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カテゴリー「【書庫】日韓ネットの声明・見解・関連資料」の2件の記事

2023年8月31日 (木)

●朝鮮半島への日本の二つの戦後責任(日韓ネットの立場)

本稿は2023年8月31日に開催された「関東大震災朝鮮人・中国人虐殺100年犠牲者追悼大会」(文京シビックセンターに1800人が参加)で配布された主催各団体の紹介とアピールのために書き下ろされたものである。

 

朝鮮半島への日本の二つの戦後責任
              日韓民衆連帯全国ネットワーク

  関東大震災朝鮮人・中国人虐殺100年犠牲者追悼大会にお集まりの皆さまに、日韓民衆連帯全国ネットワーク(略称・日韓ネット)から団体の簡単な紹介と私たちの訴えをさせていただきます。

    日韓ネットの成り立ち

  私たち日韓ネットは、70年代から軍事政権下の韓国留学中などに「北のスパイ」などとでっち上げられた在日韓国人「政治犯」救援運動や、韓国の反独裁・民主化運動、祖国統一運動、日韓労働者連帯運動などに取り組んできた各地の人びとを中心に、1996年、韓国の在野運動の連合体・民主主義民族統一全国連合(当時)と共同して東京(3・1)とソウル(10・21)で開催した「朝鮮半島の平和と統一のための日韓(韓日)共同シンポジウム」を契機として、1999年3月15日に全国ネットワークとして作られたものです。以降、韓国の市民・民衆運動の皆さんと交流・連帯を深めながらさまざまな取り組みを進めてきています
  私たちは以下の三つの基本方向、すなわち①朝鮮半島の平和と統一を支持し、日米韓軍事同盟と日本の軍事大国化に反対する、②日本の朝鮮半島への過去の清算を実現し、在日韓国・朝鮮人の人びとへのあらゆる差別と排外主義に反対する、③日系進出企業の横暴と闘う韓国労働者と連帯し、新自由主義・グローバリズムに反対する――を柱に活動を繰り広げています。

    求められる朝鮮半島への植民地主義の清算

 私たちは、朝鮮半島への日本の「二つの戦後責任」という視点を踏まえていくことがとりわけ重要だと考えています。
 その第一は、いうまでもなく植民地支配下の被害当事者への謝罪・賠償責任。
 第二は、第二次世界大戦での日本の敗戦=植民地解放後の朝鮮半島の南北分断は間接的ですが日本にも責任があり、言い換えれば朝鮮半島の和解と平和・統一に貢献する責任です。

  第一の点では、本日の追悼大会のテーマでもある関東大震災時の朝鮮人・中国人虐殺の真相究明と国家の責任を明らかにし、犠牲者への謝罪と賠償を強く求めていくことも当然含みます。
  これは大震災(天災)による犠牲ではなく、「朝鮮人が放火した」「朝鮮人が井戸に毒を入れた」などのデマの拡散により軍隊・警察・自警団などによって引き起こされた人災です。そのことは多くの記録や証言により明らかであるにもかかわらず、未だに日本政府はその事実すら認めず、小池都知事も事実を消し去ろうとしています。
  また日本軍「慰安婦」問題や強制連行・強制労働――いわゆる「徴用工」問題などでも日本政府は65年「日韓請求権協定」ですべて解決済みだと居直り続けています。
  2018年、韓国大法院(最高裁)が元「徴用工」被害者の訴えを認め日本の加害企業への賠償判決を出したことに、日本政府は「国際法違反」などと騒ぎ立て報復的な輸出規制まで仕掛け、加害者であるにもかかわらず「日本政府が受入れ可能な案を韓国政府が出すべき」と言いつのってきました。
    今年の3月、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は韓国の財団が「徴用工」被害者への賠償金を肩代わりする「第三者弁済」案を打ち出し、日韓合意に至りましたが、それは日本政府・被告企業の責任を一切免罪し、米日韓軍事協力・軍事同盟態勢の強化を最優先して強行されたもので、問題は何も解決されていません。
  そもそも日本政府は、かつての朝鮮植民地支配は「合法的」に行われたと未だに主張しています。
  しかし、それは日本軍による東学農民軍に対するおびただしい数の殺りく(ジェノサイド)、3・1独立運動への弾圧に代表される「韓国併合」以前と以降も繰り返された植民地戦争の血塗られた歴史によってつくられたものです。関東大震災の朝鮮人虐殺もこの延長にあります。
    こうした日本政府の態度を許している背景には日本市民社会の無関心などが影響しています。
  私たちは、これら過去の歴史に真摯に向き合い、国家の責任を問い、日本の加害の歴史の清算に取り組んでいくことが必要です。

    朝鮮戦争停戦協定から平和協定へ

    第二の点では、今年が朝鮮戦争の停戦協定から70年であることを想起しなければなりません。
    この70年の間、朝鮮半島は「撃ち方やめ」に過ぎない停戦=準戦時体制のまま置かれ、未だ戦争は終結していません。これこそがいわゆる「朝鮮半島危機」の根源です。
    2018年の南北首脳による板門店宣言、史上初めての米朝シンガポール首脳会談・共同声明は、朝鮮戦争の終結、朝鮮半島の平和体制構築と完全な非核化へ向かう歴史的な可能性をもたらしましたが、米国は共同声明を履行せず朝鮮敵視と強硬政策を継続させ、韓国の政権交代による米韓合同軍事演習の拡大などで再び「戦争危機」をはらむ時代に入りました。こうした状況を前に朝鮮側も2018年以来継続してきたICBM発射実験・核実験のモラトリアムから対決姿勢に転じました。
    実際、韓国で尹錫悦政権が誕生して以来、大規模な米韓合同軍事演習が常態化し、米国は核搭載可能な戦略爆撃機や最新鋭ステルス戦闘機、原子力空母や核ミサイルを搭載した原子力潜水艦など「戦略資産」と呼ばれる兵器を朝鮮半島と周辺海域に投入しています。これに日本の自衛隊も加わった米日韓軍事演習も頻繁に繰り返されるようになっています。
    さらに、ウクライナに対するロシアの軍事侵攻を口実に米国は「東アジアも例外ではない」として、中国・朝鮮の「脅威」を煽りながら米日韓軍事態勢を強化し、その中で日本政府・岸田政権は専守防衛の建前すらかなぐり捨て「敵基地攻撃」能力、「敵指揮拠点攻撃」能力の保有や軍事費のGDP比2%以上へ大軍拡の道を進めています。
    私たちは、朝鮮半島と東北アジアの平和のために米韓、米日韓合同軍事演習を中止し、朝鮮戦争を終結させて現在の停戦状態から平和協定締結へ転換するよう強く求めます。
              * * *
    今年は朝鮮半島が日本からの解放と同時に南北に分断されてから78年目の年でもあります。それは日本の植民地支配の結果生み出されたものであり、朝鮮戦争はこの南北分断に起因して勃発したものであることは言うまでもありません。
    そもそもヨーロッパでは第二次世界大戦の侵略当事国であったドイツが東西に分割されましたが(これを肯定するわけではありませんが)、アジアでは侵略当事国・日本ではなく植民地支配のもとに置かれてきた朝鮮半島が南北に分断されたことに、痛みを感じている日本人がどれほどいるでしょうか。
     いまこうした状況の中で、根深い植民地主義と相まって日本では政府による官制ヘイトクライムとでもいうべき朝鮮学校の「無償化」からの排除を筆頭に、様々なヘイトスピーチ、排外主義が横行しています。
     韓国との間でも前述のように徴用工問題や日本軍「慰安婦」問題などが依然として未解決の問題として存在し続けていますが、朝鮮民主主義人民共和国との間では一切の戦後処理も、さらには未だに国交すらありません。これ自体がまったく異常なことではないでしょうか。
     私たちは、これまで多くの人々と連携して9月日朝ピョンヤン宣言集会を毎年開催し日朝国交正常化の実現を求めるとともに、韓国の市民・社会団体と連帯し朝鮮戦争の終結と平和協定への転換を求めてさまざまな取り組みを進めてきました。
私たちは、あらためて日本が米国に追随して軍拡や戦争体制に与(くみ)することなく、朝鮮半島と東北アジアの平和に寄与する道を歩むことを強く求めていきます。
    皆さん。共に東アジアの平和めざしましょう。

 

2022年1月31日 (月)

★【日韓ネット声明】ユン・ミヒャン議員除名への韓国国会の動きを憂慮する

【声明】ユン・ミヒャン(尹美香)議員除名への韓国国会の動きを憂慮する

ユン・ミヒャン(尹美香)議員に対して2022年1月5日、韓国の国会倫理特別委員会の専門家諮問機構である倫理審査諮問委員会が議員除名の意見を提出したことに、日韓民衆連帯に取り組んできた私たちは、大きな驚きと憂慮を禁じえません。この倫理諮問委は30日以内に意見を取りまとめ、懲戒審査小委員会と全体会議を経て最終決定を行うことになっています。
私たちは、韓国の国会と倫理特別委員会の公正で賢明な決定を強く要請します。

 ユン・ミヒャンさんはこれまで自分や家族のことをさしおいても、日本軍「慰安婦」被害者に寄り添い問題解決のために献身的に活動してきた人であり、真の日韓市民、民衆の連帯のために先頭に立って闘ってきた人です。また、2020年12月には日系企業の横暴で解雇された労働者の側に立ち、国会議員として日本の各政府省庁に働きかけを行いました。このように常に虐げられた人の側と共に闘った人を貶めるようなことは、断じてあってはなりません。
 
キャンドルの力で政権交代を成し遂げ民主主義をめざす韓国でこのようなことが起きていることについて、私たちは本当に驚愕しています。最近、韓国では元ソウル日本大使館前に設置された「平和の碑」前で行ってきた水曜デモさえも、保守勢力の動きによって妨害され続けているとのことです。ムン・ジェイン(文在寅)大統領が1月5日、「水曜デモ」30周年に、「勇気を出して日本軍慰安婦問題を世に知らせ、長い間行動を共にしてくださった皆様は本当にご苦労された」と感謝を伝え、韓国の国家人権委員会も水曜デモを守るように管轄の警察に勧告を出しているのにも関わらず、大変な状況です。

既に韓国の多くの団体、日本やアメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアなどの海外の団体からも批判の声が上がっています。その批判の声は、メディアによって膨らませられた歪曲報道にのっかり、検察の調査でその虚構性が明らかになったのに、韓国の与党、共に民主党が大統領選を前に、ユン・ミヒャン議員個人の声はかき消してスケープゴートにするような動きにも警鐘を鳴らしています。
私たちは「光は闇に、真実は虚偽に打ち勝つ」と信じて、ユン・ミヒャン議員に激励の声を送ります。
ユン・ミヒャンさん、頑張れ!

2022年1月31日
日韓民衆連帯全国ネットワーク
日本、東京