧師が眠っている京畿道南楊州市の牡丹公園を参拝し、남측 양대 노총과 노동 3단체 사업협의 이후 오후 2 숙소를 떠나 북녘으로 향한다.南側二大労総と労働3団体間の今後の事業協議の後、北への帰途に就いた。

2018年6月14日 (木)

●6・12米朝首脳会談に対する東アジア市民連帯声明

朝鮮半島問題に取り組んできた市民団体、在日の権利のため取り組んできた市民団体、祖国の平和と統一のために取り組んできた在日団体など13団体で構成する<東アジア
市民連帯>が、6月12日の米朝首脳会談と米朝共同声明を歓迎する声明を発表しまし
たのでご紹介します。

 PDF版はこちらから 「2018.6.12米朝首脳会談に関する声明.pdf」をダウンロード

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           6・12米朝首脳会談と共同声明を歓迎する
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                                         (一)

 6月12日、アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領と朝鮮民主主義人民共和国(以
下、朝鮮)の金正恩国務委員長による史上初となる首脳会談が、シンガポールのセント
ーサ島で開かれた。午前10時過ぎ、全世界が注目する中、両首脳は笑顔で握手を交わし
初対面。続いて両首脳だけの会談、閣僚を交えた拡大会議、ワーキングランチが行われ
その後、米朝首脳による共同声明が発表された。

 共同声明は、両首脳が「新たな米朝関係確立と、朝鮮半島における永続的で強固な平
和体制構築に関連する問題をめぐり、包括的で掘り下げた、そして真摯な意見交換」を
行い、「トランプ大統領は朝鮮に安全の保証を提供することを誓約し、金正恩委員長は
朝鮮半島の完全な非核化に取り組む断固とした揺るぎない決意を再確認した」ことを明
らかにした。

 そして、両首脳は「新たな米朝関係の確立が朝鮮半島および世界の平和と繁栄に貢献
すると確信するとともに、相互の信頼醸成によって朝鮮半島の非核化を促進できる」と
の認識の上に、①米朝は新たな関係の確立に全力を挙げる、②米朝は朝鮮半島の永続的かつ安定した平和体制構築に向け共に努力する、③朝鮮は4・27板門店宣言を再確認し朝鮮半島の完全な非核化に全力で取り組む、④米朝は戦争捕虜・行方不明兵の遺骨収容と返還を全力で進める-の4項目を宣言した。また、その完全かつ迅速な実行のため可
能な限り早期にポンペオ米国務長官と対応する朝鮮高官による後続交渉を行うことも確
認された。

                                         (二)

 私たちは、6・12米朝首脳会談と共同声明を朝鮮半島の平和体制構築と非核化への歴
史的な第一歩として歓迎する。何よりも朝鮮民主主義人民共和国の建国から70年に渡り
砲火を交え銃口を向けあってきた米朝首脳が歴史上初めて対面し、両首脳の名によっ
て包括的な目標が示されたことは画期的である。

 共同声明の具体的実行および法的・制度的措置の確立は今後の後続交渉に委ねられることになるが、すでにトランプ大統領は会談直後の記者会見で、交渉継続中の米韓合同
軍事演習の中止なども表明しており、朝鮮側も主要なミサイルのエンジン試験施設の破
壊を約束したとされている。

 朝鮮側の報道によると、金正恩委員長は、朝鮮半島における恒久的で強固な平和体制
を構築のため、「差し当たり相手を刺激して敵視する軍事行動を中止する勇断から下す
べきだと語った。トランプ大統領はこれに理解を表し、朝米間に善意の対話が行われる
間、朝鮮側が挑発と見なす米韓合同軍事演習を中止し、朝鮮に対する安全保証を提供し
対話と協商を通じた関係改善が進むことに合わせて対朝鮮制裁を解除することができる
との意向を表明」したという。また「朝米両首脳は、朝鮮半島の平和と安定、朝鮮半島
の非核化を進める過程で段階別、同時行動原則を順守するのが重要であることについて
認識を共にした」という(6月13日朝鮮中央通信)。

 首脳会談の詳細な内容は明らかにされていないが、相互の信頼醸成に資する形で今後
の後続交渉が行われ、4項目の目標が速やかに実現されることを強く求めたい。

                        (三)

 私たちは、この間まったく蚊帳の外で右往左往してきた安倍政権が、拉致問題を政治
利用し日朝首脳会談を模索するポーズをとりながら、依然として朝鮮敵視政策をとり続
け、これを利用して軍拡の道を走り続けていることを厳しく糾弾したい。

 それを端的に示しているのが、米朝首脳会談が行われている最中の6月12日午後1時20
分に種子島宇宙センターから対朝鮮を主目的とした軍事偵察衛星を打ち上げていること
である。1基1千億円もする陸上配備型ミサイルシステム(イージスアショア)の配備予定
地とされる秋田・山口への説明も6月に入って行ない、さらに小野寺防衛相が現地に出
向くことも予定されている。平和の流れに逆行し、沖縄辺野古への新基地建設で8月に
は土砂を投入予定、オスプレイの全国的配備まで行おうとしている。

 安倍首相は、これまで拉致問題を日朝交渉の入口としてすべての上に置いてきた。
しかし、そのこと自体が日朝ピョンヤン宣言の歪曲であり、拉致問題を含め日朝関係が
一歩も進んでこなかった要因である。

 私たちは、日本政府が、米朝首脳会談で確認された朝鮮半島の平和体制構築と完全な
非核化実現のため積極的役割を果たし、日朝ピョンヤン宣言に基づき、不幸な過去の清
算を基礎とした日朝国交正常化交渉を速やかに再開することを強く要求する。拉致問題
もその中でこそ解決への道が開けるのである。

 私たち東アジア市民連帯は、6・12米朝首脳会談によって新たに切り開かれた情勢を
踏まえ、朝鮮半島の平和体制構築と非核化のために国際的な連帯を強め、日本の軍事大国化の道に反対し、日朝国交正常化の早期実現を目指していきたい。

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東アジア市民連帯構成団体(フォーラム平和・人権・環境、ピースボート、日韓つなが
り直しキャンペーン、日韓民衆連帯全国ネットワーク、「高校無償化」からの朝鮮学校
排除に反対する連絡会、村山首相談話を継承し発展させる会、東京朝鮮人強制連行真相
調査団、6・15共同宣言実践日本地域委員会、朝鮮学園を支援する全国ネットワーク、
朝鮮の自主的平和統一支持日本委員会、日本朝鮮学術教育交流協会、「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクションセンター(VAWW RAC)、全日本建設運輸連帯労働組合)
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2018年6月13日 (水)

●6・12米朝首脳共同声明全文(シンガポール)

米朝首脳共同声明の全文

 

アメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領と朝鮮民主主義人民共和国の金正恩国務委員長は2018年6月12日、シンガポールで初の歴史的な首脳会談を開いた。
 トランプ大統領と金正恩委員長は、新たな米朝関係確立と、朝鮮半島における永続的で強固な平和体制構築に関連する問題をめぐり、包括的で掘り下げた、そして真摯な意見交換を行った。トランプ大統領は朝鮮に安全の保証を提供することを誓約し、金正恩委員長は朝鮮半島の完全な非核化に取り組む断固とした揺るぎない決意を再確認した。
 新たな米朝関係の確立が朝鮮半島および世界の平和と繁栄に貢献すると確信するとともに、相互の信頼醸成によって朝鮮半島の非核化を促進できると認識し、トランプ大統領と金正恩委員長は以下を宣言する。
 1.米国と朝鮮は、平和と繁栄を求める両国民の望みに沿い、新たな関係の確立に全力を挙げる。
 2.米国と朝鮮は、朝鮮半島の永続的かつ安定した平和体制の構築に向け、共に努力する。
 3.朝鮮は2018年4月27日の板門店宣言を再確認し、朝鮮半島の完全な非核化に全力で取り組む。
 4.米国と朝鮮は、戦争捕虜・行方不明兵の遺骨の収容について、身元特定済みのものの即時返還を含め、全力で進める。
 史上初の米国と朝鮮の首脳会談が、数十年に及ぶ両国間の緊張と敵意を克服する上で、そして新しい未来を開くために、極めて重要な画期的出来事だという認識の下、トランプ大統領と金正恩委員長は、この共同声明の項目の完全かつ迅速な実行に全力を挙げる。米国と朝鮮は首脳会談の結果を実行するため、可能な限り早期にポンペオ米国務長官とそれに対応する朝鮮高官による後続交渉を行うと誓約する。
 ドナルド・トランプ米大統領と金正恩朝鮮国務委員長は、新たな米朝関係の発展、朝鮮半島と世界の平和、繁栄、安全の促進に向けて協力することにした。

      2018年6月12日 シンガポール・セントーサ島

アメリカ合衆国大統領              朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長         

    ドナルド・トランプ                                            金正恩 

 

2017年6月25日 (日)

●【詳報】6・11朝鮮半島と東アジアの平和 東京国際シンポ開く

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 611日午後、東京千代田区の中央大学駿河台記念館で「615南北共同宣17周年 国際シンポジウム 朝鮮半島と東アジア-平和への新たなステージへ」が開かれ約300人の人々が参加した。主催は、日韓ネットを含む13団体によって構成されている「東アジア市民連帯」。前日の10日にソウルで開催された国際シンポ「コリア国際平和フォーラム」(報告・発題別掲)と連動した取り組みでもある。

 

 最初にソウルシンポからとんぼ返りしたばかりの藤本泰成・平和フォーラム共同代表が「東アジア市民連帯」を代表して主催者あいさつ。続いて来賓あいさつを朝鮮最高人民会議代議員の南昇祐・朝鮮総聯副議長、615共同宣言実践南側委員会のハン・チュンモク常任代表が行った。

 南昇祐氏は、「米国の朝鮮敵視政策と世界最大規模の軍事演習で朝鮮半島は緊張状態にあるが、朝鮮の国防力強化と南の独裁政権の積弊清算時代の始まりにより、朝鮮半島の平和と北南関係改善の新たな希望が開けると確信している」と述べた。

 ハン・チュンモク氏は、「韓国のキャンドル革命は朴槿恵政権を打倒し文在寅政権を誕生させ変革への火を灯した。しかしこれは出発点に過ぎない。韓国民衆はこれを起点にこれまでの積弊を清算し、分断を克服して朝鮮半島の恒久的平和体制を構築する道を歩んでいくだろう」と力強く述べた。

P1010132_640x480                             藤本泰成さん
P1010137_640x480                              南昇祐さん
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                            ハン・チュンモクさん


 シンポジウムでは、纐纈厚・山口大学名誉教授がコーディネーターを務め【韓国】キム・ピョンギュ 反戦平和国民行動共同執行委員長・韓国進歩連帯反戦平和委員長、【朝鮮】李柄輝 朝鮮大学校文学歴史学部准教授、【カナダ】ミシェル・チョスドフスキー オタワ大学名誉教授(ソウルシンポと同じ・別掲)【中国】鄭己烈 中国清華大学客員教授(韓国人)【ロシア】キム・ヨンウン ロシア科学アカデミー極東問題研究所朝鮮問題研究センター上級研究員、【日本】浅井基文 大阪経法大客員教授・元外務省地域政策課長-の6人が発題を行った。

 

米国が強要する敵対政策の束縛から脱してこそ615時代が再び訪れる

 

韓国キム・ピョンギュさんは、「朝鮮半島は今すぐに戦争が起きてもおかしくない状況にある。この危機は12年のことではなく、朝米ジュネーブ合意や6者会談など解決の努力がなかったわけではないが、米国は対北敵対政策を放棄しないばかりかかえって強化し、周辺国もこれに追随したことが今日の状況を生み出している」「しかし、米国の対北敵対政策はこれ以上維持することが難しく、破産直前にある」「韓国ではキャンドル革命により政権交代を実現したが、米国の対北政策の束縛から脱しなければ615時代を再び迎えることはできない。今、韓国では『韓国のどこにもサードは要らない』というスローガンから『これが同盟か?サードを持って消えろ!』というスローガンに代わり、韓米同盟そのものを正そうという大衆運動が始まっている。韓国の人びとは文在寅政権が米国の圧力に耐えられるか心配しているが、結局615時代を再び開くことは韓国の統一運動陣営とキャンドル革命に立ち上がった人々が成すことでありその展望は楽観的に見ている。朝鮮半島と東アジアの平和のため関連国の皆さんとも連帯し共に闘っていきたい」と力強く述べた。

P1010158_640x480                キム・ピョンギュさん

 615共同宣言の今日的意義と朝鮮半島の平和と統一の行方

 

 朝鮮大学校の李柄輝(リ・ビョンフィ)さんは、「現在、朝鮮半島を覆う一触即発の危機はかつてない危険なレベルに達している。毎年春と夏に米韓合同軍事演習が繰り返されるが、その都度朝鮮側は防御に当たらなければならず、朝鮮側を疲弊させ体制転換を早めようという意図が込められている」「朝鮮半島は依然として停戦状態のままであり、米国の軍事力が増すほど朝鮮側の負担も増大する。このような状態が朝鮮をして核武装に至らせた」「そもそも朝鮮半島の南北分断は日本の敗戦に伴い、米ソの覇権争いとアジア民衆の脱植民地化の闘いの前進の狭間の中で、米国による利益線確保を目的として進められた。朝鮮半島でも全民族代表者の円卓会議が開かれるなど民族統一国家樹立のための脱植民地・自主的な動きが強まっていたが、南朝鮮単独選挙強行などで南北分断を固定化し、自主的な動きを押し潰し、こうして朝鮮戦争勃発。その後の停戦状態のまま今日に至っている」と指摘。こうした歴史と現状の中で「615共同宣言は、分断政府樹立以降の南北対話と統一運動の経験と教訓を踏まえた宣言であり、南北双方が排他的に正当性を主張し合う相克の関係から、「わが民族同士」の精神で、連邦制統一に向かって民族経済の均衡的発展と多方面の交流を進め、相互の信頼を築くことを謳っている。朝鮮半島の非核化も南北和解の推進とそれによる米国の政策変更を実現する長期的展望のなかで構想していく必要がある」として、615共同宣言の今日的意義を力説した。

P1010161_640x480                  リ・ビョンフィさん

 

東北アジアの平和と安全保障に関するロシアの見解

 

 ロシアのキム・ヨンウンさんは、ロシア政府の原則的立場を明らかにした。まずロシア政府の現代世界構造の認識について「多極化が進行し、グローバリゼーションが進んだ結果、世界の勢力と発展の潜在力の中心が分散しながらアジア太平洋地域にシフトすることにより、歴史的な西側勢力による経済と政治に対する支配が弱まっている」「中国・ロシア・インドなどのBRICsやそれに続く諸国の経済的発展により、米国のシェアはさらに縮小し、やがて中国に次ぐ第2位の地位に甘んじることになるだろう」と指摘。しかし、「西側の支配力の減少により、西側がその支配的地位を簡単に諦めるとは考えていない。この点で、将来の国際システムの基本原則を形成する過程で優位を占めようとする闘いが、現代の世界発展段階における重要な傾向になる」として、「平等で持続的な世界秩序の樹立」などロシア政府が打ち出している5つの優先事項を紹介した。

 その中で、朝鮮半島問題については「朝鮮、韓国との友好関係を維持し、緊張緩和と南北朝鮮の和解、相互協力関係の発展のために努力する。またロシアは一貫して朝鮮半島の非核化を支持し、6者会合を通じてそのために可能なすべての措置をとる」。しかし現在、「韓国が米国に追随し、サード(THAAD)の韓国配備で東アジアのパワーバランスが崩れ、ロシアも中国もこの地の軍備を増強しなければならなくなった」「米国は作戦計画5027など朝鮮半島での戦争計画をもっているが、ロシアの立場からしてもっとも重要な安全保障問題は、朝鮮戦争で戦った当事国である米韓と朝中の間で平和協定を結ぶことである。しかし、米国も韓国も平和協定を望んでいない。朝鮮半島の核問題は、米国にとってだけでなく、東北アジアのすべての国にとって平等な安全保障の脈絡でのみ解決できる。こうした点からロシアは朝鮮半島問題の解決過程に積極的に関与していくだろう」と立場を明らかにした。

 またコーディネーターの纐纈さんが質問した、現在の日ロ交渉で日本政府が返還要求しているいわゆる「北方領土」問題に関しては、「西ではNATOが拡大し、東では日韓に米軍基地が置かれており、日米安保体制の存在のもとで返還はありえない」と明言した。

P1010169_640x480                  キム・ヨンウンさん

朝鮮半島と東アジアの平和のために日本が果たすべき役割

 

 発題の最後は浅井基文さん。浅井さんは、まず共有すべき事実認識として「①朝鮮の核ミサイルは今や日韓の米軍基地を射程に収めていること、②また移動式のため事前に補足できず先制攻撃で破壊は不可能、③その攻撃目標も事前に把握不可能であり迎撃も不可能、④したがって第二の朝鮮戦争は悲惨な核戦争となり、その悲劇を防ぐ唯一の道は戦争という選択肢を完全に除外すること、⑤結論として朝鮮核問題の軍事的解決はあり得ず外交的解決のみがあり得る」点を指摘した。その上で「安倍政権は愚かにもトランプ米政権の軍事的選択肢を含む『すべての選択肢』発言を歓迎したが、トランプ米政権も軍事的選択肢があり得ないことを認めざるを得なくなっている」「日本人の多くは安倍政権のまき散らす『北朝鮮脅威論』に影響されている現実がある」とし、「まずは朝鮮半島の緊張原因が何であるかを正しく認識する必要がある。朝鮮の核ミサイル開発を支持するものではないが、朝鮮戦争以来今日まで一貫して米国の核の脅威にさらされ続けてきたことが、朝鮮が核ミサイル開発、核抑止力構築に必死にならざるを得なかったことは理解する。ここでとくに軍事常識のイロハとして私たちが踏まえておくべきことは、朝鮮の核ミサイル能力はあくまでも『抑止力』であって『脅威』とは別だということ。もし朝鮮が仮に先制攻撃を行えば、次の瞬間に米韓の総攻撃で朝鮮は壊滅に追い込まれる。朝鮮が先手を取って「攻撃する意思」はあり得ず、従って『脅威』ではあり得ない所以である。むしろ米韓の先制攻撃に対する『抑止力』としてのみ有効で、3頭の猛獣(米日韓)に取り囲まれて全身を逆立て身構えるハリネズミ(朝鮮)のようなものだ」。そして私たちの課題として、「①安倍政権の振りまく『北朝鮮脅威論』『北朝鮮悪玉論』のカベを取り払うべく全力で取り組むこと、②米日韓の対朝鮮政策こそが朝鮮半島の平和を脅かす原因であることをハッキリさせること、③トランプ米政権及び文在寅韓国政権の新しい朝鮮政策の可能性を積極的に評価し、安倍政権の敵視政策を孤立させなければならない。トランプはイデオロギーとは無縁で損得勘定で判断する危なっかしさが付きまとっているが、その分これまでの政権とは違ったアプローチをとる可能性がある」などと提起した。

P1010175_640x480                  浅井基文さん
P1010164_640x480               ミシェル・チョスドフスキーさん
P1010167_640x480                    鄭己烈さん
P1010178_640x480                    纐纈厚さん

 各発題を受け、コーディネーターの纐纈厚さんが中間まとめを行い、さらに各シンポジストに的確な質問を投げかけて、引き締まった、より深まった討論の場となった。

 

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 シンポは最後にアピールを会場の参加者全体で採択して終了した。

.11東京国際シンポジウム アピール

 いま朝鮮半島は戦争の危機に直面しています。トランプ政権や安倍政権、そしてマスメディアも、その責任のすべてを朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)に転嫁しています。しかし、北朝鮮が核・ミサイル開発に突き進んだのは、米国が朝鮮戦争の停戦協定を平和協定に転換することを拒否し、核先制攻撃戦略に基づく米韓合同軍事演習を強行するなど、北朝鮮に対し対話せずに圧力だけを強めてきたからです。

私たちは、世界中のどの国による核開発にも戦争挑発にも反対します。そして、朝鮮半島における軍事緊張の当事者は米国と朝鮮です。私たちは、米朝両国が前提条件をつけずに平和協定の締結に向けた対話のテーブルに着くよう要求します。

 トランプ政権に追随して「北の脅威」をあおっているのが安倍政権です。その狙いは、安倍政権自体、安倍首相自身が抱える問題から国民の目を逸らすためだけではありません。「共謀罪」の法制化で国民監視体制を敷くことと合わせて、国民の統合策とし、さらには戦争への国民動員策とするためです。あるいは、北朝鮮を敵とみなし敵基地攻撃能力保有の必要性を強調することにより、憲法9条を改廃するとの狙いも潜ませています。私たちは、平和憲法の柱である9条を破壊しようとする安倍政権の暴走を断じて許しません。

 朝鮮半島では、北の人民も南の民衆も、対決ではなく対話を、戦争ではなく平和を心から願っています。その南北間には2000年6月に両首脳が署名した6.15南北共同宣言があります。韓国に文在寅民主政権が誕生したいまこそ、南北が対話し交流し協力し合い、6.15共同宣言の実践に向けて歩み出すことを希望します。

 私たちは、シンポジウムを通じて、制裁や圧力では問題が解決しないこと、また、周辺各国は、いたずらに朝鮮を危険視するのではなく、北と南が対等な立場に立って自主的に話し合えるよう、環境整備に寄与すべきだということを理解しました。そして、朝鮮半島を初めとした東アジアに平和を築き上げるためのヒントが提示されたことも互いに確認しました。

 私たちは、朝鮮半島の平和を、そして東アジアの平和を心から望んでいます。20世紀は戦争の世紀でしたが、私たちには21世紀を平和の世紀とする責務があります。

 韓国の文在寅民主政権誕生を契機として、東アジア全域を直面する戦争の危機から平和へのステージに作り変えましょう。シンポジウムで得た貴重な種子をそれぞれの持ち場に持ち帰り、平和の花を咲かせましょう。

2017年6月18日 (日)

●【詳報】6・10ソウル国際シンポ「コリア国際平和フォーラム」を開催

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610日、ソウルの韓国国会議員会館で「コリア国際平和フォーラム(KIPF)」が開かれた。このKIPFは日本や米国などと韓国の平和団体の交流と連帯の歴史を踏まえ、2013727日、ソウルで開かれた朝鮮戦争停戦協定60年「国際平和大会」で結成しようと決議されていたもの。

 

そして今年、韓国側から「特に、サ(THAAD)配備の問題は朝鮮半島のみならず米と中ロシアの対立に拡がっており、日本は朝鮮半島の軍事的決を利用し、軍事大国化の道を歩み始めています。このような時に、際平和運動勢力との連帯と共同の闘いは、朝鮮半島の恒久的平和を現するのに決定的な力となるでしょう。今年、87年民主化30キャンドル市民革命により朝鮮半島の激動期を迎えているこの時期に、コリアの平和のためのソウル際フォラムを開催しよう」との呼びかけを受け開かれた。

 

 

【主催】キム・ジョンフン議員、独立有功者遺族会、ソウル進歩連帯、ソウル平和会議、良心囚後援会、全国大学民主同門会協議会、全国民主労働組合総連盟(民主労総)、反戦平和国民行動、チョン・ドンヨン議員、平和3000、統一の道、韓国労働組合総連盟(韓国労総)、朝鮮戦争前後民間人犠牲者全国遺族会、韓国進歩連帯、6.15言論本部、6.15学術本部、KIPFKorea International Peace Forum

 

【後援】6月民主抗争30周年事業推進委員会、6.15共同宣言実践南側委員会、インターネット言論「民」プラス、サード配備阻止全国行動

 

 

日本からは、藤本泰成・平和フォーラム共同代表、渡辺健樹・日韓ネット共同代表、山元一英・日韓平和連帯(大阪)共同代表をはじめ各団体から9人が参加した。また海外からのスピーカーとして、ミシェル・チョスドフスキー・オタワ大学名誉教授、シオン・レイ中国人民大学教授、ヨーイチ・シマヅ中国清華大学教員なども一堂に会した。

 

 

フォーラムでははじめにキム・サムリョル(独立有功者遺族会代表・KIPF共同代表)、キム・ジョンフン国会議員が主催者を代表して挨拶を行った。

 

20170611_2                 チョスドフスキー氏

続いて、以下の発題と討論発表が行われた。【別掲で発題全文掲載】

 

【発題①】韓国の政権交代 第二の太陽政策 非武装化と平和プロセス

 

         ミシェル・チョスドフスキー オタワ大学名誉教授

       http://nikkan-net.cocolog-nifty.com/blog/2017/06/post-9ef1.html

 

【発題②】朝鮮半島の恒久的平和体制に移行する激変期の情勢と闘争課題

 

         ハン・チュンモク 韓国進歩連帯常任代表

       http://nikkan-net.cocolog-nifty.com/blog/2017/06/post-a304.html

 

【発題③】朝鮮半島平和プロセスの利害当事者とトラブルメーカー

 

         シオン・レイ 中国人民大学教授

       http://nikkan-net.cocolog-nifty.com/blog/2017/06/post-1c0e.html

 

【発題④】米韓の政権交代と安倍政権の動向、日本平和勢力の課題

 

         渡辺 健樹 日韓民衆連帯全国ネットワーク共同代表

       http://nikkan-net.cocolog-nifty.com/blog/2017/06/post-755e.html

 

 

4人の発題を受け、休憩後、韓国のTHAAD反対闘争の映像が流され、続いて討論に移った。

 

【討論①】日本社会の右傾化-暴走する安倍政権 

 

藤本 泰成 フォーラム平和・人権・環境共同代表

 

【討論②】東アジアの平和構築の現況

 

         山元 一英 日韓平和連帯共同体表

 

【討論③】サードの裏に隠された狙い-朝鮮半島非核化を「撃墜」

 

         ヨーイチ・シマヅ 中国清華大学教員(日系米国人)

 

【討論④】韓国のサード配備阻止運動の意義と展望

 

         キム・ピョンギュ 戦争反対平和実現国民行動共同執行委員長

 

 

 

討論の全体としては、トランプ米新政権の対朝鮮半島政策に対する分析と対応策、キャンドル革命を背景とした韓国新政権の展望、そしてその中での日本の安倍政権の動向などついて論議が集中し、いまや朝鮮半島の平和をめぐり決定的な分岐点に入ってきていること、サードの韓国配備反対をはじめ今後の朝鮮半島の恒久的平和体制構築に向けた課題について確認した。

 

 

 

876月民衆抗争30周年 民族民主烈士追慕祭などに参加

 

6/9】今回、私たち東京・大阪の日本訪問団は9日にソウルで合流し、韓国の仲間たちや先乗りしていたチョスドフスキーさんらその他の海外組とも合流。その後、私たちの歓迎も兼ねた韓国民主化運動・平和統一運動の記念祝賀宴にも合流した。

 

ここでは、日本政府の朝鮮学校への「無償化」差別に反対する金曜行動の場と化した。金曜行動とは日本政府の朝鮮学校への「無償化」差別に反対して東京・文科省前で朝鮮学校生徒や「無償化連絡会」の人たちなどにより毎週金曜日に取り組まれているもので、ソウルでもこれに連帯して韓国の「ウリハッキョと子供たちを守る市民の会」が日本大使館前で毎週金曜日に取り組んできた。今回は大使館前ではないが、集まった韓国の人びと、チョスドフスキーさんや日本からの訪問団もバナーを掲げて意思表示した。

 

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6/10】翌10日、前述のコリア国際平和フォーラムを終えた一行は、ソウル市庁舎前で開かれた876月民衆抗争30周年 民族民主烈士追慕祭に参加した。

 

我々は、フォーラムとの時間の関係で文在寅大統領の記念演説には立ち会えなかったが、文在寅大統領は「歴史を変えた2人の青年、朴鍾哲と李漢烈を永遠に記憶する」と述べ、「6月抗争とキャンドル集会を通じ、民主主義を継承してきた市民こそ、歴史の主人公」、キャンドル革命は「未完の6月抗争」の完成を求めているとし、「制度としての民主主義が後退することは、もうない」と強調したという。

 

追慕会終了後、参加者全員が正面に掲げられた民主化闘争・平和統一闘争のなかで斃れた烈士の遺影に献花し、新たな闘いへの決意を固めていた。

 

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  日本訪問団の東京組は、翌11日早朝、東京で予定されている611東京シンポのためとんぼ返りした(韓国ゲストとチョスドフスキーさんも)

 

 【ソウルシンポ発題】ハン・チュンモク韓国進歩連帯常任代表

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朝鮮半島の恒久的平和体制に移行する激変期の情勢と闘争課題

 

ハン・チュンモク

韓国進歩連帯常任代表

 

 

朝鮮半島情勢の特徴 : 朝鮮半島の軍事的対立が構造的に激化しつつ、決定的な分岐点に差しかかっている。

 

北の核、ミサイル能力が高度化し、これまでの軍事オプションが事実上失われ、対北政策の転   換を迫られる米国 トランプ政権が登場し、対北政策の新たな基調を発表

 

 オバマ政権が「戦略的忍耐」で滞っていた間に、北の米本土に向けた核攻撃能力は格段に向上した。北は5回の核実験を経て、核頭の小型化、多種化、標準化の段階に入ったことを明らかにし、固体燃料、移動式発射台、大気圏突入技術など、ミサイル攻撃能力も向上し続けている。

―朝鮮半島の軍事的対立は構造的に激化し、相手への先制攻、報復能力が向上する中で、米国の対軍事オプションが失われ、米朝間の激突は決定的な分岐点に差しかかっている。

これまでの制裁や体制崩壊政策の失敗が明確になる中、政策換に迫られたトランプ政権は原子力空母などを朝鮮半島の東海に展開させることを発表、4月には先制打撃論までちらつかせながら、朝鮮半島の戦争危機説をあおり、軍事的決を激化させた。

426日、米国上院議員の全員をホワイトハウスに招き、新たな対政策の合同ブリーフィングを行った。また、この会合後にはティラソン務長官、マティス防長官、コ家情報長官が共同明を表し、「北朝鮮の核、ミサイル発射実験を断念させるためのこれまでの努力は失敗に終わった」として「戦略的忍耐」政策破棄を宣言し、北朝鮮は「家の安全保障にとって差し迫った脅威」と見なし、外交上の最優先課題とした。

さらに、経済制裁を、同盟国など域内パートナーの外交的手段で圧力をかける方針を示し、中国が役割を果たすことを強く求めた。また、「国は朝鮮半島の安定と平和な非核化を追求する。われわれはその目標のために、交渉のドアはオープンになっている」と強調した。

53日、ティラーソン国務長官は「北朝鮮の政権交代や体制の崩壊、朝鮮半島の統一を加速化させようとするものではない」と言及。 

―トランプ政権は現段階において、北への経済制裁による「最大の圧迫」を行いつつも、これまでのオバマ政権とは異なり政権交代や体制崩壊の意思はないことを明らかにし、渉もオープンにしていくものと思われる。 

 

米朝間で半官半民の接触が始まる 

 

 58日日、オランダで米朝の1.5トラック[半官半民]の接触があった。北朝鮮外務省のチェ・ソンヒ北米局長と「ニュー・アメリカ財団」のスザンヌ・デマジオ上級研究員が会合した。 

 会合のあった59日、日本のマスコミは一斉に、トランプ大統領が北の核放棄を条件に米朝首脳会談を提案したと報道した。日本のマスコミでは、トランプ政権が首脳会談を提案しながら、体制の換は求めない、金正恩政権の崩壊は追求しない、南北統一を加速化させない、米軍は38度線を越えて北上しない、などの原則を伝えたと報道され、一連の変化がみてとれる。 

トランプ大統領は最近金正恩委員長について、「権力を良く掌握している」としながら「適切な環境で会えるなら光栄だ」とも述べている。 

 

○ 米朝対決の臨界点に達しつつあり、朝鮮半島の冷戦、戦争構造の解体を早め、拡げていく作   業が必要だ。 

 

―北側の核、ミサイル能力は高度化を続けている。昨年4,000km級中距離ミサイル射実験に成功し、最近では6,0008,000km級ミサイル射実験、大気圏突入に成功している。移動式技術、固体燃料技術などの機動性、安定性も高度化していると評価されている。米本土に向けた攻撃 能力の現実化が超スピードで進んでいる。

―トランプ政権は、これまでの「戦略的忍耐」政策の失敗をハッキリ知っている。

―長期にわたる消耗する政権崩壊策や体制換の意思はないということを明らかにし、「核、ミサイルの放棄」という目標に集中する模様。最近は、「開発中断」による「再開」まで述べられている。 

 渉による平和的解決 vs 軍事的方法による戦争の現実化という鋭い対立点から、対話か戦争かという決の最終段階に入っている。渉が本格化する時まで、北のミサイル射は続くだろうし、国もまた対制裁の、軍事的デモンストレーションなど、強硬策に注力するだろう。 

 もし、交渉が始まれば、過去の「段階的合意」よりも「包括的で戦略的合意」に達する蓋然性が高く、そうなれば、長期間の米国の朝鮮半島への介入や支配政策に決定的打撃になるだろう。この過程で、米軍の駐留問題、韓米同盟の性格などをめぐり、韓会の内部で保守勢力との厳しい決局面も予想される。 

 

 トランプ対北政策の限界と朝鮮半島平和体制の樹立

 

 トランプの政策は、非軍事的迫による北の核問題解決であり、オバマの「戦略的忍耐」と本質的にはそれほど変わらない。ただ、違いがあるとすれば、中国を巻き込んで圧迫のレベルを最大限高めているということ、またオバマ政権に比べ、国にはそれほど時間的余裕がないということだ。 

 国も北朝鮮の非核化に共通の利害係があるので一定程度、北圧力に協調しているが、北との係を破局に持ち込むほど圧力レベルを高めることは出来ないだろう。したがって、国による圧力や国の様々な圧迫により、北の核ミサイル能力化を阻止することは出来ないだろう。

 北は核強国の地位を固め、その力を基礎に米国との平和体制を樹立させようとしているのが明確なので、スピーディーに核ミサイル能力の化を図るだろう。

 このようなところから短期的にみると、朝鮮半島の軍事的危機は極度に高まる可能性が高いが、北の米国本土に向けた攻撃能力が完成され確認されれば、米国は否応なしに戦争か平和か、二者択一を迫られるだろう。また、このような状況になれば、核凍結と平和協定の締結は現実の問題となるに違いない。

 

○ 今は韓国社会の矛盾の根源が崩壊しつつある歴史的転換であり激変期である。 

 

 今は韓会の漆黒の根源である体制が崩壊していく換期であり、断と外国勢力に寄生し、会を支配してきた親米保守勢力の支配基盤が倒れていく激変期だ。

 核ミサイル能力急速されるにつれ体制解体平和体制樹立をめぐる米朝終着点かってんでいる。また、朴槿恵の国政私有化に怒り立ちあがったキャンドル抗争は、積もり積もった過去の弊害と社会の大改革闘争へ進み、数十年間韓国を支配してきた親米保守勢力の権力基盤を弱体化させながら民主的革を進めている。

 今はこのような二つの化が交差しながら展し、会の矛盾の根本的解決に向かう激変期であり換期である。 

 

 キャンドル抗争の意義とムン・ジェイン(文在寅)政権のスタート

 

  キャンドル抗争は、保守独裁政権による反民主的、反民衆的弊害を算し、実質的に国民主権を現するための民主的運動だ。これは、朴槿恵退陣と逮捕により第1段階を勝利で結び、大統領選挙で文在寅政権を打ち立てることにより第2段階を越えた。そして、実質的な積弊算と会の大改革完成という第3段階に差しかかっている。

  文在寅政権は、金大中、盧武鉉権と登場とはその性格が異なる。金大中、盧武鉉権が保守の強い政治的基盤のもとで発足したとすれば、文在寅政権はキャンドル抗争により保守の政治的基盤が急速に瓦解している状況で作られ、積弊算と社会の大改革という国民的要求と支持を基に打ち立てられた。したがって、文在寅政権をキャンドルの力と切り離してみることは出来ない。

  キャンドル抗争は韓会を支配してきた保守の政治的権力基盤を弱体化させ、反民主的な積弊算を行い実質的民主化により韓国の民主的展を成し遂げるという意味では大きな歴史的意義があるが、革の根本課題である自主的革へと展できていないという限界がある。

― したがって、文在寅政権が積弊の中の積弊である断による積弊を清算し、朝鮮半島の恒久的平和体制を構築する道に進むよう国民的抵抗と闘いを続けて行かなければならない。南係を改善、展させ続けることこそ、朝鮮半島平和構築の重要な要素となる。

 

自主統一運動の全盛期を開き、反戦平和運動と反米自主化運動を高めて、朝鮮半島の  平和体制を打ち立てよう

 

  米朝決が最終段階に差しかかると危機が高まり、危機が高まるほど平和を守るための反平和闘争と南北係の改善、自主統一闘争はさらに重要となる。朝鮮半島の平和を守り、自主化を成し遂げ、韓国社会の民主的革を完成させるための中心的課題は、平和体制を打ち立てることだ。このためにも反平和運動を化し、自主統一運動の新たな全盛期を切り開くことが求められている。 

  自主統一運動の核心は、こう着状態にある南北係を改善し、話と交流を通じて和解協力の時代を切り開くものになるべきだ。そして、キャンドル抗争で文在寅政権が誕生した有利な状況に合わせ、祖国統一闘争は大胆に進めなければならない。 

  平和運動は、根本的に停体制を終息させ、恒久的平和体制を樹立することを目標に進めるべきだ。このようなところから、軍事訓練の中断とサド配備撤回を求める闘いを進めつつ、それが平和体制樹立の闘いに結びつけ、平和体制樹立運動を反平和運動の中心に据えなければならない。 

  そして、南北係の改善(ケソン/開城工業団地の再稼働、金剛山観光の再開、全民族大会、交流協力の活性化、6.1510.4宣言の履行)、平和協定締結、軍事訓練の中止、サド配備の撤回、敵対政策の撤回と再開のための闘いを適切に配置して進めるべきだろう。特に、新政権のもとで南北改善の活動を強めることが必要だ。

 

朝鮮半島の恒久的平和体制実現のために、強力な国際連帯、平和闘争を進めよう

 

―朝鮮半島の平和は東アジアの平和、世界平和を現するためにも重要だ。したがって朝鮮半島の  平和は南と北、米朝間の対決と交渉のみで解決するのではなく、国際的な平和連帯を通じて、各国政府に圧力をかけ牽引するとき実現可能なものとなっていく。

国際的な平和運動を通じてサド配備の撤回、韓米合同軍事訓練の中断と米国の対北敵視 政策の破棄が行われなければならない。また、北の核凍結、非拡散に応じた形で、話と渉による平和協定の締結が現されなければならない。

 

<本日の「コリア国際平和フォーラム」を機に、朝鮮半島の恒久的平和実現のために国際共同行動をご提案します。具体的には今年815日、ソウルで行われる南と、海外同胞が共に集う民族共同行事に合わせ、アジアと世界平和の実現を願う心を込めて、世界中で ‘2017.8.15. One Korea Peace Day’‘ とコリア平和実現のための国際宣言と共同キャンペンを行おうということを提案したいと思います。>

 

朝鮮半島の恒久的平和を現しようとするわれわれの闘いは、東アジアの平和、世界の平和と繁栄の礎になるという確信と共に、各国の現場で孤軍奮闘される参加者皆様に改めて敬意と感謝を表する次第です。

 【ソウルシンポ発題】渡辺 健樹 日韓ネット共同代表

米韓の政権交代と安倍政権の動向、日本平和勢力の課題

―朝鮮半島の緊迫に乗じて目的の達成狙う安倍政権―

 

渡辺 健樹(日韓民衆連帯全国ネットワーク共同代表)

 

*本稿では大韓民国は韓国、朝鮮民主主義人民共和国は朝鮮と略称を用います

(1)はじめに                                         19205141_1510915482314061_181441541

 朝鮮半島をめぐる一触即発の軍事緊張は引き続き続いているが、米・日・韓(代行)政権やマスメディアが喧伝していた「4月戦争危機」が過ぎ、新たな変化の兆しが生まれつつあると思われる。

 トランプ米新政権は、「(オバマ前政権の)戦略的忍耐の時代は終わった」としながら軍事攻撃を含む「すべての選択肢はテーブルの上にある」としていた段階から、4月末以降、対朝鮮4大方針」(朝鮮を核保有国として認めない、②全ての制裁と圧力を加える、③朝鮮の政権交代を推進しない、④最終的には対話で問題を解決する)4つの『しない』原則」(朝鮮の政権交代、②政権崩壊、③統一の加速化を目標とせず、④38線を越えて北上する口実を探すこともしない)、「適切な状況下であれば金正恩委員長と会う。そうできれば光栄だ(トランプ)」等々の表明がなされている。これをどう評価し、どう対処していくのか。オバマ政権の「戦略的忍耐」のもとでは米国の朝鮮半島問題に対する政策順位は低かったが、トランプ政権がICBM獲得目前の朝鮮の核・ミサイル問題が差し迫った安全保障上の脅威、外交の最優先課題」としている今が情勢変革への大きなチャンスとも言えるのではないか

 何よりも韓国民衆がキャンドル行動の巨大なうねりを背景として政権交代を実現したことは、朝鮮半島と東アジアの平和に向けた新たな情勢変革に大きな希望をもたらしている。

この場を借りて、あらためて韓国民衆のこの間の闘いに心からの敬意と連帯の挨拶を送りたい。

 

(2)朝鮮半島の緊迫に乗じ「戦争国家」の道ひた走る日本・安倍政権

 

 「変化の兆し」の中に日本を入れられないことには忸怩(じくじ)たる思いがあるが、この間の日本・安倍政権の動向について見ていきたい。

 ①真っ先にトランプ新政権にすり寄り、対朝鮮圧力強化の旗振り

 安倍首相は世界各国の首脳に先駆けて大統領当選直後のトランプ氏詣でを行い(2016.11.18)、また大統領就任直後にも真っ先に日米首脳会談を行った(2017.2.10)

 大統領選期間中にトランプ氏が、「撤退」までちらつかせて在日・在韓を含む在外米軍駐留経費の負担増要求を繰り返していたこと、TPP離脱や対日貿易赤字を槍玉に挙げていたこと、韓国のキャンドル革命の進行-などで不安が生じていたためだが、米側が先行してマティス国防長官を初外遊先として韓国・日本(2017.2.24)に送るなど、あらためて米日韓軍事同盟の継続・強化を再確認し、対朝鮮圧迫政策でも連携を確認するに至った。

 その後、史上最大規模の米韓合同軍事演習を背景に、45日の朝鮮による弾道ミサイル発射実験を受けた日米首脳の電話会談(4/6)で、トランプ大統領は、翌7日から予定されていた米中首脳会談をもにらみ、「(軍事攻撃を含む)すべての選択肢はテーブルの上にある」と表明、安倍首相はこれを「力強い発言」と高く評価し、朝鮮への圧迫で連携を強めることを確認した。

 翌7日には、「必要とあれば軍事攻撃も辞さず」のデモンストレーショ(demonstration)して、米中首脳会談の最中に、敢えて行われた米軍のシリア政府軍へのトマホーク攻撃に対しても、安倍首相は「化学兵器の使用と拡散を許さないとの米国の決意を支持する」といち早く表明した。

 また413日の参議院外交防衛委員会で安倍首相は、朝鮮が「サリンを弾頭に装着し着弾させる能力をすでに保有している可能性がある」と根拠不明の発言も行っている。

 さらに52627日、イタリアのシチリアで行われたG7首脳会合(サミット)では、事前に日米首脳会談を持ち「朝鮮問題が国際的優先事項」だとして、温度差のあるヨーロッパ各国首脳を議論に巻き込み、安倍首相は「今は対話のための条件が整うには程遠い。国際社会は連帯して圧力を加えるべき」だと強調した。

この安倍発言に対しては、同日ロシアで行われていた中ロ外相会談で取り上げられ、中国の王毅外相は、「問題解決にあまり前向きではない」「対話の足をひっぱらないように望む」とクギをさした。ロシアのラブロフ外相も、軍事的な圧力ではなく、政治的解決を目指すべきだと強調した上で、「日本を含むすべての当事国が、これ以外の解決はありえないことを認識してほしい」と指摘した。

 韓国の文在寅新政権に対しては、特使の訪日がなされたが、今のところ様子見の段階だろう。

しかし、安倍首相としてはトランプと連携し国際的な対朝鮮圧力強化の旗を振ることで、対話重視の文在寅新政権に対しても強く牽制する意図を込めていることは明らかだ。

 ②危機煽りの大衆動員キャンペーン

 こうして安倍政権が自ら率先して危機煽りの旗振りを行っている中で、新聞・雑誌はもとよりTVでもワイドショー番組を含めほぼ一日中と言ってよいほどこの問題が取り上げられてきた。

 さらに今年3月、政府は秋田県男鹿市で朝鮮のミサイル着弾を想定した住民避難訓練を行っていたが、421日、都道府県の危機管理担当者を集めた説明会で、朝鮮の弾道ミサイルの着弾を想定した住民避難訓練を行うよう要請。国民には着弾情報が流れた場合の行動として、(1)頑丈な建物や地下街への避難、(2)適当な建物がない場合、物陰に隠れるか地面に伏せる、(3)屋内ではできるだけ窓から離れるか、窓のない部屋に移る-などを示した。

 そして、429日には朝鮮の弾道ミサイル発射の報道を受け、東京メトロ(地下鉄)と東武鉄道、JR北陸新幹線などが一時運転を見合わせるなどの事態も起きている。

 真っ先に標的となる在日米軍基地はそのままに(沖縄では辺野古新基地建設を強行し)、原発の再稼働を推し進め、「対話より圧力」などと唱える安倍政権に国民の安全のため平和な環境を築こうという意思は見られない。そこには安倍政権の邪(よこしま)な意図が存在している。この間にもTVの生中継等で韓国の人たちが全く普通の生活をしている姿が流され、韓国の人々から「日本の異常な動き」「安倍政権の作為」への強い懐疑の声が伝えられたが、そう感じるのは当然だろう。この滑稽ともいえる動きには日本国内でも多くの批判が挙がっている。

 ③進む「戦争国家」化政策

 【改定日米ACSA、改定日豪ACSA、日英ACSA】こうした朝鮮半島の緊迫に乗じて、414日、参議院本会議で改定・日米(軍事)物品役務相互提供協定(ACSA)と改定・日豪ACSA、日英ACSA新規締結が与党などの賛成多数で可決・承認された。

 これは、安保法制(戦争法)(2015.9.19強行可決)に基づく集団的自衛権行使を拡大するものであり、それまでは日本が直接攻撃を受けない限り、米軍への弾薬提供等は禁止されていたが、これにより自衛隊は米軍への弾薬提供、発進準備中の戦闘機への給油、水その他軍需物資の提供が可能となる。また米英豪3カ国と日本との間の軍事協力を体制面から一層強化し、自衛隊の世界展開に資するものとなる。協定実施後、海上自衛隊は欧州や米国へ向かう場合、これらの国々と作戦物資の調節を行うことができるようになり、また、NATO加盟国と武器基準を統一することで一層の軍事力強化の機会を得るなど、長期的には日本の自立的展開への野心も込められていると言えよう。

 【「米艦防護」・日米合同訓練】これも集団的自衛権行使の拡大の一環として、カールビンソン空母機動部隊が日本海(東海)に展開し対朝鮮軍事圧力を強めている最中の51日から、海上自衛隊最大のヘリ搭載艦「いずも」(事実上ヘリ空母)を日本の太平洋側の千葉県房総沖から四国沖まで米軍の補給艦に対する初の「米艦防護」任務に就かせ、既成事実化を図った。戦争法の「(米軍その他の外国軍の)武器等防護」規定に基づくもので、外国軍の艦船・航空機・武器・弾薬などを防護するため自衛隊は武器使用も可能となった。万一、米軍が対朝鮮武力行使を行えば自衛隊も「米艦防護」のために自動的に参戦することになりかねない。

 これに先立ち、朝鮮半島に向けて航行中のカールビンソンと自衛艦との合同軍事演習も実施されている。この間、B1、B2戦略爆撃機が朝鮮への威嚇のために飛来するや航空自衛隊機との合同訓練も行われてきた。また日韓「慰安婦」合意や日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)締結などを受け、対潜水艦などの日米韓の三か国合同軍事演習も実施されるようになってきた。

 こうした雰囲気を背景に、自民党国防部会が、巡航ミサイルなど「敵基地攻撃能力」の保有の早期検討の提言を行うなど、政府・自民党内で「敵基地攻撃」論も活発化し始めている。

 【「共謀罪」法案を強行】「戦争のできる国」作りの上で「国民監視社会」作りも深く結びついている。近代刑法は犯罪の実行行為に対して処罰することが原則だが、同法案の本質は、犯罪が起こっていない段階で2人以上が犯罪を「計画」し「準備」したと、すなわち「犯罪を相談しているらしい」と捜査機関がみなせば捜査が開始され、処罰されるという現代版治安維持法というべきものである。518日には、国連人権理事会が任命した国連プライバシー権に関する特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏からも、本法案がプライバシー権や表現の自由に対する過度の制限になると強く懸念する書簡が安倍首相に送られている。すでに衆議院では自民党・公明党・日本維新の会などの賛成多数で強行採決され、529日参議院で審議に入っており、当面の最大の焦点となっている。

 

(3)安倍首相「2020年施行めざし憲法9条の改定」を宣言

 

 さらに安倍首相は、今年53日の憲法施行70周年の記念日に、改憲派の集会にビデオメッセージを寄せ、憲法9条第1項、第2()はそのままに第3項を新設し自衛隊を明記する改憲案を自ら提起し、2020年には「改正憲法」を施行するよう呼び掛けた。

 ()日本国憲法第9(戦争の放棄、軍備及び交戦権の否認)

1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 これまでの自民党改憲草案では、上記の9条第2項を修正し国防軍を明記することが謳われてきたが、今回の安倍提案はこれとも異なるものである。

 この間、改憲に向けた議論や宣伝がさまざま行われ、世論調査でも9条を除く他項目で改憲賛成が増加してきたが、9条に関しては改憲反対が常に多数を占めてきた。だから、本丸である9条はとりあえず横に置き、9条以外の項目の改憲から手を付けようとする試みがなされてきた。

 今回の安倍提案は、①朝鮮半島をめぐる緊迫した情勢を最大限利用し、②連立政権を組む公明党が9条改憲に慎重で、また改憲ではなく足りない部分を加える「加憲」を唱えてきたことからこれにすり寄ることで取り込みを図り、またあわよくば民進党内の右派をも取り込み、③2020年の東京五輪、天皇の譲位などの「祝賀ムード」も利用して、最長2021年まで(自民党規約改定で総裁任期を2期から3期まで延長。他方首相に任期の制限はない)の自分の任期内に9条改憲に手を付けようという正面突破の宣言である。

 加えて、安倍首相がこの提案を今出してきた理由の一つには、「森友学園」「加計学園」問題という安倍夫妻自身が深く関わり、安倍政権を直撃している一大スキャンダルから国民の目をそらし、政権の求心力を維持・強化しようという思惑もある。

 安倍首相は、自民党に年内の改憲案取りまとめを指示し党内の結束を呼びかけた。

ちなみに自衛隊の存在に限れば、世論調査でも「必要」とする意見が多数となるが、それは憲法9条の存在ゆえに本格的な戦争への参戦経験がなく、もっぱら災害救助活動などで「活躍」する姿が大きく投影した結果である。まして、憲法違反の戦争法と集団的自衛権行使にまで踏み込んでいる自衛隊の方に、憲法を合わせるなどということは本末転倒も甚だしい。

 憲法9条を素直に読めばそもそも自衛隊は違憲の存在である。これを通常の軍隊ではない自衛権に基づく実力部隊だとして矛盾を糊塗し、その上で解釈改憲を積み重ねてきた。そして究極の解釈改憲が安保法制(戦争法)であり、「専守防衛」をかなぐり捨て、米軍が海外で行う戦争を自衛隊が支援するという役割に道を開いた。

しかし、これでも全面参戦は不可能であり、イギリス軍型をめざすには憲法に自衛隊(あるいは国軍)の存在を明記しなければならない。これが、彼らの9条改憲の真の狙いである。

過去の反省もなく侵略・植民地支配を正当化する歴史修正主義の台頭とも相まって、日本が再び軍事面でもアクターとして登場することは、東アジアの平和にとって新たな危険な要素を加えるものとして強く警鐘を鳴らす必要がある。

 

(4)朝鮮半島の平和と日本の「戦争国家」化阻止を

 

①朝鮮半島の平和のために

 

 以上みてきたように安倍政権は、朝鮮に対して「対話ではなく圧力」の旗振り役を自ら買って出ている。トランプ米新政権の対朝鮮政策も、朝鮮側は「最大の圧力と関与」という「名前を変えただけの敵視政策」に過ぎず、「我々に対する全面的な制裁と圧迫騒動に力を入れている条件の下では、我々の核抑止力強化措置も最大の速度で進められるだろう」としている。

 確かに、先制攻撃や朝鮮指導者への「斬首」作戦などを織り込んだ「作戦計画5015」に基づき史上最大規模の米韓合同軍事演習が行われ、同演習終了後もカールビンソン、ロナルドレーガンの2空母機動部隊が日本海(東海)に配備され、軍事的圧力をかけ続けている状況下では、対話の環境には程遠く、朝鮮側が反発するのも当然だろう。

 朝鮮に対する軍事力行使がほとんど不可能であることは、94年の第一次核危機の際に当時のクリントン政権が寧辺(ヨンビョン)への限定空爆直前までいって、これが全面戦争に発展した場合、最初の90日で米兵52,000人、韓国軍490,000人が犠牲となるという自らのシミュレーション結果に驚愕して思いとどまらざるを得なかったことからも明らかだろう。南北の軍民を合わせれば数百万人の犠牲者がでるとまでされている。まして現在の朝鮮は、自ら「自衛措置」とする核と弾道ミサイルを高度化させており、米軍の最大の出撃・兵站拠点となっている在日米軍基地まで照準に入っているのである。

 中ロ外相の言を待つまでもなく、「対話より圧力」などと言っている安倍首相の無責任ぶりは明らかだろう。

 【米朝「相互停止」を】

 結局、朝鮮半島問題の解決のためには対話以外の方法はない。そのための環境を整えるには、米国側は大規模軍事演習や軍事威嚇を停止し、朝鮮側も核・ミサイル開発を停止するという「相互停止」が必要である。この趣旨のことは、すでに朝鮮側も提案したことがある。中国・ロシアも強く反対しているTHAADの韓国配備も撤回されるべきだ。この点では、情報が限られていることを前提として言えば、朴槿恵前政権が独断で配備受入れを行ったことに対して、文在寅新政権が民意を後ろ盾に国会承認案件として切り返していることは一つの政治的知恵だろう。

 対話の実現、停戦協定から平和協定・平和体制構築への国際的包囲網を】

 米朝間および多国間での対話はすでに経験済みのことである。しかし、現状では一触即発で対話さえままならない状況となっている。何故そのようになったか振り返る必要がある。

 94年の第一次核危機は、カーター米元大統領の訪朝・金日成(キム・イルソン)主席との会談により一転して米朝ジュネーブ枠組み合意へと結実した。朝鮮の黒鉛減速炉の廃止とIAEAの保障措置協定の完全順守、米側と各国による軽水炉提供、エネルギー支援、米朝間の政治的・経済的関係の完全な正常化のための行動-などを規定した同枠組み合意のもとで、99年には前述のシミュレーションに基づき対話路線を定式化したウィリアム・ペリー対朝鮮政策調整官(クリントン政権1期目の国防長官)報告が出され、200010月にはマデレーン・オルブライト米国務長官のピョンヤン訪問、趙明禄(チョ・ミョンノク)朝鮮国防委員会第一副委員長のワシントン訪問が相互に行われ、クリントン大統領の訪朝でも合意していた。

 この間の20006月に金大中(キム・デジュン)韓国大統領の訪朝、金正日(キム・ジョンイル)朝鮮国防委員会委員長との首脳会談が行われ、615南北共同宣言が出されたことも大きな作用を果たした。こうした一連の流れの中に、20029月の小泉純一郎日本首相の訪朝もあったといえる。

 この対話路線を破たんに追い込んだ最大の原因が、ジョージ・W・ブッシュ政権の誕生とイラン・イラク・朝鮮を「悪の枢軸」と規定し、朝鮮に対する対話路線を破棄して再び敵視政策に転じたことにある。さらに2001911同時多発テロへの「報復」を口実としたアフガニスタン軍事侵攻、それに続く「大量破壊兵器」疑惑でっち上げによるイラク進攻が朝鮮側を大きく身構えさせたことは容易に想像がつく。

 20034月の米朝中三カ国会談の合意を経て、同年8月から六者協議が始まった。

 20059196者共同声明」は、平和的方法による朝鮮半島の検証可能な非核化、朝鮮へのエネルギー・食糧支援、米朝正常化、日朝正常化、朝鮮半島における恒久的平和体制について協議を進める-ことなどが確認された。

 しかし、その後も米韓合同演習は継続され、米国によるマカオのバンコ・デルタ・アジア(BDA)の朝鮮関連口座の凍結問題で二転三転するなどの過程が続いた。

 こうした過程で、2006109日の朝鮮の最初の核実験が行われた。

 これを踏まえ、20072月に開かれた第5回六者会合は、あらためて以下の合意がなされた。

1.朝鮮が60日以内に寧辺の核関連施設(再処理施設を含む)の停止(shut down)および封印(seal)を行い、IAEAによる監視を受け入れる。(初期段階措置

2.朝鮮は放棄の対象となる核開発計画(使用済み燃料棒から抽出されたプルトニウムを含む)の一覧表について、他の五者と協議する。

3.他の五か国は見返りの緊急エネルギー支援として重油5万トンを支援する。朝鮮が施設を無力化(disablement)することで、95万トンの重油に相当する規模を限度とする経済・エネルギー・人道支援を行う。

4.米国と朝鮮は国交正常化のための協議を始めると共に、米国は朝鮮のテロ支援国家指定の解除や対敵通商法の適用終了の作業を進める。

5.日本と朝鮮は国交正常化のための協議を始める。

6.「朝鮮半島の非核化(議長:中国)」「経済・エネルギー支援(議長:韓国)」「日朝関係正常化(議長:日本・朝鮮)」「米朝関係正常化(議長国:米国・朝鮮)」「北東アジアの安保協力(議長国:ロシア)」の5つの作業部会を設置する。

7.初期段階の措置が実施された後、六者による外相級閣僚会議を行う。

その後、米朝実務協議でBDAの凍結資金の返還が合意され、2007319日の第6回六者会合で金桂冠(キム・ゲガン)外務次官からは、六者の信頼醸成が必要とし「言葉対言葉」「行動対行動」の原則が守られるなら、核施設の停止・封印とIAEAの査察を受け入れる用意があると表明されたが、翌20日、BDA凍結資金の返還が確認できないとして会合への出席を拒否、休会となって以降、六者協議は開かれていない。

その後、200945日に朝鮮は「銀河2号」ロケットを打ち上げた。これに対する国連安保理の議長声明に反発し、414日、朝鮮政府は核兵器開発の再開と六者会合からの離脱を表明するに至った。

 

これらを見てくると、これまでの対話が、朝鮮半島の非核化(とりわけ朝鮮の非核化)ありきで、朝鮮の体制保障や恒久的平和体制への転換問題は付随事項のように見受けられる。

今後の対話は、米朝二国間であれ六者であれ、朝鮮半島の平和体制構築・64年にも及ぶ停戦状態を平和協定に転換する問題を主としながら、その中で朝鮮半島の非核化も追求されるべきだと考える。朝鮮半島が「撃ち方やめ」に過ぎない停戦状態のまま放置され続けていること、絶えず軍事的圧迫にさらされていることが、朝鮮をして核・ミサイル開発に向かわせた。

朝鮮半島問題の解決はこうした歴史的・構造的問題解決に向かうことこそが前提であり、何よりも朝鮮半島非核化の早道でもあると考える。

米日韓軍事同盟の中で、韓国で新政権が誕生したこと、中ロも軍事行動に反対し対話を強調していること。とくに文在寅政権が、民間の南北交流を先行させながら、開城(ケソン)工業団地や金剛山観光再開、やがて本格的な南北対話をめざしていると聞き及んでいるが、どのような手順であれ南北対話が再開されることを支持する。そして、615南北共同宣言、104宣言が履行されていくことを心から望みたい。

そして、これらを基礎にトランプ政権に対して停戦協定から平和協定への転換・平和体制構築を迫る国際的包囲網構築の道へ、日本でも安倍政権の「戦争国家」化政策と闘いながら呼応していきたい。

 

②安倍政権の憲法9条改憲、「戦争国家」化政策と全面対決

 

安倍政権の危険な動きについては前述の通りである。

これに対して日本の平和勢力は、総がかり行動実行委員会を軸として、立憲野党(民進党・共産党・社民党・自由党)とも連携しつつ当面「共謀罪」法案の参議院での可決・成立阻止を焦点としながら、集団的自衛権行使の拡大に反対し、また沖縄現地の抵抗闘争と連携して辺野古への米軍新基地建設阻止の闘いを進めている。

53日の憲法施行70周年の改憲反対集会・デモには東京55,000人をはじめ全国各地で数千・数百人規模の行動が取り組まれている。

そして、いよいよ安倍首相が宣言した憲法9条改悪との全面的な闘いが始まる。

この闘いは、日本の民衆の進路にとってだけではなく、東アジアの平和にも大きくかかわる問題である。また安倍政権が朝鮮半島の緊張激化を煽り、それを利用して日本の「戦争国家」化を推し進めていることは、朝鮮半島の平和体制構築をめざす闘いといかに密接な関係にあるかを示している。

その安倍政権は、森友学園・加計学園問題という一大不正疑惑にまみれている。この徹底追求ともあわせ、改憲・「戦争国家」の道をひた走る安倍政権を退陣に追い込みたい。

 

  【ソウルシンポ発題】ミシェル・チョスドフスキー オタワ大名誉教授

韓国における政権交代、第二の太陽政策、非武装化と平和プロセス

 

ミシェル・チョスドフスキーオタワ大学名誉教授

 

 

第二の太陽政策と朝鮮半島の非武装化

 

歴史の遺産は根源的である。朝鮮戦争(1950-53)20170611_3
の結果としてだけでなく、1945年からの韓国に対する米国の干渉と軍事プレゼンスは、民主主義と国家主権に対する主要な障害であり続ける。

米国は東アジアにおける覇権を確保するため、常に韓国政治に関与してきた。弾劾された朴大統領は米国行政府の道具として仕えてきた。

それは韓国で実施された大統領選挙において、文在寅氏の当選を導く上で大きな貢献をした。

ろうそくデモによって支持され文在寅氏が大統領に選出されたことは、潜在的には重大な分岐点となり、地政学的に、また政治的にも画期的な出来事である。そしてそれは米国の干渉が続く中でも国家主権に向けた道筋が開けたことを意味し、また権威主義が支配する過去の時代との潜在的な決別でもある。

文在寅大統領は、盧武鉉政権で大統領秘書室長等の側近として活動した。

彼はこれまで、米国との関係を維持しながらも、第二の太陽政策と呼ばれる、朝鮮民主主義人民共和国(以下朝鮮)との対話と協力を進める確固たるコミットメントを表明している。

文在寅大統領は朝鮮の核計画に断固反対しながらも、米国が提供する高高度ミサイル防衛システム(THAAD)配備にも毅然とした態度を示している。

最近の情勢の展開では、韓国国防部長官はTHAADミサイルシステムの発射台を4台追加する上で、大統領の陰に隠れイニシアティブを握っていた。文在寅大統領は国家安保室長からその件に関する「報告を受け、非常に衝撃を受けた」と述べている。

文在寅大統領の朝鮮との協調と非武装化へのコミットメントは、軍事分野における米韓関係の再定義を求めることになろう。

 

作戦統制権の破棄と米韓連合司令部

 

2014年、朴槿恵政権は作戦統制権の返還に関する合意を2020年代中頃まで延期した。これが意味するものは、「紛争が起きた際」すべての韓国軍は韓国の大統領や司令官ではなく、米国防総省が任命する米国の司令官の指揮下に置かれるということである。

米韓連合司令部の組織構造だけではなく、作戦統制権に関する合意の破棄なくして、国家主権の合理的回復はあり得ないということは、言うまでもない。

私たちは(独裁者であり、また弾劾された朴槿恵前大統領の父である)朴正煕将軍の大統領施政下において、二国間による米韓連合司令部が設置されたことを知っている。実質的には、これはいわゆる国連軍司令部のラベル替えであった。

また、再交渉された作戦統制権(2014年)下の米司令官の司令権は、一時的な停戦を法的に制定した1953年の停戦協定が平和協定に代わらない限り、全面的に運用される。

 

1953年の停戦協定

 

1953年の停戦協定の根底にあるものは、戦争当事国の一つである米国がこの64年間、朝鮮に対して戦争を開始すると常に脅威を与えてきたということである。すなわち戦時体制を継続させたのである。西側メディアと国際社会が注意を払うことなどないが、米国は半世紀以上もの間、停戦協定13b項に違反し、朝鮮を標的とした核兵器を積極的に配備してきた。最近では、主に中国とロシアを直接的な標的とした、いわゆるTHAADミサイルを配備している。

米国は未だ朝鮮との戦争状態にある。米国、朝鮮、そして中国人民志願軍の戦争当事者間における「一時的な休戦」を法的に制定した1953727日に署名された停戦協定は、恒久的な平和協定の署名により廃止されなければならない。

米国は南北朝鮮間における関係正常化と協力のプロセスを避け続けているだけではなく、韓国における軍事的プレゼンスを維持するために、これまで停戦協定に違反し続けてきただけでなく、朝鮮との平和交渉も一貫して拒否してきた。

 

南北二者間の平和合意へ向けて

 

停戦協定署名国の一つが平和協定の署名を拒否するなら、包括的な南北二者間での平和合意の形成について考えねばならない。これは1953年の停戦協定の実質的な廃止を意味する。

模索されるべきことは、(停戦合意下で継続する)米朝間における「戦争状態」が、協力と交流を伴う包括的な南北二者間平和合意の署名により、ある意味「わきへ追いやられ」、また廃止されなければならないということであろう。

この遠大な南北合意は、朝鮮半島における平和を擁護するものであり、1953年の停戦協定署名国間における平和協定の署名を伴うものではない。この二者間協約の法的成立は極めて重要である。二者間取り決めは事実上、米国の拒否を飛び越えて取り交わされるであろう。これは外国勢力の干渉のない、言い換えれば、米国政府の指図のない、朝鮮半島における平和の基礎を形成するであろう。同時にこれは韓国からの米軍の撤退と作戦統制権に関する合意の撤回を求めるものである。

米国は朝鮮への新しい兵器の搬入を停止するとした停戦協定13d項の事実上の破棄に関与しているということを忘れてはならない。1956年、米国は韓国への核施設の搬入と配備を実施した。そうすることにより、米国は13d項を破棄しただけではなく、韓国における米軍及び兵器体系の配備を通して停戦協定それ自体を破棄したのである。

また、作戦統制権に関する合意下での新しい軍事基地の展開を含む韓国の軍事化は、主として、朝鮮半島を中国とロシアの双方に脅威を与える軍事的な発射台として用いる意図を示している。作戦統制権下では、「戦争の際」、韓国全軍は中国もしくはロシアを相手に米軍の指揮下で動員される。

THAADミサイルは、中国、ロシア、そして朝鮮に向けて配備されている。米国は、THAADは朝鮮に対するミサイル防御としての意図しかないと述べている。同様に、済州島の軍事基地は主として、中国に対する威嚇である。

また、米国は、究極的には、朝鮮を孤立させるために、南北朝鮮間だけでなく、朝鮮‐中国間においても、東アジアの分断を形成すること意図している。

きわめて皮肉なことに、済州島を含む韓国における米軍施設は、軍事的包囲のプロセスの一部として、中国を威嚇するために用いられている。いうまでもなく、南北二者間合意下で定義されるより広範囲な東アジアと、朝鮮半島における恒久的な平和は、韓国からの米軍の撤退を含む作成統制権と停戦協定の双方を撤廃することを求めるであろう。

文在寅大統領の施政下で、南北間における二者間平和交渉が外部勢力の参加や干渉なしに行われることは重要である。このような議論は対朝鮮経済制裁の解除と米占領軍の撤退に着手するものでなければならない。米軍プレゼンスの排除と28,500名の占領軍の撤退は、南北二者間平和条約にとって必要不可欠な条件となる。

 

韓国の米国との関係

 

米軍による軍政は、第二次世界大戦直後から強いられた。ポツダム会談(194578月)にて米国とソ連は38度線に沿って朝鮮を分断することに合意した。

米軍の進駐により、南朝鮮には「解放」がもたらされなかった。真逆の状態がもたらされた。米軍政は、1945815日に日本が降伏した3週間後の98日、南朝鮮にて打ち立てられた。また、南朝鮮地域に残っていた日本の官僚は米軍政への移行過程において、ホッジ将軍率いる在朝鮮米陸軍司令部軍政庁(USAMG)(1945-48)に力を貸した。南朝鮮の警察官のみならず、ソウルにいた日本の植民地行政官は、新しい植民地支配者たちとごく親密に働いた。

 

米国が支援する軍事独裁

 

1945年から1987年まで韓国に適用された軍事独裁の基礎的モデルは、ラテンアメリカと東南アジアで米国政府によって強いられたそれと、大きく異なるものではない。同時に1980年代まで米国外交政策における大きな転換がもたらされた。米国の介入主義は従順な「民主政府」による軍事政権の交代へと加速したが、それは主権国家の国内事情における米国の干渉を弱めたり破たんさせたりすることはなかったのである。

1980年代、米国が支援する軍事独裁のほとんどは、米国が支援する民主主義によって転覆されている(例えばチリ、アルゼンチン、ブラジル、フィリピン、インドネシア)。その一方で、米国は国民選挙に介入し、政治指導者を昇進させ「体制転換」をけしかけている。

多くの国で展開されているのは、民主主義のうわべであり、これは「民主主義独裁」と呼ばれなければならない。

全面的なマクロ経済改革は頻繁に強いられている。民主的に選出された指導者たちは、従順でなければ脅迫にさらされ、多くの場合、国家の指導者は米国に取り込まれている。

先述の内容が示すことは、韓国において選挙によって選ばれた大統領により軍部が交代し、政府が運営され、そして権威主義体制が撤廃されても、それは必ずしも国家の構造転換を意味しないということである。

 

韓国を標的とした金融戦争

 

米国が韓国で民主的に選出された金大中大統領(当時)に対して、1997年のアジア通貨危機の際に行われた韓国ウォンに対する投機的な猛襲[訳注:韓国ウォンの売り浴びせ等]に対して、選挙に先立ち包括的なマクロ経済改革を実施することを単刀直入に指示したことが思い出される。

元政治犯であり反体制派、そして米国が支援する朴正煕及び全斗煥軍事政権に対する強固な反対者であった金大中元大統領ですら、政治的圧力に屈服し、韓国で民主的に選出された大統領として正式に就任する前に、ウォールストリートと米国政府に屈したのである。

1997年のアジア通貨危機は操作されていた。これは金融操作の結果である。韓国は強力な金融制度によって引き起こされた経済不安定化に関する計画的なプロセスの対象であった。しかし、選挙後すぐ、金大中元大統領は米国政府の要求に従わされたのであった。

上述の内容が意味することは、民主的に選出された政府は、それ自体が民主主義と国家主権を保証しないということである。

 

統一、その前途

 

2次世界大戦の前後に見受けられた米国の新植民地主義の慣習は、国民国家の弱体化を狙ったものであった。米国は軍事的及び非軍事的手段を通して、独立国(例えばユーゴスラビア、チェコスロバキア、中央アメリカ、イラク、シリア、スーダン)の分割と破壊を模索している。この破壊と分断に重点を置く外交政策課題はまた、朝鮮にも適用されている。

ひとつの朝鮮民族しかない。米国は、統一した朝鮮民族は東アジアにおける米国の覇権を弱める勢力となるため、統一に反対しているのである。

統一は競争力の高い産業と軍事力、そして先進技術と科学を有した国民国家を作り上げるであろうし、自らの主権を行使し、米国の干渉を排しロシアや中国を含む近隣諸国との貿易関係を確立するであろう。

この点に関して、米国の外交・軍事政策立案者たちが既に、朝鮮半島における米占領軍の維持を念頭に置いた自らの「統一」シナリオを書き終えているということは注意に値する。同様に、米国が思い描いていることは、「外国の投資家」が朝鮮経済に浸透し略奪することのできる枠組みである。

米国の目的は、朝鮮の統一に条件を課すことである。2000年に出版されたネオコンの「アメリカ新世紀プロジェクト」(PNAC)は「統一後のシナリオ」について、米軍(現在28,500名)は増員されねばならず、また米軍のプレゼンスは朝鮮半島北部にまで及ばねばならないと公言している。米国の意図は非常に明確である。

 

おわりに

 

朝鮮に対する米国主導の戦争は、朝鮮民族全体を巻き込むようになるということを理解しておく必要がある。

米国が支援する戦争状態は南北朝鮮双方に向けられている。これは朝鮮に対する核兵器の使用を含む継続的な軍事的脅威によって特徴づけられている。

19459月以来、米軍の支配下に置かれている韓国に対する脅威でもある。現在28,500名の米軍が韓国に駐屯している。しかし前述した米韓作戦統制権(米韓相互防衛条約)下ですべての韓国軍は米国の指揮下に置かれている。

朝鮮半島の地理的条件を考慮すれば、朝鮮に対する核兵器の使用は不可避的に韓国を巻き込む。米国の軍事立案者たちはこのこと知っており、また理解している。

2の太陽政策に関して強調しなければならないことは、米国と韓国は、米国が朝鮮に対し戦争脅威を与える限り、同盟関係を維持することはできないということである。

「本当の同盟」というものは、外国勢力の干渉と侵略に反対し、対話を通じて南北朝鮮を統一しまた統合するものである。

米国は朝鮮民族全体に対し戦争状態にある。このような状況は、停戦協定を廃止し、二者間における「平和協定」の条件を設定する目的で、韓国と朝鮮の間での二者間会談を開催すること求めている。また次に、この合意は米国の軍事的プレゼンスの排除と28,500名の米軍の撤退のための舞台を用意するであろう。

また、二者間の平和交渉に準拠して、韓国軍を米軍の指揮下に置く、米韓作戦統制権に関する合意は破棄されねばならない。すべての韓国軍はしたがって、韓国の指揮下に置かれなければならない。

二者間協議はまた、南北朝鮮間における経済発展と技術的、文化的、教育的協力関係の促進を目的とし、進められなければならない。

戦争の脅威は、作戦統制権下の黒幕である米国を排除し、対話を通して除去されるであろう。従って最優先課題は作戦統制権の破棄であろう。

 【ソウルシンポ発題】シオン・レイ中国人民大学教授

朝鮮半島平和プロセスの利害事者とトラブルメ

シオンレイ 中国人民大学教授

 朝鮮半島と北東アジアの平和を実現す20170611_6
ためには、プロセス内の重要な利害当事者とトラブルメーカーとを把握して、実際の利害当事者の利益は保障しトラブルメーカーが悶着を起こすような素地は前もって防止する実質的な戦略を樹立することが重要である。

このような点を指摘する理由は、一部の問題解決者が自称利害当事者となって、実際にはこの地域の平和に実質的な関心がないのにもかかわらず多くの発言をしている現実に私たちが直面しているからである。

 

私たちが歴史をのぞき見れば、いわゆる朝鮮半島問題と北の核の問題というのはそれ自体人間が作り出した人為的な問題であることが分かる。 それは朝鮮半島本来の問題ではない。 朝鮮半島問題は、第2次世界大戦以後東アジアでそれぞれ影響力を行使しようとする二つの相互敵対的な強大国により作り出された。 北朝鮮の核の問題は、1990年代に朝鮮半島の平和プロセス過程で真の利害当事者の一つが北朝鮮の安全を保障することに失敗したとき現れた。 この二つの問題は共に、はじめから半島とともに存在したりはしていない。 ただ、この地域に対する利害関係が少なくとも平和にはなかった外部勢力により、創案されただけである。

 

私は朝鮮半島の非核化に同意する。しかし非核化は朝鮮半島平和の手段であって目的ではない。私たちの目的、私たちの目標は地域の平和である。だから私たちは表面的な現象よりは、平和という根本的な目的を土台から崩してしまう真の根本原因をよく見なければならない。 私は北朝鮮が行なった核実験を前にして心地の悪い思いを告白せざるを得ないけれども、とにかく彼らが悶着の根本原因であるとは考えない。 根本原因は、彼らが安定感(安全であるという感じ、sense of security)を奪われたということにある。

 

1週間ほど前、中国の二つの言論媒体が北朝鮮の核実験を批判する一連の論評を出した後、タクシーに乗る機会があったのだが、たまたま運転手がラジオをいつもニュースに合わせてあるのに気が付いた。それで私は彼に北の核問題についてどう思うか尋ねてみた。 彼は理解できると言った。彼らには出口がなかったし、それだけが唯一の道だったからと。 私は彼に、もしかして核の浸透について心配しているか尋ねたが、彼はその段階までは行かないようだと答えた。 彼はまた、北朝鮮の核兵器はアメリカの核兵器とは比べものにならないだろうが、日本みたいなのを脅すにはおそらく十分だろうとも言った。

 

これが普通の中国人が持つ常識の典型なのだが、こんな意見だけが特にメディアではほとんど表現されていない。

 

朝鮮半島問題と北の核問題が内在的な問題でないならば、私たちは朝鮮半島の平和の真の利害当事者が誰なのかを探るために一歩さらに進まなければならない。この地域を不安且つ平和でない地域にした者たちは、真の利害当事者ではない。最高の非-利害当事者は19世紀後半に最初に朝鮮半島で戦争を起こした日本であろう。 その次にはアメリカが真の利害当事者リストから除外されねばならない。 私はロシアもやはり利害当事者とは思わない。かつてソ連が朝鮮半島を二つに分断させることに関与したから、そしてそれによって今日まで幾多の問題が発生しているからだ。

 

歴史が始まって以来、朝鮮半島の平和に本質的な利害関係を持っている真の利害当事者は、南北朝鮮と中国であろう。中国は古代から朝鮮と関わる様々な問題に介入して来たし、歴史的にも地理的にも朝鮮半島と緊密な関係がある。朝鮮半島の平和は中国東北部、ひいては中国全体の安定と直結している。中国は朝鮮に本質的な利害関係を置いていながらも、朝鮮のどの地域に対しても統制しようと試みたりはしなかった。これは中国の人民義勇軍は朝鮮戦争直後に北から全兵力を撤収させたが、米駐屯軍は韓国に今日までも留まっているという事実などから非常に明確に現われる。

 

したがって、朝鮮半島の平和プロセス上の主要な問題はすなわち、このような問題を故意に発生させた一部のトラブルメーカーが、表向きは利害当事者となってこの問題に対して多くの発言権を得ているというところにある。これは正しくない。

 

事実、真の利害当事者としての韓国国民の声と存在感は、1953727日朝鮮戦争を終熄させた休戦協定が署名された当時、不在であった。 問題の不安定な停戦協定はアメリカ、北朝鮮と中国の間で締結された。韓国は戦争で莫大な死傷者を出したにもかかわらず、おそらく当時の韓国の政権が競争相手の観点からだけでなく同盟国の目から見ても操り人形だったために不在だったのだろう。しかも彼らは、韓国国民の大多数を代表することもできなかった。

 

これは韓国国民の意志に反することであった。したがって彼らはアメリカとその操り人形に対抗して抗議とデモ、蜂起を粘り強く繰り返した。しかし軍部独裁者たちは数十年間、自らの国民に逆らった。このような歴史についてよく知らない外部の人たちのためにちょっと説明するならば、韓国の民衆権力はまるで突然噴出したかのように驚くべき速度で19805月の光州抗争を通して初めて姿を現した。蜂起は引き継がれて結局韓国の権威主義統治を終熄させた1987年の6月民主抗争にまで到った。

 

このような歴史のアマチュア観察者として、私はこのような運動の中には、韓国国民の民主主義に対する追求と彼らの平和統一に向けた叫びの間の連携があると思う。 統一について言及すること自体が人を監獄に閉じこめることもできるタブーであった時代、韓国民衆の民主主義に向けた闘いと祖国の平和に対する熱望は互いに分離できないものであった。

 

しかし民衆抗争が韓国の大統領直選制をもたらし国を民主主義で染めたのは事実だが、そして韓国政府が事後的にしろ抗争を再評価して光州抗争で死亡した人々を公式的に追慕し518日を国家記念日にしたのは事実だが、また抗争が生んだすぐれた人物の何人かが-その中には大統領にまで選出された人もいるのも事実だが、平和の訪れはなかった。 韓国が 6者会談のような平和交渉で発言権を得たと言うことはできるが、一部の行政府に属した一部の交渉家は利害当事者の利益を代弁していない可能性もある。

 

過去30年を振り返ると、南北関係がより緊密な接触とともに、より多くの人的交流と経済協力プロジェクトとともに緩和される時期が何回かあったことが分かる。 中でも故キム・デジュン前大統領はピョンヤンまで行って北のリーダーと会ったが、それにより私たちは朝鮮半島の平和に対する一縷の希望を持つことができた。残念なことに彼の太陽政策は支持を受けることができなかったし、北側に対する緩和と朝鮮半島平和のための政策を掲げた二人の最もすぐれた大統領、キム・デジュンとノ・ムヒョンの任期は悲劇的に終わった。 以後、朝鮮半島の緊張は高まり、パク・クネ政権のもとではアメリカが韓国に高高度ミサイル防御体系THAAD (Terminal Alt Higitude Area Defense)を配備する動きを見せるとともに最高潮に達した。過去数十年を通して最も状況を悪化させたと言える。

 

多くの人々が再び朝鮮戦争が切迫したと思ったまさにその時点で、韓国国民はパク・クネを弾劾し投獄することで再度全世界を驚かせた。 ムン・ジェインの選出は、韓国人はサードに反対し戦争に反対するだろうという強力な信号である。

 

韓国の新しい大統領がサードを無くし、今尚続いている戦争の脅威を取り除く能力があるかどうかはまだ定かではない。しかしこの30年間私たちが目撃したところによれば、次のようなことは確かである。すなわち、この国には朝鮮半島に平和が来ることを嫌う、或いは見たくないと思う内部及び外部の勢力が存在するということだ。朝鮮半島に平和が戻ってくる気味が見える度に、これらの勢力は割りこんできてプロセスを中断させ平和を押しやった。 妨害は色々な形態を取った。 経済危機、北朝鮮が挑発したとか非人道的なことをやったとか主張しながら常に新しい非難を浴びせ、または北との関係改善を擁護する政治家たちをスキャンダルを作ってけなした。 それは悪循環のようであって、その悪循環により朝鮮半島の平和問題は会談にのみ局限された。

 

したがってトラブルメーカーがいて、もっと悪くは、利害当事者に偽装したトラブルメーカーがいるのだが、問題はこの後者がしばしば、まるで本当の利害当事者よりも多くの発言権を持つというところにある。

 

少なくとも中国での報道においては、現在中国と北朝鮮との関係が全く疎遠になっていると言えるほどに非常に悪化した状況に置かれていることを中国人が目撃しているという現実を、私は残念ながら認めざるを得ない。 特に中国の学界で優勢な北朝鮮に対する否定的印象は、明らかに報道のせいだと見なければならない。 中国のメディアを通しては北朝鮮に対する肯定的な報道にほとんど接することができず、中国で読むことのできる北朝鮮に関するニュース、特にソーシャルメディアを通してのニュースの大部分は北朝鮮を誹謗し悪魔化する報道だ。そしてそれらはまた韓国に大量に供給されている。 私と少数の友人たちはもちろんそんな報道を信じないけれども、他の多くの中国人も私たちと同じくそれらを事実と受け入れないようにと説得できるだけの資源は私たちにもない。そして北朝鮮を誹謗してトラブルメーカー扱いする報告書を信じはしなかったけれども、私もやはり2013年に終戦60周年を記念する行事に参加するためにこちらに実際に来て見るまでは、韓国内にも朝鮮半島の不安定性をその真の根源と結び付ける声が存在しているという事実を知らなかった。その時の訪問で私は、韓国にアメリカが北朝鮮と平和協定を締結して敵対を終熄させることを要求する人々が少なくないことを見て驚いた。 南側にそういうビジョンと声があるという事実を私はその時初めて知った。しかしこのようなビジョンは中国にいる人々の多くには知られもしないし聞こえもしない。私たちはその日の夕方ソウル市役所の前で10,000人以上の人々と一緒に、アメリカが朝鮮半島から駐屯軍を撤収させて平和のための道を敷くことを要求するデモを行なったが、このような私たちの活動は中国を含め全世界の主流メディアからは簡単に無視された。 私は如何なる中国のメディアでもその日の事件に言及する言葉を目にすることはできなかった。

 

これは非常に残念な事実であり、また私たちが解決しなければならない現実だ。 したがって朝鮮半島における平和の進展について論議をする時には、必ずトラブルメーカー、言い換えればこの地域の平和を望まない勢力を明らかにし暴露して、彼らの嘘を一つ一つ露呈させる事が必要だと考える。その上で、私たちはこの問題に関する限り彼らの発言権を徐々に減らしていって最終的には完全に剥奪するようにすべきであり、反対に真の利害当事者の発言権は拡張させるべきである。最後に私たちは、平和に対する希望を政治家たちだけに合わせてはならず、私たち自らに合わせなければならない。 政治家たちはしばしば、地域的平和の問題を深刻に受け止めるよりは一種のゲームと考える。その地域の不安定性が何よりも自らの利害関係にぴったり合うような時には特にそうだ。ムン・ジェインの勝利は、朝鮮半島での平和のための努力においては他の誰よりも平凡な大衆の力が必須であるという事実を再度見せてくれた。したがってこの人民大衆の声こそ平和プロセスの全段階において決して見失われてはならず、大きく且つ明確に伝えられなければならない。

2016年8月19日 (金)

【2016 8・15ソウル行動報告③】コリア国際平和フォーラムで活発な討論

815日夕方から、韓国国会議員会館でコリア国際平和フォーラムが以下の概要で開かれ活発な討論が行われた。

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主催 : 8.15平和大会推進委員会

主管:国際平和フォーラム組織委員会(反戦平和国民行動、韓国進歩連帯、独立有功者遺族会、統一への道、現場言論「民プラス」 、国会議員キム・ジョンフン議員室)

発題

1. 韓米日同盟強化政策と朝鮮半島平和協定締結の展望

       「2016815KOREA.pdf」をダウンロード

 ( イ・ジョンフン 「民プラス」国際チーム長)

 

2. 安倍政権の再武装政策と東北アジア平和実現の課題

  「2016815WATANABE.pdf」をダウンロード

 (日本 渡辺健樹・日韓民衆連帯全国ネットワーク共同代表)

 

3. 米国のアジア太平洋政策と朝鮮半島平和協定の展望

       「2016815USA.pdf」をダウンロード

 (米国 ウィリアム・グリフィン平和在郷軍人会)

 

4. 韓国のサード配備と米国のアジア太平洋政策に関する中国の見解

     (中国 スン・リージョウ清華大学教授)*ビザ発給遅れで入国できず

 

討論

 

1. 日米韓ミサイル防衛網構築と日韓平和連帯の課題

          (大阪 山元一英・日韓平和連帯共同代表)   

2. 東北アジア平和協力のための提案-コリア国際平和フォーラムについて

     「2016815KIPF.pdf」をダウンロード
            (ハン・チュンモク韓国進歩連帯常任代表)

 

特別報告

 

1. 沖縄の米軍基地撤退運動の現況

          (沖縄 沖本裕司・沖韓民衆連帯)

2. サード配備反対闘争の現況

          (韓国 「サード配備反対対策委員会」

 

 

 【韓国インターネットニュースサイト「民衆の声」の報道から】

  原文http://www.vop.co.kr/A00001058577.html

サード韓国配備は平和への脅威

韓・米・日平和運動家、“人類普遍価値と民主主義ために韓国サード反対闘争と連帯”確約

 

815日夕方から韓国国会議員会館で「サード韓国配備と韓米日同盟強化政策が朝鮮半島・東北アジアの平和に及ぼす影響」というテーマでコリア国際平和フォーラムが開かれた.

光復(解放)71周年である15日韓国、アメリカ、日本の反戦平和運動家が一堂に集まった。 そして、サード(THAAD・高高度ミサイル防衛システム)韓国配備決定に対して東アジア平和を揺るがす危険千万なことだと憂慮して戦争のない世の中を作るための連帯の決意を新たにした。

"サードは韓国防衛ではなく米軍と米本土防衛用"

参席者は共通してサード韓国配備決定に対してアメリカのアジア・リバランス戦略'を背景にした韓米日軍事同盟体制構築との関連を指摘した。

韓国側発題で出たイ・ジョンフン(インターネット言論サイト「民プラス」国際チーム長)はサード韓国配置によって韓米日軍事同盟が強化されると展望しこれが「攻撃的MD(ミサイル防衛)同盟」に進化するだろうと規定した。イ・チーム長は"最近韓米日同盟の最も大きい特徴は'防御的同盟次元'を越えてアメリカのアジア覇権戦略に服務する'攻撃的MD同盟'に変わるところにある"と診断した。

彼は"サード韓国配備は韓国防御用でない、太平洋に配置された米軍基地と(アメリカ)本土防御用だ。したがって韓国に配置されたサードは韓米日MD体系に統合されること"としながら"北朝鮮、中国、ロシアのミサイルを日常的に探知することになる。これは(北朝鮮、中国、ロシアを)先制攻撃するための用途にも使われることができる"と主張した。

イ・チーム長はサード韓国配置決定で東北アジア地域の軍事的緊張と対立が高まっているとしその解決策で'韓半島平和協定締結'を提示した。彼は"北核問題は韓半島平和構造が安定的に定着すれば解ける可能性がある"として"韓半島平和問題を解決するのはアメリカの政策変化が最も本質的問題"と指摘した。引き続き"韓半島問題を韓国、北朝鮮に任せたとすればすでにかなり以前に解決されただろう"と付け加えた。

"サード韓国配備、日本軍事大国化と関連"

渡辺健樹・日韓民衆連帯全国ネットワーク共同代表は提案で韓国のサード配置決定が日本の憲法改悪推進および'集団自衛権行使容認など'専守防衛'原則を無力化する方向に進む日本の軍事大国化の歩みと関連性があると分析した。

渡辺代表は"米日安保新ガイドライン改正(2015428)等で自衛隊によるアメリカ支援規模が世界規模で拡大した。 このために(米日は)平常時にも活用可能な'同盟調整メカニズム'を設置した"として"ここに韓国を含んだ韓米日三角軍事同盟推進が伴うのは言うまでもない"と説明した。

彼は"(イ・ミョンバク政権時期)韓国国民の強い反対によって締結直前に中断された韓日軍事情報保護協定(GSOMIA)や韓日(軍事)物品役務相互提供協定(ACSA)の締結が執拗に推進されている"として"これによって日本軍'慰安婦'問題と関連して被害当事者を無視した韓日合意がなされたし、その背景には韓日間の対立が戦略上不利だと判断したアメリカの圧力が存在した"と主張した。

渡辺代表は"去る6月に実施された韓米日ミサイル防御練習をはじめとする韓米日間の軍事的協力が既定事実化された"として"サード韓国配置により三国軍事協力がより一層要求されるだろう"と見通した。

"米・中・ロなど強大国紛争、途方もない結果を招いて" 

米陸軍空輸部隊出身でアフガニスタン・イラク戦争に参戦した経験があると自身を紹介した米国側発表者ウィリアム・グリフィン氏(アメリカ平和在郷軍人会)"世界全般にわたっているとても重要な輪の中の一つはアメリカの対外政策"としながら"アメリカは最近中国の経済的・軍事的成長と北朝鮮の持続的なミサイル試験をアメリカの地域内主導権強化口実としている"と指摘した。

グリフィン氏は"サード韓国配置決定によりアメリカと中国の関係が緊張局面になった"として"サード配置決定は中国とロシアの指導者を動揺させたし軍備競争を加速化させた"と話した。

引き続き"米中ロ(アメリカ・中国・ロシア)等強大国との紛争は想像できる最も途方もない結果を招くこと"としながら"成長する中国と既存の主導勢力だったアメリカの関係ができるだけ平和になれるように努力しなければならない"と注文した。

この日参加した日本の平和運動家は永らく米軍基地によって苦痛を受けてきた沖縄住民たちの反戦平和運動事例を紹介して"人類普遍的価値と自治、民主主義のためにサード配置闘争を展開していく韓国人らと連帯するだろう"と覚悟を固めた。

コリア国際平和フォーラム(KIPF)発足へ

ハン・チュンモク韓国進歩連帯常任代表はフォーラムで「韓半島の恒久的な平和実現方向に対して日常的に研究して議論してその政策と理論を生み出し、国際的な圧力を加える大衆運動を広げなければならない」として東アジアの平和に寄与するための平和連帯体として「コリア国際平和フォーラム(Korea International Peace ForumKIPF)」結成を提案し、方向について賛同を得た。

一方、フォーラムに参加するために入国しようとしていた韓国系アメリカ人平和運動家イ・ヒョンチョン氏とイ・ジュヨンさんは韓国政府当局によって入国拒否された。また中国から「韓国のサード配備と米国のアジア太平洋政策に関する中国の見解」について発題予定だったスン・リージョウ清華大学教授も同じように韓国政府のビザ発行が遅れて入国できなかった。

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             韓国側主催者・スタッフと日米の訪問団で記念撮影